ミルクレープを崇めよ…

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同世代比較!水樹奈々と坂本真綾は何が違うのか?

はじめに

 タイトルを見た瞬間に浮かぶ感想といえば、なにこれ?って感想がほとんどだろう。

大丈夫、僕も今の所わかってない。

 水樹奈々のファンになって今年で丸10年、坂本真綾のファンになって丸15年。この2人を聴いている中で僕は彼女たちの年齢を非常に意識していた。

 そして、常々「同じ年齢でお互い声優兼歌手をやってるのに何が違うんだろう…?」と思いながら過ごしていた。

 音楽的にはもちろんの事、共通項もありつつそのスタンスはまったくもって異なるように思える。

 何が異なるのか?それを僕は今うまく説明することが出来ない。

 加えて彼女たちはキャリアの割に音楽的なレビューや、まとまった1つの文章としてとしてきっちりと書かれているレビューが少ないように思う。

 

 彼女たちに関する感想は、得た感動の整理がうまくいかないがゆえの言語化の少なさがあると思っている。それがなによりももどかしかった。

 

 その状況を自身で打破するためにも、一度形式的に出力し、自らの観点を整理しようと思う。

 あくまでも超主観的なので、何処まで参考になるかわからないが最後まで読んでいただけたら幸いである。

 

坂本真綾水樹奈々についての共通項

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 まず相違点を挙げる前に少ないとは言え、共通項からある程度洗ったほうが良いだろう。

 パーソナルや功績に関する共通項はこのくらいだろう。

 彼女たちの記録などや肩書の部分はこの際全て置いておくとして…

 ここで僕が取り上げたいのは年齢、音楽プロデューサー、Oasisの3つである。

 

1.年齢

 まず先に言いたいのだが、これは別にあげつらおうとかそういうものではないことを理解してほしい。

 なぜこれに触れたいかというと、年齢や産まれた時の時代背景は個人、集団に存在する価値観を醸成するにあたり、分けて語ることの出来ない部分だからだ。

 

 時は1980年、住む場所は全く異なれどこの世に生を受けた彼女たち。

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 僕自身が1993年生まれなので、なんとも当事者的視点で見ることが出来ないのだが、学んでいく中で感じたこと、彼女たちが育った社会背景をざっくりと紹介しようと思う。

 まず世界に目を向けると、70年代に米国とソ連デタントによる東西対立の融和があったのだが、80年代はソ連のアフガン侵攻による対立の激化から始まった。今にまで残るテロリズムの火種が巻かれたのもこの年代である。

 しかし、社会主義の限界の表面化やゴルバチョフ書記長の一連の政策による東西接近、東欧での革命、そして最終的にはソ連という国家の解体により冷戦は終わりを告げる。そこに繋がる重要な年代である。

 

 一方、西側諸国はというとイギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権、日本では中曽根政権など、新保守主義の台頭により現在まで続く自由主義経済やグローバリズムの大きな起点となった時期である。

 また、レーガン政権のレーガノミックスの失敗により財政赤字や貿易収支赤字が生まれた。これらの解消のため、ドル安に協調介入することを目的とした1985年「プラザ合意」が結ばれたことも付け加えておきたい。こちらには日本も協議に参加している。

 これが日本にもたらした影響は大きく、突然の円高により輸出に苦しむこととなったのだが、これがコストカットによる輸出力の強化、そして、ひいてはバブル経済の遠因となってしまったのだ。

 

 アジアを見ると、民主化運動が起きると共に、同年代にアジア諸国が急成長を遂げるなどアジア諸国の存在感が高まっていった。また、プラザ合意が1997年のアジア通貨危機の原因の大元になったり、やはりアジアにとっても1つの起点になった時代である。

 他にも、アジアでは大韓航空機爆破事件や天安門事件など冷戦構造を内包した事件が起き、中東ではレバノン内戦が長期化するなど、国際政治や国際経済的には必ずしも安定した時期ではなかった。

 

 日本はというと政治的には日米関係の強化や、国鉄の民営化などが起きたほか、

経済的には1985年のプラザ合意により、アメリカ貿易で利益を得ていた企業に対する大打撃による倒産が問題になった。

これを解消するために政府が金融緩和を行った結果が、円高不況から一点、景気拡大からバブル経済へと繋がるのだ。

 まあ経済的には円高不況があったものの、イケイケだったんだよ!ということだけ頭に入れておいてほしい。 

 そして、カルチャーはひとりひとりが感性に生きるという重要視され始めた。量より質の転換、またレコードはCDに置き換わり、ファミコンが現れ、バブルの狂乱と昭和の終わりがやってくる。

 

 水樹と坂本の両人はこんな時代の空気に囲まれて生きたのである。

 

 個人主義の台頭によるひとりひとりの自立の重要性、というものを感じ始めた世代が彼女たちのソレに当たる。それでいて、80年代以前の60年代あたりの古来の日本的価値観を両親からの教育で受けていく…。

 

 そういうわけで、個人主義と日本古来の伝統的価値観のミックスされたものが彼女たちの世代の多くにあると僕は考えている。

それが、年齢とそれが醸成する価値観の重要性であり、取り立てて強調したかった理由だ。

 

 そして音楽的にはテクノ、ニュー・ウェーブが日本に登場したのもこの時期なのだが、水樹奈々のルーツが演歌と歌謡曲にあると考えると少し世代とはズレているという点も強調しておきたい。

 実はニュー・ウェーブという言葉が指す音楽はかなり幅広く曖昧なのだが、あまりに長くなってしまうのでここでは説明を割愛させていただきたいと思う。

  • テクノの例

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  • ニュー・ウェーブ

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 ほかにもニューミュージック、そしてそれらがJPOPにシフトしていったという事も含めると音楽的にもかなり大きな変容のあった時期が1980年代に当たるのだ。

 

 彼女たちはそのような空気感、国際情勢、国内の環境下の中で育ち、環境下における違いはあるのだが、多かれ少なかれ、それに伴う価値観が心に内在されていることをまず頭に入れていただけると幸いである。

 

2.初期の音楽プロデューサーの存在

 水樹奈々坂本真綾はそれぞれ1996年、2000年にCDデビューを果たし、水樹は2002年のアルバム「MAGIC ATTRACTION」、坂本は1996年のデビューシングル「約束はいらない」から一定期間音楽プロデューサーによる本格的プロデュースを受けてきたことが共通している。

 そこで彼女たちは音楽的なノウハウを身につけることになる。

 

 まず水樹奈々に対しては矢吹俊郎氏が付くことになった。

 

 ざっくりと紹介すると、矢吹氏は松本伊代Winkのバックバンドから始まり、奥井雅美のプロデュース、そして水樹奈々のプロデュースと推移したわけだが、彼の好むものはTOTOなどのAOR含むロックサウンドである。

※こんなバンドです

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 しかし、水樹奈々は父親の強い影響で演歌と歌謡曲を主に聴いて育ってきた。

そのため、ロック的なノリや歌い方は一切と言っていいほど流れていなかった。

 それを踏まえ矢吹氏は水樹に対してロック的なノリを身に着けさせる血の滲むような厳しい修練を課したらしい。それが水樹流ロックサウンドの礎になったのだから本当に偉大な方である。

 

 一方、坂本真綾に対しては菅野よう子が付くことになった。

 

 菅野よう子光栄(現コーエーテクモゲームス)の「三国志」で作曲家デビューし、それ以来様々なCMソングやアーティストのプロデュース、作曲、編曲を手がけてきた。

 アニメ業界では94年の「マクロスプラス」、98年「カウボーイビバップ」、2003年「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を始め様々なアニメの音楽を手がけているのだが、坂本真綾とは96年の「天空のエスカフローネ」での出会いからプロデュースを担当していた。

 

 デビュー当時、歌うということに対して特別な意識があったわけではない坂本真綾に対して、菅野はプロデュースを通して、クラシック、ジャズ、民族音楽、テクノなど様々なものを教育というか、見せていった。

 おそらく今の坂本の多種多様なコラボレーションに繋がっていると思うと、彼女もまた非常に重要な人間である。

 

 ちなみに、菅野よう子が尊敬している音楽家として、現代音楽からポップスまで幅広く作曲していた日本を代表する音楽家武満徹を挙げている。それが菅野の活動スタイルに大きく影響を及ぼしているであろうことは想像に難くない。

武満徹の代表曲

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 このように、水樹と坂本は全く方向性は異なるが、歌手としてかなりしっかりとした音楽的指導や曝露をしっかりと受けたことが共通している。

 

 今ではふたりとも独り立ちして羽撃いているが、それが彼女たちの現在に繋がる下地を作ったと僕は確信している。

また、それらの教育により生まれたある種の音楽的教養が、今の確かな評価に繋がっているように思えるのだ。

 

3.ロックバンドOasisの存在

 実は坂本真綾水樹奈々はある同じアーティストを愛聴している。

 

 イギリスが誇る世界的ロックバンドOasis(1991~2009)だ。

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ノエル・ギャラガー(左端)とリアム・ギャラガー(右端)の眉毛兄弟がバンドの顔です

※写真の時期がある程度適当なのは許せ。

 

 彼らの基本的な音楽性はブリット・ポップと呼ばれるものであるのだが、その音楽性は多様に渡るためここでは説明を省かせていただく。

 そんなムーブメントの中から現れた彼らは、1stオリジナルアルバム「Definitely Maybe」(1994)、2ndオリジナルアルバム「(What's the Story) Morning Glory?」(1995)それぞれ約1000万枚、約2500万枚という世界的な大ヒットを果たす

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彼らの大ヒットアルバム2枚

 

 全世界でのトータルCDリリースはなんと5000万枚以上を誇るという超大成功ぶり。

 

 ブリット・ポップというジャンルの中で最も成功したどころか、ジャンルを超えた世界的な名声を手にし、ロック史の枠組みで見てもかなり重要な位置を占めるバンドなのだ。

 

 彼らの話は一旦脇に寄せておくとして、ここで水樹奈々坂本真綾がどのくらい彼らを好むのかを書いておきたい。

 

 

 水樹奈々はソロデビューする際にスタッフから色々な洋楽を教えてもらい、その中でOasisを知ったらしいのだが…

 水樹奈々の1stアルバムである「supersonic girl」。このタイトルは実はOasisの「Supersonic」が由来である。

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(音楽的には水樹奈々と共通項はそこまで…)

 

 また、自身のラジオ番組水樹奈々のMの世界(TOKYOFM)」の2012年5月26日配信分では、ノエル・ギャラガーのソロプロジェクト内の曲である「Dream On」、ほかはOasis時代の「Little By Little」「Don't Look Back In Anger(水樹が絆を感じる曲と挙げてる)」「Whatever」を流した。

 しかも、ノエル・ギャラガーの武道館公演にきっちり足を運びその様子を報告するという徹底ぶり(インタビューを試みたが失敗した)。

以下番組で流した曲である。

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 その後もOasisのボーカル、リアム・ギャラガーが新たにソロを始めるとデビュー曲である「Wall of Glass」を紹介するなどマジで好きなんだなと言う感じが伝わってくる。

というか半分番組を私物化しているように思う…(笑)

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※ちなみにライブドアニュースにもなった。

news.livedoor.com

 

 など、この方のOasis好きは割とマジで色々あるのだが、本当に好きなんだなと思うと共に、彼女の音楽性からすると少し以外なように思えるのだ。

 ヘヴィメタル的な要素の強い音楽を志向する彼女が、ブリット・ポップというある意味まるで音楽を好むこと、そしてこれがこうやって繋がるのが知識の面白さであると僕は思う。

 ちなみに水樹奈々がお気に入りのミュージックビデオとして挙げているのが、「D'You Know What I Mean?」である(もう1つはAerosmithの「Jaded」)。

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 他にも彼女は好きな海外のアーティストとして

  • Green Day(世界的なパンクロックバンド)
  • Earth, Wind & Fire(こちらも世界的なファンクミュージックバンド)

を挙げているらしく、そちらも時間があったらいつかガッツリ喋って欲しいと思う。

 

 水樹奈々が超絶なOasis関連のオタクだということがわかったので、今度は坂本真綾の場合を例に上げたいと思う。

 

 実は坂本真綾は結構早くからOasisに触れている。

 

インターネットで調べてみた所、2002年10月8日放送坂本真綾のビタミンM(bayFM)」内でOasisを大好きなバンドと表現し「Wonderwall」を紹介している。

 そして、その後代々木第1体育館でOasisのライブに行ったことにも言及しており、その感想を熱く語っていたようだ。

 

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 また、2005年の5月24日のFM曲合同企画「FMスペシャOasis祭り」内でジョージ・ウィリアムズと共に自身もMCを努め、企画だから当然なのだが、1時間に渡りずーっとOasisの話をしている。

そしてゲストには日本での2代目のディレクターでオリジナル3rdアルバム「Be Here Now」(1997)、B面集「The Masterplan」(1998)を担当していた伊藤kazyさん、音楽ライターの妹沢奈美さんをゲストに呼び、Oasisの色々な破天荒エピソードやらなにやらを話してもらっていた。

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左がBe Here Nowで右がThe Masterplan

 この番組は6枚目のオリジナルアルバム「Don't Believe the Truth」(2005)の発売記念の企画であり、そこに坂本真綾は呼ばれたわけである。

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  ちなみに、聴くキッカケは坂本真綾が高校生時代に好きだった男の子がOasisを聴いていたからという結構ベタなもの。そのうち男の子がどうでも良くなりドハマリしたらしい。リアムのやる気の無さが逆にかっこよかったとか。

 また、坂本が「Don't Believe the Truth」への感想を番組内で求められる場面があり、それに対してこうコメントしている。

 

※聴き取りながら文字起こしをしてみました。不備があったらごめんなさい

 

坂本「そうー、なんかねー、最初に1枚、ずーっと聴きながら、やっぱりさっきも言ってたけど、ちょっとライブっぽい、生っぽい、セッションの感じがね、して。

だからこそ、なんかね、ボーカルの声がすごく前に来た感じがしたの。

で、まあ私すごく歌う人だから、声がすごい音楽で、私の中で重要なの。

それでリアムの声素敵だな~って思ったけど、ノエルが歌ってる声がまた更に、前以上にとっても好きになって。

で、良いな良いな良いなと思って聴いてたらね、最後の方でアレって思ったのが、2人で同じ曲を歌ってたんですよ。

えっと、Let There Be Loveって曲なんですけど、この曲を聴いてた時におっ!!って思ったのね。リアムのときもノエルのときもあったけど、これってあったっけな前にって思ったけど、やっぱりー初めてのことなんだってね。

それが、なんかねよくわかんないけど嬉しかったの勝手に(笑)

兄弟が一緒に1曲持ち曲歌ってるのを聴きながら、なんかこうLOVEってテーマで歌ってるその感じが凄いあったかくて、聴いててなんかね胸があったかくなった。」

そしてDJの6枚目にして初めて・・・もっと早くても良いんじゃない?(笑)というコメントに対して、

坂本「でも、なんか、その、すごい、その時間があったからこそ改めて嬉しいのかなー(笑)」

 

 

…こんな感じのことを1分半に渡り喋りまくっていた。

 

 水樹奈々と負けず劣らずの熱量を感じさせ、ウッキウキで興奮しながら語ってるのを聴いてるとほんとに好きなんだなーと感じました。

 

 こうやって見ると、坂本真綾には昔からロックの血が流れていたのかもしれない。

 

 ちなみに、その時に流した曲は「Rock 'N' Roll Star」「Roll With It」「Stand By Me」「Live Forever」「Lyla」「The Meaning of Soul 」である。

 

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 坂本真綾Oasisを熱く語る機会は多くないが、かなり語っていたこの番組を見るに相当のものを感じさせた。

 坂本真綾が他に好む洋楽はかなりマニアックだった記憶があるが、そちらは僕も探し当てられなかった…。そちらについても、ぜひ機会があったらガッツリと喋って欲しいものである。

 

  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々はどちらも大のOasisオタクである。

しかし、特に理由はないがお互いの好きなOasis像は異なる気がしている。これは本当に偏見でしか無いが…。

 そして、触れたキッカケがかなり異なるということや、触れた時期も異なるため違う見解を抱いている可能性もある。また、好きな音楽が異なるという点も大きいんだろう。

 そういうわけで、Oasisについて坂本真綾水樹奈々がガッツリ対談するっていう企画どうっすか?

 オタク同士の愛の深さが故、喧嘩になるかもしれないけどソレはソレで面白そうなので是非。

 

両者の相違点

 さて!ここまで両者の生まれた時代背景、経てきた道、好きなものから共通点を漁ったわけだが、ここからは相違点を色々と見ていこうと思う。

 

まず、両者の相違点はこのようになると僕は睨んでいる。

  • 活動スタイル
  • 音楽性
  • 歌詞
  • 楽曲の雰囲気
  • ライブや本人のノリ
  • 人生観

順におって紹介しよう。

 

1.活動スタイル

 まあ、お互い違う人間なので違うのが当然なのだが、同世代のこの2人はアニメ作品に数多く出演するものの、その活動スタイルが大きく異なる。

 

 まず、出演作の傾向が異なる。

まず、超主観で水樹奈々の代表キャラを集めてみた。

次に坂本真綾

 この両者の出演作、まあ充分とは言えないのだが、見比べて気づくことはないだろうか?

 

 そう、坂本真綾水樹奈々に比べると基本的にシリアスめの作品に出ることが多く、水樹奈々は歌がメインのアニメに出ることもある、ということだ。

 

 これは、活動スタンスもそうだが、両者が今まで培ってきたイメージや歌のイメージにも大きく由来しているのだろう。

 

 そして、坂本真綾はあまりキャラソンを歌わない。これは水樹奈々がキャラソンをよく歌ってるのと対象的なのだが、必然性もなくキャラソンを歌うというのが余り得意ではないらしい。

 

 さらに、水樹奈々坂本真綾を比較すると坂本は吹き替えの仕事も多いようで、ナタリー・ポートマンを吹き替えている回数は非常に多い。

 一方、水樹奈々ジェニファー・ローレンスミランダ・コスグローヴなどの吹き替えを担当したことがあるが、坂本真綾と比べると多くはない。

 

 また、水樹奈々がアニメ音楽フェスAnimelo Summer Liveに何度も出演経験があるのに対し、坂本真綾は歌手歴やアニメソング担当歴の多さに反して出演した経験がなんとゼロ。

 そのかわりに、FlyingDogのフェスである「犬フェス」矢野顕子主宰の「矢野フェス」、さらには「ROCK IN JAPAN FES」大型フェスへの出演経験を持つ。

 この2つから見るに、水樹奈々の意識はアニメソング歌手であり、坂本真綾の意識はミュージシャンである、という違いが見えてくるように思う。

 水樹奈々スガシカオ主宰のフェス「スガフェス」など、音楽フェスへの出演経験があるものの、大部分はアニメソングのリスナーを対象にしたフェスがほとんどである。

 一方、坂本真綾はアニメソングリスナーではなく、もっと広い音楽シーンのリスナーに対してアプローチをしているように思う。

 

 このように、両者のスタンス、特に坂本真綾のスタンスはともすればアニメオタクたちからは敬遠されそうなものも感じるが、この違いは非常に興味深いと感じる。

 

 おそらく、音楽性の違いにも大きく依存しているのだろうし、かつての師匠が矢吹俊郎菅野よう子か、というのも関係しているように僕は考えている。

 

2.音楽性

 水樹奈々坂本真綾でおそらく最も大きく異なり、わかりやすいのはその音楽性の差だろう。

 

disheatchaos.hatenadiary.com

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 過去に両者について記事を書いたことがあるが、その音楽性はまったくもって異なる。 

 

 まず、水樹奈々は歌謡曲的なバックボーンの強さもあるが、基本的に志向しているのはライブ映えするアニソン、もしくはアイドルミュージックのポップさであり、ヘヴィメタル的な要素のあるロックである。

それは、三嶋章夫プロデューサーの影響も大きいのだろう

。更にかつては矢吹俊郎プロデュースだったことも関係しているだろうし、上松範康(Elements Garden)がその後を大きく担っていたことからも想像に難くない。

 また、水樹奈々もポップソングを数多く歌っているが、その音楽もかなりストリングスを使い、そのポップさも90年代アニメソングの延長線上にあるように思う。

 

 そして、その傾向はElements Garden一辺倒でなくなってからも、変わっていないように感じられるのだ。

これとか、

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これとか、

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これとか、

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これとか。

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バラードだと、深愛、ソレ以外だとAngel Blossomも当てはまるだろう。

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 楽曲提供者の説明、傾向などはこちらにもある程度示したので割愛させてもらう。

 

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 僕が思うに、彼女がこのようなものを志向するのは単純に好きなのもあるのだろうが、ライブを意識しているのも大きく関係しているのだろうと考えている。

 実は、矢吹俊郎矢沢永吉の大ファンである。それが水樹奈々にも影響したのか様々な楽曲でタオル回しのパフォーマンスが取り入れられている。

 さらに、水樹奈々は歌手としての活動も活発で、コンスタントに音源をリリースし、長期のライブツアーも行う。

 そういった活動になると、やはりライブというものを常に意識するのだろうし、そのような時に盛り上がれるような楽曲というのを念頭に考えるのではないかと僕は考えている。

 そして、そういう時に盛り上がれる曲、というとベタなバラードであったり、ヘヴィメタル的な高速ナンバー、はたまたアイドルやアニソン的なポップソングミュージックになるのだろう。

 彼女自身に幼少から演歌や歌謡曲の血が流れていることも、今の音楽性の一助になっているのだと思う。

 譜割りも割と楽曲に対して素直な印象も強く、シングアロングになりそうなパートも用意されているのである。やはり水樹奈々パフォーマーであり、歌手なのだ。

  ちなみにコラボ相手がT.M.Revolutionだったのも考えるとやっぱり、そうなんだなと…。

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 そんな、水樹奈々に対して、坂本真綾が志向しているのは基本的にはポップスである。

それは現在の数多くの楽曲提供者の傾向から見ても明らかだろう。

 少しだが、菅野よう子以降の彼女への楽曲提供者を書き出してみた。

他にもバンド単位だとSchool Food Punishmentthe band apartが挙げられる。

 彼ら、彼女らは基本的にアニメソングを主戦場にしていない人ばかりである。

 また、トリビュートアルバムでは上記の面々に関係する者以外にもLUNA SEASUGIZONegiccoなど普通の声優アーティストの世界で名前を聴くことはないような人が集まっている。 

 

 これだけ、アニメソングを主戦場としない人が集まり彼女に楽曲提供を行うのなら、それはもうアニメソング的なポップさがありつつも、全体的にはちょっと変化球のあるJPOP、またはバンドサウンドになるのである。

 彼女は菅野よう子によって音楽的感性を開花させてもらった1人であるし、ソレ以前はOasisなどがありつつも音楽的バックボーンがほぼまっさらだったのだから、そうなるんだろう。

これとか、

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これとか、

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これもだし、

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これもそう。

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あと、これとか

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これとか、

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これなんかもそう。

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※ちなみにこれが菅野よう子曲である。

  

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 聴いてみると、そのどれもが単純にアニメソングと言うにはちょっとカテゴライズの難しいものばかりである。

 

 そして、水樹奈々に比べるとどれもこれも音圧が低いように感じるのは、基本的に水樹奈々ヘヴィメタル的な志向を持つのに対し、坂本真綾がポップスを志向していることに由来しているのだろう。

 

 さらに、ライブを頻繁に行うタイプではないためか、坂本真綾の曲にはライブでの盛り上がりやシングアロングなどは余り想定されておらず、音源の完成を持ってもうそこで1つの作品としているように感じられるのだ。

 特にバンアパの提供曲「Be Mine!」やsfpの「Buddy」小山田圭吾菅野よう子提供曲に顕著だが、坂本真綾の曲は譜割りがかなり独特なナンバーが多い。

 そのため、シングアロング出来ないこともないが基本的に歌いにくいものが多く、そういうものには向いていない。

 

 また、水樹奈々の音楽のノリはライブであり、坂本真綾のノリはコンサートといったほうが良いくらいに客層が完全に異なる。

 

 これらの理由から、坂本真綾の楽曲はライブで盛り上がって聴く、というよりは落ち着いて座って聴くという方が似合うものが数多く存在している。

 またライブを想定せず音源で1つの作品として完結させるため、かなり実験的な作風にチャレンジしていることが水樹奈々と比較すると多いように感じられた。

 冨田ラボの作品にゲスト参加してるしね。

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 実は、坂本真綾の自作ナンバーもいくつか存在するが、それはどちらとも非常に素直なメロディラインとシンプルな旋律で構成されているため、この辺の傾向は水樹奈々と重なる部分があると最後に追記しておく。

 水樹奈々のほうが歌謡曲的なメロディラインの懐かしさが垣間見えるのだが。 

 

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  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々の音楽性の違いは根本的な志向の違いやバックボーンの有無、プロデューサーの教育の違いもあるが、楽曲提供者の性質の違いやライブの想定の有無や歌謡曲的エッセンスの度合いに依存している。

 また、水樹奈々の場合は水樹奈々に楽曲提供者が合わせる」傾向があると思うのだが、坂本真綾の場合は「楽曲提供者が自由にやっている部分に坂本真綾が乗っかる」という違いも存在するように思えた。

 

3.歌詞

 歌詞の面から両者の違いを明確にしていきたいのだが、人生観などが明確になるように、ここは自作歌詞に絞って比較したいと思う。

 はじめに、水樹奈々の場合を取り上げたいのだが、水樹奈々の歌詞は非常に独特な当て字が多い。

 

”銀河を舞うDiamond dust-天使の囁き-

確かな記憶を辿って

これからきっと生まれてく 真実へのトビラ

どんな冷たい暗闇に 縛られていても

僕は知りたいから 決して止まらない”(SECRET AMBITION)

 

"今すぐ君に届けたい

曇天-嘆きの空-を貫いて

夜が見せる星の鏡 真実を照らしていくよ

緋色の鍵 こだまする

僕の鼓動はもう止められないから"(SCARLET KNIGHT)

 

”あとどれくらい 未来(あした)数えて

あとどれくらい 涙枯らせば

僕は僕でいられるの…? 教えてHow to fly

言葉より確かな歌ーあいーで 不協和音ー迷いーを打ち砕いていく

束ねた気持ちに嘘はつきたくないから”(Vitalization)

 

 …とまあ、こんな感じで独特の当て字が多い。また、曲の傾向や使用されるアニメの傾向もあるのか、「僕」という主語を多用しており、勇壮な歌詞で周囲や自分を鼓舞するような歌詞がかなり多く見受けられる。割と漢字が多く使われてるのも傾向の1つだろう。

 では、そういう方面じゃない歌詞を見てみよう。

 

”あなたの腕に抱かれて眠る

何もかも捨てたっていい

良いコのままの幻影-まぼろし-なんて作るのはやめて

本当の私を見つけて

ずっと待ってる…”(夢幻)

 

”輝け 夜空に虹を架けるほど

誰も知らない君を知りたい

どんな理論も通じない

この想い信じて

新しい時間(とき)を紡ぎたいよ 一緒に”(Angel Blossom)

 

”果てしない宇宙(そら)へ何を願えば

すべて許しあって笑えるだろう

そう、目をそらさず心の奥に夢を灯せば

どんな明日が来ても歩けるはず

どんな明日が来ても君と共に”(愛の星)

 

  ここから見るに「君」に語りかける内容の物が多いように思われる。

そして、そこには自分という主体が内包されており、自分から君へというかなり指向性の強い意志を感じさせる。そしてそれは強い励ましのメッセージ性を帯び、それらが人の背中をドンッと押したり、腕をぐいっと引っ張り上げ、そして強くストレートに誰かを求めるのだろう。

 

 これらから見るに、水樹奈々は自分を鼓舞すると共に他者を引っ張り上げるということ、ある意味「ヒーローである自分」を非常に意識している。

それと共に、愛情についてもそのメッセージ性は非常にストレートである。

 彼女は周囲が見ている水樹奈々像をかなり客観的に捉えた上で形にしているのだな、と僕は思っている。

 

 一方、坂本真綾の場合だが、彼女の書く歌詞は非常に平易な言葉により構成されている。

 

”人類の欠点は 見えもしないくせに 愛とか絆とか信じられること

僕の罪はうたがったこと 差し伸べられた君の右手 初めて見たヒカリ”(レプリカ)

 

”Be mine!

あらがえない欲望にkiss and cry

てっぺんで見下ろしたい

完全掌握の結末を

It's mine!

欲しいものがあるなら目を離すな

絶対に勝ち取りたい

単純明快なひとりごと”(Be mine!)

 

”恋より気持ちよくて 絹より美しいの

この世にふたつとなくて 永久には続かないの

もし見つけたら半分きみにあげるわ”(FOLLOW ME)

 

 このように、平易な言葉でありながら語順や言い回しを巧みに変えることで抽象的な含みをもたせている物が多い。

 また、水樹奈々に比べると自分自身の欲望が前に出ている。

 そして、自分の望むものが余裕があったら君にも見せたい、というくらいの緩さもあり、根本的に他者はあまり介在していないように思う。

 

 また、他者に語りかける傾向が強い歌詞はというと以下のものが挙げられる。

 

”たしか あなたが置いてった

かすかな手触りや声や飲みかけのグラスとか

探すけど何もない

さっきまで包まれながら

ひとつになれたはずなのに

すくいあげる水のように跡形もなく消えてゆく”(夜)

 

”空と地上のあらゆる境界線を 越えてゆくよ

今夜あなたを連れて

そらさないで

この景色を

ちゃんと見てありのまま

青いひかり 水の匂い

愛を歌う人の声 これが僕らの住む世界”(30minutes night flight)

 

”君に出逢って優しくなった

自分でもわかるほど変わった

弱くもなって強くもなった

君だって すてきになった

笑い方や へんな癖が

似てきたと気づくきょうこのごろ

それも悪くはない 変わりたい 君と一緒に”(プラリネ)

 

”あなたが何か尋ねるときは 答えがすでにそこにあるの

自分のために選び続ける その苦しみと誇らしさを

知っているから そばにいるから あなたが思う未来のこと聞かせて”(Ask.)

 

 他者に向けた歌詞だが、あまり他人をどうこうしようとか救おうという気負いは少なくともこれらからは感じられない。

 どちらかというと、静かに答えを待ったり、より日常の幸せを噛みしめるような物が多く、背中を押す、引っ張り上げるというよりは寄り添う、待つという物が多いように見受けられた。

 

 これらから見るに、坂本真綾は非常に自然体で自分の見た感性や思ったことをかなり素直に歌詞にしており、そこに他者からどう見られているかということを余り意識していないように思う。

 そして、愛情表現はストレートと言うよりは数々の言葉の言い回しで滲ませる程度にしており、相手に想像の余白を残しているように思う。

 また、自分という主体性よりは他者と寄り添うという意識のほうがおそらく強いのだろうか。自分で状況を思い切り変えるというよりは、受容と一種の達観が非常に強く見られる。

 坂本真綾水樹奈々と対照的に「自分がどう見られソレに応じて振る舞うか」というよりも「自分の今思っていること、自然体であること」を優先しているように僕は思うのだ。

 

 水樹奈々坂本真綾も対照は違えど、死をテーマにした歌詞を書いている。

 

”ありがとう 伝えたい

たくさんの音に乗せ

照れ臭くて言えなかった想いを込めて

ありがとう 届けたい

大好きなあなたに

どこにいても繋がってる

歌い続けるよ”(水樹奈々:夢の続き)

 

”そして冬が終わる

憂いを振りほどいて

君が好きだった季節が

すべてをさらい 過ぎて行く

ああ このまま このまま

僕は向かう

誇りを胸に抱いて

君が好きだった世界で

君と見つめた その先へ

僕はこのまま このまま”(坂本真綾:誓い)

 

  震災前と震災後、という違いはあるが両者はどちらも作詞作曲を自分で行い、命の喪失と自己について述べている。

 しかし、どうだろう?勿論水樹奈々のものに関しては父に宛てたもの、というのも考慮するがその捉え方は坂本真綾と異なるのではないだろうか。

 水樹奈々の場合は悲しさよりも、喪失よりも希望や決意のほうが強く滲んでおり、やはり前に強く背中を押してくれるようなものになっている。

 一方、坂本真綾の場合は、思い出を噛み締めるようにあまり多くを語らず、決意はあるがそれはある種の無常感を孕んでいるように思う。

 

 以上から、誰かを喪うということに対して、

 水樹奈々遺された者が強く振る舞うという役割をしっかりとこなし、既に未来に軸を置き、決意を宣言する、というストレートな強さを感じ、

坂本真綾遺された者の哀しみを滲ませ、どちらかというと軸足は思い出にまだありつつも静かに決意するという静かな強さを感じさせる。

 

 このように、2人は強さの表現の仕方や死生観もかなり異なることがこちらから見受けられるだろう。

 

  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々の歌詞傾向の違いを文字にして明らかにすると、彼女たちの感性そのものがかなり異なっているように思える。

 水樹奈々は常に何かしらの希望を表現して皆のヒーローとして生きているし、坂本真綾孤独を見せたり感謝を見せたりといつも自然体で生きている、という生き方の違いを歌詞から垣間見ることが出来た。

 

4.ライブや本人のノリ

 続いてライブや本人のノリ、そして互いに近い(完全な主観)アーティストを色々と見てみたいと思う。

お互い、明白に違うことなんてわかりきってるのだが、改めてきっちり言語化するとどうなるのか?そこに注目したいと思う。

 なお、会場によってノリに差異が出るとよろしくないので、水樹奈々坂本真綾のどちらもさいたまスーパーアリーナの映像を使用している。

 

 まずこのライブ映像を見てほしい。

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 大所帯であり、演者も動き回るが観客もかなり動く。まるでスポーツだ。

そして、楽曲面でも触れたようにしっかりとコールアンドレスポンスが確立されているし、煽りも含め、ライブと言ったほうが適切なノリである。

 本人もソレに応じてかなりエネルギッシュに歌い、動く。そして聴かせるところは聴かせる。

 生き急いでいる感、ドラマチックな演出、熱狂的な完成、溢れ出る気合と根性、ある種のクサさ含めてどことなく体育会系アーティストっぽいのだが、僕はこういうのに近いアーティストを知っている…

 

紅だーッッッ!!

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 冗談抜きで、最初に水樹奈々のライブ映像を見た時はエクスタシーレコード界隈とかなり被った。

 どっちも気合と根性だし、なんかやたらドラマチックに華々しく生きて、突っ走っていく感じとか本当に似ている。あと、前例をやたら拒みまくるところとかまんまソレ。

 

 あと、ストイックさで言えばLUNA SEAとも重なるだろうか。

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 水樹奈々の普段を見る限り、こういう無茶でも実行しそうだもの。

 

 そして、LIVEの一体感と言えばGLAYだろうか。

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さらに、SIAM SHADE的な男気みたいなものを感じる。

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 まあ、水樹奈々はこの辺の方々とノリが近いのだ。

 勿論聴かせるところは近いのだが、非常に一体感があり、観客を巻き込んでいく熱狂。そして、ソレに見合うライブパフォーマンスとしての能力の高さと突っ走っていく楽曲の多さ。

 エクスタシーレコードの界隈の中でも激しいのはだいたい水樹奈々っぽいよ。

 

 こちらの映像を見てほしい。

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 もちろんライブと言えるような盛り上がりもあるが基本的には盛り上がる、シングアロングもある。

しかし、やっぱり共に歌うよりはというよりは歌に聞き入るような楽曲が多い。

そのためか、ノリが全く違う。

 

 そして、生き急いでるという感覚は薄くどことなくマイペースである。そしてやってる楽曲はよく聴くと変態じみている…。さらに、盛り上がりよりも世界観を重要視しているように思う…。

 

BUCK-TICKなんじゃね?

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 よく聴くと変なんだけど一聴するとわからないし、世界観を重視してるところが似てるじゃん。似てるんだよ。

 

 あと、気合とかそういうのが坂本真綾には見えてこないし、かなり独特なノリって点ではPlastic Treeも近いかもしれない。歌詞の傾向も少し似てるし。

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 音楽性はまるで異なれど、観客というよりは自分が歌うこと、伝えることを重視している姿はDIR EN GREYが重なる。まあ、バリバリ煽ってたりするけど。

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 僕は坂本真綾に徹底した自信の美学の貫徹を見てるのだが、ある意味水樹奈々とは別方面でストイックと言える。そしてそれはMALICE MIZERの幻影を魅せるのである。

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 正直、此処にかこつけて好きなのぶち込みたいだけだったんだけど、

まあ8割くらいはわりとガチで重なると思っていますよ。美意識が徹底されてるところが似てるし。そういうことなんだよ!

 

  • まとめ

 水樹奈々坂本真綾のライブのノリは全く違っていて、それは他者との対話か自己との対話か、観客を巻き込むか自分に深く入っていくかでどこまでも違うということがなんとなくわかりました。

 あと、好きなバンドをこれにかこつけてあれこれ紹介できたのはよかったです。

あ、マジで共通項があると思って貼ってますよ。別にただのおフザケじゃないんです。

 

5.人生観

 最後の項目だ。ここまで長かったね。僕も長かった。

 これは、今までの総評に近いものになる。

 まず、水樹奈々坂本真綾はこれまで、あらゆる部分が異なっていた。

それは、歌詞もそうだし音楽性もそうだし、ライブでのノリ方や活動スタンス…

すべてが全く違う。

 

 水樹奈々はこの発言に全てが象徴されているように思う。

 

”前例がないのなら、それを作ってしまえばいい。

新しい手法を見つけて、新たな道を切り拓けばいい。

ただそれだけのことだと思った。

今まではこうだったとか、誰かがこうしていたとか、

そんなことに縛られるのはつまらない。

私は、我が道を突き進もうと思う。

前例がないことを、どんどん形にしていきたいと思う”(著書、深愛より)

 

 彼女はとてもストイックな人なのだ。常に自分の限界を追い求めて、自己を律し続けている。常に走り続けるのが水樹奈々という1つの象徴である。

 

 一方、坂本真綾の人生観は此処に集約されていると思う。

 

”自分の居場所というのは、どこかにあるのではなく、

すべての場所がそうなり得るはずだと思えてきたんです。

だから、すべての場所が帰れる場所、私の向かっていける場所という意味で、『everywhere』なんです。”(2010年yorimo)

 

 

 どこまでも、自然体であらゆる物事を受け入れる。切り開くのではなく、視点を変え、自分の変化の過程を繊細に見続け、それに正直に生きる。それが坂本真綾なのだ。

 

 このように見ると2人のスタンスはまるで違う。それは生き方の違いであり、価値観の違いである。

 生まれた場所が違えど、同じ年齢、同じような社会背景のもと幼少期、思春期を生きたはずであろうこの両者が、歩んだ道筋によりここまで違う視点に至るのだ。

 これほど興味深いものはないだろう。

 

総合的なまとめ

 水樹奈々坂本真綾は共通項こそあれど、差異は本当に大きかった。

それは単なる楽曲の違いや水樹奈々の喋りは全体的にAMラジオっぽいとか、役回りの違いを超えた生き方や人生観の違いに繋がるレベルのものである。

 

 同年齢、同世代という大きなくくりがあるにもかかわらず、歩んだ道や関わった人たちの違いにより、物の見方もそうだし、自分に対する捉え方も異なるという当然のことを再確認するに至った。

 

 このスタンスの違いは両者のファンの違いに繋がっているだろうし、だからこそ、この2人はファン層が全く違うのだろう。

 

 しかしながら、Oasisを好むという点は完全に一致している。

 おそらく、好きな年代や好きな曲、好きな点など細かい部分は異なるのだろうが、そういう部分を超えて全く生き方の違う人間が「Oasisが好き」という一点で重なり合うということ。

 この出来事は1つの奇跡であると思うし、音楽を好きでいることや沢山のことを知っていることの喜びを噛みしめることが出来た。

 僕に音楽への興味がなかったら、どちらかを知らなかったら、Oasisを知らなかったら、どれが欠けても一生知り得なかった事実である。

 

音楽的なバックボーンがまるで異なる事も考えるととても面白いことだと思う。

 

 元々単なる同世代比較や興味で書き始めたこの記事は僕にとって、関わる人の重要性や人生の妙味のようなものを改めて実感させるとともに、自分自身について改めて見つめ直す良いものになった。

 

 好きな人や、物、アーティスト…なんでもいいが好きを掘り下げて突き詰めていくと、結局は自分というものをイチから見つめ直すことになるのだから。 

 

最後に

 はじめは書くのに難航した気がします。

 思いつきで考えてみたけど、どうやって書けば良いのかもわからないし、どこに着地するのかもよくわからないまま書き始めました。

 内容はいままでぼんやりと思ってたことですが、それを言葉として出力するというのはこうも異なるのかということを改めて実感したと共に、この記事を通して、社会風俗や歴史、経済など様々なことを復習できたので非常に有意義でした。

 

 あと、おそらく日本ではじめてのタイプの記事なんじゃないかなーって思います。

それはちょっと嬉しいです。

これからも色々思いつけるように柔軟な心を保ちたいなと思いました。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

おすすめ‼ペヤング激辛MAX END食レポVtuber

はじめに

 僕はホラゲ実況Vtuberの悲鳴だけ集めた動画が凄い好きです。

 絶妙に素人っぽさと所々ガワを被ってる余裕がなくて「素」になってしまう瞬間があるのがたまらなく良いです。

 誰がはじめたが知らないがなぜかバーチャル世界に最も不向きな食レポが流行ってしまった昨今。有象無象の沢山のVtuberが激辛料理の食レポに挑戦しました。

 今回はその中でもとくに流行ってた気がするペヤング激辛MAXEND」食レポVtuberの動画でお薦めなのを貼っていきたいと思います。

 

ペヤング激辛MAXENDとは

 

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ペヤングさんが作り出した辛いのが苦手な人にはマジで地獄になる馬鹿の食べ物

 あのペヤングでおなじみのまるか食品さんが、技術の粋と悪ふざけをひたすらに結集して作った激辛フード。

 食べると後からくる辛さ、そして傷口に塩を塗るかのような世間の風の空気は自身を責めさいなむ痛さです。お手軽に生を実感することでしょう。

 ちなみに、一番怖いのは翌日のトイレです。肛門に地獄の門が出現します。

 自傷行為がしたくなったら食べると良いです。あと、食べ物なのでちゃんと美味しいは美味しいです。さすがまるかさん。えらい。

www.peyoung.co.jp

 該当商品の紹介はこのくらいにして、とりあえずお薦めのVtuberによる激辛食レポ動画を皆さんで見ましょう。

 

1.富士葵「【激辛】ペヤング激辛MAXENDを食べたらすごいことになった…」

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 歌声の素晴らしさと味のあるモデル、そして意味不明な企画と独特の背景のセンスでi一躍人気になった富士葵。モデルチェンジして垢抜けたのが嬉しくも寂しいです。

 確かこの子の動画からペヤングの激辛MAX ENDを知りましたが、この動画の良い点。

  • リアクションがオーバーじゃない
  • 辛味が襲ってきた後の背景のセンスが独特すぎる

 この子自体、動画にものすごくNHK教育テレビ集がするのですが、あのなんとも言えない空気感に近いうたのおねえさん感。

 そんな彼女が当該商品を食べるとごくごく普通に「から~い!」と言って取り立て騒がないのがむしろリアリティを感じます。

 

 その半面で辛味が襲ってきたときの背景がどっかの渓谷と血液だかマグマだかよくわかんないのがひたすらに吹き出しているカオスな映像。この背景センスが富士葵クオリティ。

 

あと、そこに乗っかる勇ましい音楽と富士葵の貴重なだみ声。人類の宝です。

 見てるこっちがついていけないことこの上ない不思議な映像なのでぜひ。

 

2.あっくん大魔王「あっくん大魔王VS激辛MAXEND」

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 主にゲーム実況やライブ放送を中心に活動している個人の自称魔王Vtuber

 魔王っぽかったのは最初の映像だけで、もう普通のYouTuberと大差ないとか言ってはいけない

 

 そんな彼も魔王なのにわざわざ人間様の時流に乗っかって当該商品に挑戦し、編集した動画。

 この動画の良い点は

  • テンポが良い
  • マジで嫌そう
  • リスナーに優しい
  • ペヤングをdisる

  おおよそ1分半の動画でサクサクと進んでいき、食べた後は自分の顔の雑コラで表情変化をつけて「い"だい"…!」って言ったりむせたりしてるのがまずとてもゾクゾクする。

 

 その後、商品を催涙スプレーにたとえていて画面の向こう側でリアルに悶絶してるっぽいのが非常にいいですね。

 

 「なんでコレ食ってんだろう…」とか「流行りに乗るんじゃなかった…」ってぼそっとつぶやいてるのもツボです。そして、半泣きで「これ今日の晩飯なんだよ…?」「ペヤング頭おかしい…」って言ったり、最後にはリスナーに注意喚起。

 

本当に魔王か君?

 

 これらがサクサクとテンポよく進んで行くのがとても素晴らしいです。

あと、本気で嫌そうなのがとっても良い。

 お手軽動画なのでぜひぜひ。

 

3.YUA/藤崎由愛「【罰ゲーム】歌ってみた?水着?食レポ?要望に応えてみた【ペヤング激辛 MAX END】」

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 一応正統派女子高生なVtuber。ポリゴンの感じがとてもいいのも良しです。

 そんな彼女が動画の企画としてリスナーに募集したなかで特に集まった「歌」「水着」「ペヤング激辛MAX END」から選んだ動画がこちら。

 歌を語る時に目からハイライトが無くなったり、水着を語る時に完全にあざといのですが、この動画の良いところは

  • プロのお仕事
  • なんかエロい

 そう、ここである。この子に関しては基本的にプロの技術の結晶という意味合いが強いためか、なかなか無理をさせることは難しい。

 その代わりに培ってきた経験値からくるコメントのうまさや、ペヤングを食べたときの喘ぎがなんかエロい。しかも3回も繰り返してくれるから完全に売り出し方をわかっている。そこにプロのお仕事を感じてしまうのだ。

 

 多少企画がぬるくても、エロは正義

 

4.織田信姫「ペヤング激辛MAXENDを食べる信姫」

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  色々あって戦国時代から現代に飛んできて天下統一のためにVtuberをはじめたとかいうネタの大渋滞。

 そんな彼女も当然のように時流に乗っかって食レポをするわけだが、この動画の良いところは

  • ネタが多すぎる
  • たれぞうクオリティを崩さない

 

 まずこの動画はオープニングから初期ワンピースのパロディであり、走ってくる肩幅広めのやつはアストロガンガーのパロディである。

著作権対策か微妙にオープニングの音楽と違うやつにしてるのがまず信姫クオリティ。

 中身はというと伝説のYouTuber「たれぞう」を再現するために独特のイントネーションで商品情報を読み上げたり、クチャラーを再現している。そしてとにかく淡々と食べる。一応激辛商品なのに。

 そのスタンスを崩さないまま、途中苦しくなったり、むせたり、涙声になりつつもうわ言のように「○○が広がって…おいしい…」「おいしい…」とうわ言のように呟くその様は、世界で一番無駄な3分半弱。でもなぜか無性に見たくなる。

 

MAXENDのセールスとしての効果ゼロだろこれ。

 

 ぶっちゃけ、色々と織田信姫の実年齢が見えちゃうネタのチョイス感がとてもツボです。

 

5.鈴鹿詩子「古の腐女子が飲酒しながら視聴者さんのB〇体験談を読みながらペヤング激辛MAXENDに挑戦!」

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 Vtuber界でもライブ放送主体のにじさんじ界隈。その中でひときわ母性と行き場のない性欲が溢れ出るにじさんじ腐海鈴鹿詩子の動画。

 なんかビジュアルからは想像できない低めな声で色々とやばい話を淡々とする古の腐女子もこの食品を食べている。みんなして乗っかるのだな。

 そんなこの動画の良いところは、

  • 企画の時点で頭がおかしい
  • 鈴鹿詩子も頭がおかしい

この2点だろう。

 まずこの企画の趣旨がもうわからない。なぜこうなった。

 基本的ににじさんじは生放送が主体なので、リスナーとのふれあいという意味合いがかなり強いタイプのVtuberが多い。

 そんな中で、鈴鹿詩子のこれは流行りに乗っかりつつ、BL体験談をキモオタにちゃにちゃ感満載で読むとかいう馬鹿の所業を1時間に渡り見せられる。

 

なにこれ?

 

 しかも飲酒しながらやる。完全にすべてが狂っている。

 鈴鹿詩子ママも狂っているならリスナーこと詩子チャイルドも狂っている。

 特にショタっぽさが漂う体験談を投稿してくるリスナーには彼女もニチャニチャキモオタスマイルで応戦する。これが古の腐女子か。

 所々BL体験談へのガチのお叱りをしているあたりこの人恐ろしいなって思ってしまいますね。

 

 正直BL体験談でリスナーを腐海に引きずり込む間にMAXENDを食べ、酒をキメるという場末感が凄まじい動画なのだが、独特の魔力がある。

 

 ママァ…。

 

6.ときのそら「【恐怖の森】親友にホラゲさせながら激辛ペヤングMAXENDを食べた結果…【音割れ注意】」

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 Vtuber界が誇る母性の権化、ママ代表ときのそら。そして、ホラーが死ぬほど苦手なときのそらの親友Aちゃん。

 

 そんな2人が組み合わさって生まれたのが、親友Aちゃんにホラゲをさせつつ、ときのそらはペヤングを食べるとかいう何も混ざり合わない企画だった。

 なぜ、ときのそらじゃないかって?この子恐怖耐性がカンストしてるから意味がないんだ…。

 

 この動画の良いところは以下の2点だろう。

  • 怖がりな人のマジな絶叫が聴ける
  • 企画のシュールなミスマッチさを味わえる

 まず、Aちゃんはマジで怖がりである。今回のゲームは「恐怖の森」なので個人的にそんなに怖いとは思えないのだが…

怖がりなAちゃんは音割れする勢いで大絶叫する。

 

 その綺麗な悲鳴がマジでいい。とてもいい。

 

 そして、ときのそらは最初こそ気にかけるもののプレイの裏で淡々とペヤングを食べ始める。ホラー耐性もさることながら激辛耐性もあるときのそら…パネェっす…

 2人共お互いを気にかけているのが尊いなあ…って思いつつもAちゃんの絶叫具合がかなり心配になってしまう。

 ときのそらは「辛…(笑)」とか言ってるけど反応のその薄さでポテンシャルの高さを見せつけているのも地味に面白い動画です。

 

7.道明寺晴翔「【マリオカート8DX】1位取るまでペヤング激辛MAXEND食べ続けてみた」

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 主にゲーム実況を投稿しているゲーム部プロジェクトのVtuber

基本的にナルシストキャラなのだが、流行りに乗っかった結果…

 1位になるまでペヤング激辛MAX ENDを食べ続けるという悪魔合体を果たしてしまった。

 個人的にすごいお気に入りの動画。 

 

 この動画の良いところは、

  • ガチゲーマー特有のイライラタイム
  • あまりの激辛にキャラが保てなくなる道明寺

ここに集約されている。

 

 ゲーム部、というだけあって道明寺はマリオカートに中々の腕前を魅せるが、この動画だと1位にならないとペヤングを食べ続けないといけないというプレッシャーからか1位を取れない。

 そのたびにうめいて喉がガラガラになりながら、食べるさまが面白い。

 そして、動画が進むに連れて所々演技をしてるもののどんどんキャラが保てなくなっていき、「4発当てたろ!」「一発ぐらい当たるだろ!」とガチ切れしたり、

音声は消えているが明らかに台パンしたのがわかるモーションだったり、ただのイライラゲーマーを見ている動画に変貌するのがとにかくすき。明らかに嫌がっている。

そのキレている様がマジで好きです。

 

 台パンモーションがわかった時は流石に笑うしかなかった。

 

8.湊あくあ「【Vtuber】はじめての激辛ペヤングMAXEND・・・・・・【30000人記念枠】」

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 実は昨日ライブ配信された動画。主にライブ配信を主戦場に活動するホロライブ所属のVtuber。ちなみにときのそらもここ所属である。

 

 普段はゲームの実況や雑談を主に配信してるのだが、今回はチャンネル登録者数30000人記念に何をトチ狂ったのかペヤングを食べることに。実はこれを見てこの記事を書こうと思いました。

 

 個人的に色々な感情が沸き起こる動画で、その良いところは…

  • 芸人根性で完食する
  • 悲鳴、絶叫、発狂のオンパレード

 おそらく、今まで上げた動画の中で一番リアクションがヤバイのはこれだと思っている。

 まずもって、辛いものが苦手らしい。

 そのため、一口目からめちゃめちゃ緊張していて食べるのを躊躇しており、見てる人間が心配してしまうほどである。それでも一口目を食べると…

けたたましい悲鳴と絶叫が響き渡る。

 

 正直見ているほうが「もう良いんじゃないかな…」って本気で心配するレベルである。しかし、Vtuberという世界はなかなか厳しいのか彼女の個性の問題か、あろうことか完食を試みる。

 そして、その後もかなり躊躇しながらマヨネーズをかけて少しでも辛さを緩和しようとしたり、食べてまた更に絶叫したり泣いたり鼻水だらだらになったり…

 

 なんかもう、涙ぐましい。

 

 最終的には泣きながら完食した挙げ句配信ボタンを切り忘れたままトイレに駆け込み(多分吐いた)、死にそうになりながら戻ってきて配信が終わる…。

なんか感動してしまったのは事実である。明日のトイレを心配してしまうな。

 

そして…

 

 僕は、これを見てVtuberってブラックで大変なんだなあ…って思いました。

 

 ちなみに、アバターがニッコニコのままだから強烈な違和感があるのもミソです。

 

最後に

 みんないい感じのリアクションと悲鳴を見せてくれるので僕はウッキウキでいつも探してしまいます。

 中にはあまりにもガチすぎて心が傷んでしまうのもありますが、おそらく自分の嗜虐心が刺激されるのか見たい気持ちが勝ってしまいます。

 

 Vtuberはなんか凄いSF感、というかマクロスプラスシャロン・アップルっぽさがあって良いんだよな…って話を真面目にするつもりがこんな記事になってしまいました。

 

 おそらく、悲鳴と激辛に着目して紹介したVtuberの記事は日本で初めてだと思います。

 

 そのうちホラゲと悲鳴に着目したやつも紹介したいですね。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました!

哀愁と情熱のあいだ~清春「夜、カルメンの詩集」(2018)

はじめに

 清春が50歳を迎えるなんて好きになり始めたころは考えもしませんでした。そもそも、好きな歌手が歳を重ねるということや自分が歳を重ねることがまるでピンときてませんでした。

 

 そんな僕も20も半ばを過ぎ、時間は誰にでも無情に訪れるし平等に訪れるということ、それを否が応でも実感せざるを得ない年齢になりました。

 しかし、嬉しいのは自分が歳を重ねても好きな歌手は好きなままで、ずっと格好良くいてくれることです。

 

 歳を重ねるというのは何も悪いことではないのだ ー それを作品で示してくれているようで僕はとてもうれしくて…。

 特にヴィジュアル系と呼ばれるジャンルの方々はどうするのか、その1つの回答が詰まっているこのアルバムを今回はレビューしようと思います。

 

清春「夜、カルメンの詩集」(2018)

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久々の顔出しをしないジャケット。コラージュアートは河村康輔が手がけている。
夜、カルメンの詩集(通常盤)

夜、カルメンの詩集(通常盤)

 

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  1. 悲歌
  2. 赤の永遠
  3. 夜を、想う
  4. アモーレ
  5. シャレード
  6. 眠れる天使
  7. TWILIGHT
  8. 三日月
  9. 美学
  10. 貴方になって
参加ミュージシャン
  • 全作詞作曲:清春 全編曲:三代堅、清春
  • Guitar M-1,2:智詠 M-2,8:大橋英之 M-3,5,7,10-是永巧一 M-4,6,9:DURAN
  • Bass 沖山優司
  • Drums M-3,5:佐藤強一 M-1,2,4,6~10:Katsuma(coldrain)
  • Percussion M-1,2,4,6,9:容昌
  • Keyboard M-1,6:中村圭作
  • Top Violin M-7:沖祥子
  • 2nd Violin M-7:伊勢三木子
  • Viola M-7:志賀恵子
  • Cello M-7:四家卯大 M-10:Robin Dupuy
  • Violin: M-9:土屋玲子

 

 

 清春にとっては9枚目のオリジナルアルバムであり、前作「SOLOIST」からはおよそ2年ぶりのオリジナルアルバムである。

 僕は前作の時点で彼のソロ活動を1つの到達点に達したと思っていた。それは名前からも伺い知れるし、インタビューや楽曲の内容からも垣間見える。

 そのアルバムの先はどうなるのだろうと注視してたのだが、リズムレスアルバム「エレジー」を経てまた新たな景色が見えたのだろう。

 

 今作では最小限の構成で作られたエレジーとは対照的に豪華なサポートミュージシャンを迎えて制作された。

 名バイプレーヤー是永巧一がその筆頭であるが、ベースの沖山優司アンジェラ・アキや、YUKIキリンジ郷ひろみなど数々のアーティストのライブやレコーディングに参加している名ベーシストである。

 

 音楽的にはフラメンコとの融合を試みた彼だが、それがどのようになっているのか。1曲目から順に見ていこうと思う。

 ちなみに、前作のオリジナルアルバムについては昔レビューを寄稿したのでそちらを参照していただけると幸いである。

delivery-sushi-records.amebaownd.com

 

 1.悲歌

悲歌

悲歌

  • provided courtesy of iTunes

 

 メロウさと切なさを持ったオープニングナンバー。

 ここ数年の清春の指向としてバンドサウンドやロックサウンドからの脱却が挙げられるが、この曲にはソレが顕著でエレキギターが使われていない。

 その代わりに全面に押し出されているのは智詠(ちえい)のフラメンコギター。

彼は名フラメンコギタリスト、沖仁のサポートを務めている。そして彼もまた名ギタリストであり、哀愁を帯びたフレーズに心を奪われる。

 

 フラメンコ色を更に強くしてるのは実は容昌(ようすけ)のパーカッションだと僕は感じるし、ここまでフラメンコと清春の歌謡曲的な楽曲は相性がいいのかと驚かされるばかりである。

  

 歌詞に注目すると悲歌、または哀歌というのはエレジーを意味する悲しみを伴った詩などの文学作品の総称である。

 この曲もその名に違わぬ通り、どことなく悲しみを伴った歌詞の内容となっている。

 

”嗚呼、側にいる時は

数秒だけど すべて消える

今日会おうか 会いに行くよ

何故会ってるだろう 知ってる”

”さあ、夜よ、守っていて

気が晴れるようで 聞いていて

目を閉じて 倒れそうで

酷く 明るい色 数えているよう”

 

の部分の歌詞は何処か哀愁と年齢を感じさせる深みのあるものになっている。

 これらの要素がフラメンコの哀愁の部分と組み合わせることで、名前通りの「悲歌」に仕上がっている。

 Katsumaのドラミングもそこにまた哀愁を加えると共に、歌謡曲的なテイストでも難なく叩ける彼の技量には驚かされるばかりである。

 

 清春の歌謡曲的センスと、年齢やキャリアによる深み、そしてフラメンコの要素が見事に合致した曲なのだ。 

 

 ちなみにコレは余談なのだが、

 フラメンコ、というと一般的には情熱的でハイテンポな物をイメージしやすい。しかし、実はフラメンコの曲調にはかなり種類がある。

 特にこの曲には深みと威厳のある曲種「ソレア」に近いものがあり、それが歌謡曲的なテイストと混ざりあうことで普段の清春以上に切なさを感じさせる物に仕上がっていると思う。下の動画はソレアの例なので参考にしてほしい。

www.youtube.com

 

2.赤の永遠

赤の永遠

赤の永遠

  • provided courtesy of iTunes

 

 前曲とはうって変わって普通のリスナーがかなりイメージしやすい情熱のフラメンコ要素が強いナンバー。

 

 イントロから響き渡る智詠のフラメンコ・ギターがまさに情熱的なフラメンコのブレリア(宴のシメによく使われるフラメンコの中でも最も速く激しい曲調のもの)を僕たちに魅せてくれるように感じるし、

その後から入る疾走感あるKatsumaのドラムや容昌のパーカッションが血肉を湧き踊らせ、それはまるで舞踏会のようである。所々に入るパリージョ(フラメンコの踊り子が両手に持つカスタネット)の連音符が本当に映える。

 

 それらが歌謡曲のメロディアスさと合体することで産まれる唯一無二の音楽は清春の新たな可能性を感じさせてくれるし、単純に格好いい。

 

 また、歌詞もフラメンコを意識させるようなものがあるのだが…

 

”泣き狂えバイレ 闇、純愛、光

引いた眉の色 夜に届く箱のドレス”

 

 この部分。バイレというのはフラメンコでよく見る、かかとや爪先を踏み鳴らすあの独特の踊りのことを指す。

 サビの部分が非常にリズミカルかつ疾走感溢れており、

 

”焦がれたままの狂言

赤い永遠の前に立って

軽く遠回りをしたのは

雨の憧憬”

  

 情熱と哀愁というフラメンコの二面性、不朽さと果てのない遠さという「永遠」のもつ異なる性質をよく体現した歌詞である。これらがフラメンコギターやドラム、パーカッションの疾走感と重なることで、聴衆をさらに曲の世界に引きずり込む。

 

 それでいながら、無理にフラメンコに寄せすぎようとしないこと、つまり異物感を残すことで歌謡曲のメロディアスさとフラメンコの疾走感を両方残すことに成功している。

 ロックサウンドからの脱却、そして朝鮮が垣間見える1曲なのだ。

 

 ちなみに、ブレリアというのはフラメンコでもこのような曲を指すが、如何に疾走感と情熱を帯びているかがわかるだろう。

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3.夜を、想う

夜を、想う (Album Ver.)

夜を、想う (Album Ver.)

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  赤の永遠に続き、情熱を感じさせるアップテンポなフラメンコナンバー。

 

 前曲とこの曲は元々フラメンコを意識して作られているため、今までの清春よりもスパニッシュ色が強いのは妥当である。

しかし、再度いうが清春とスパニッシュなナンバーがここまで似合うと予想したものは多くないのではないだろうか。

 

 実はこの曲のギターは智詠ではなく是永巧一が弾いている。彼自体は別にフラメンコギタリストではないのだが、見事にスパニッシュなテイストのギターを弾きこなす技量があるあたり、その引き出しの多さを感じさせる。

 

 佐藤強一は是永巧一とアマチュア時代からの知り合いで、30年以上の活動歴を誇る歴戦のドラマーである。その彼のドラムの音のヌケの良さが、そして歌メロを邪魔しない堅実なドラムが哀愁さの漂うアルバムの収録曲の中でひときわ開放感をプラスしている。

 

 歌モノの特性かベースもドラムも基本的にはボトムを下支えすることに徹しているのだが、フラメンコギターが大きくフューチャーされるその特性で日本のメジャージャンルでは中々聴くことの出来ないテイストに仕上がっている。

  

 歌詞は「想う」という動詞に相応しいものになっているほか、情熱の刹那を思わせる部分が散見されている。

 

”Oh 愛しい人よ最後に

寄り添えた時を思い出してみて”

 

 

”I can 澄んだ水の中に浮かべてるよ

I love 千切った花色に君が見えるよ”

 

これらの部分は恋の刹那を感じさせる。

ただ、若者が歌う恋とはまた雰囲気が異なるようで…

 

”the dance of death

夢よ、愛欲よ こう想う

会いたいって歌う君だけを想う

Uh love in vain…stay”

”the dance of death

廻る生涯 僕は想う

どうやって生きるべきかを迷う

Uh love in vain”

 

 このあたりには死や諦観、そして人生を感じさせる単語が数多く並んでいる。

 

 おそらく清春のキャリアと関係のある歌詞なので、彼の音楽を長らく聴いている人が理解できる部分もあるのだろう。

 

 ソロを聴いていると感じるが、清春はキャリアによってかなり歌詞や表現が変わっていく人である。

 

 しかし、その中でも自分の美意識に従うという点では一切ブレの無いように感じるし、それを誰よりも格好良く魅せることができる。そのあたりにロック・スターの風格が漂っているし、何よりもそれを象徴してるナンバーのように思えるのだ。

 

4.アモーレ

アモーレ

アモーレ

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 「愛、恋、恋愛、愛する人」をタイトルに関したアコースティックな色彩の強いバラード。

 今作でのギターはDURAN。ファンキーなギターやブルージーなテイストのギターをよく弾いており、稲葉浩志スガシカオのサポートを務めている。

そんな彼もアルバムのカラーに合わせて、スパニッシュなギターを披露していることに僕は驚かされている。

 

 Katsumaがここではドラムを務めているが、彼がcoldrainのドラマーであることを考えるとそのパブリックイメージとの違いやアプローチの多彩さを体感できるだろう。

 

 清春のソロでのバラードというと近年では「UNDER THE SUN」や「ナザリー」を思い起こすのだが、その2つに比べると音は簡素でバンド要素は「SOLOIST」時代よりも更にその割合が少なくなっている。

 

 イントロのアルペジオの美しさやベースラインをドラムがその少ない音数でより際立たせているように思う。

おそらく、黒夢SADSしか知らないリスナーが聴いたらそのあまりの変化に戸惑うだろうし、物足りなくも思うかもしれない。

 

 しかしながら、その歌謡曲的メロディアスさや清春の歌声はますます際立っているように思うし、彼の超個性的な歌声が既にある以上はこのくらい簡素でも十分ななのだなと僕は感じるのである。

 

 歌詞についてだが、特定の対象に向ける強い愛情とともに、それを指し示す単語として「カルメン」という単語が象徴的に登場する。

 

”夜、あなたがした 愛撫

舞い この瞬きで カルメン

闇、一緒にいたよね”

 

AメロやBメロにこのような歌詞が見られ、カルメンはおそらく人名だと思われる。

 

そしてサビでは…

 

”アモーレ 貴方は魔性の 淫ら

アモーレ 唇が這う Ah

アモーレ 狂おしい吐息 喘ぎ

アモーレ 全てを受け入れ”

 

 このように、何処か情熱的でありつつも耽美で官能的な愛が表現されており、ソレがカルメンとの一幕を指しているということは想像に難くないだろう。

 

 エロスを全面に出した歌詞といえば黒夢の「LET'S DANCE」やSADSの「ストロベリー」が挙げられるが、ソレとは全く違う方向の表現による愛の表現清春の表現の方向性を垣間見ることが出来るのだ。

 

 このような、表現の妙を味わい尽くせるナンバーと言えるだろう。

 最後に、ここで1つ付け加えるとするとカルメンという単語についてだろうか。

 

 元々カルメンというのはフランスの作家プロスメル・メリメが書き上げた小説、またはその中の主人公の名前でもある。

 そして、それをもとに作曲家ジョルジュ・ビゼーが書き上げたオペラもカルメンと呼ばれる。

 

 すご~く簡単にあらすじをいうと、

 真面目な兵士であるホセが自由人であるジプシーのカルメンと恋に落ち結ばれる。しかしカルメンは超移り気ですぐに別の男に乗り換える。最後は嫉妬に狂ったホセがカルメンを刺し殺す…。

 

 なんというか情熱的な人に振り回される男の性(さが)を感じさせるのだが、これを知っているとこの曲が違って聴こえるかもしれない…。

 

5.シャレード

シャレード (Album Ver.)

シャレード (Album Ver.)

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 アモーレに引き続き、前曲以上に少ない音で歌を際立たせたバラード。

 スパニッシュ色は前4曲よりは少なめである上、実はこれがアルバムの中で初めてエレキギターが使われたナンバーである。

 是永巧一がおそらくブリッジミュートで最小限のカッティングを淡々としているからだろうか、ギターの音自体はかなりザクザクしている上に登場回数は多くない。

 しかしそこに空間的なエフェクトが効果的に使われてることで、低音とともに音と音の隙間に静かに拡がっていく、いわば聴かせるギターを披露してくれている。

そして、それが佐藤強一のドラムフレーズや沖山優司のベースラインを際立たせている効果も付与しているように思う。

 三代堅が編曲を全曲で行っているが、オルガンのような電子音がそこに厳かさと仄暗さをプラスしているのが個人的にかなり好みである。

 

 この曲のタイトルはシャレードなのだが、とりあえずシャレードという言葉の単語の意味を調べてみた。

 それによるとシャレードは英語でcharade、いわゆる身振り手振りで表現された言葉を当てるような、つまりジェスチャーを使った遊びらしい。

 他にも、オードリー・ヘップバーン主演の映画のタイトルやダイハツの車の名前などいろいろでてきたのだが、清春という人間を考えるとやはり最初の意味が妥当だろう。

 シャレードという単語が出てくる回数は少ないのだが、以上を踏まえて歌詞を見てみよう。

 

サビ前の部分なのだが、この部分。

シャレード 幻の様に

サイレント 触れていたまま”

シャレード うたかたの恋

哀憐 失くしたまま”

 

 シャレードという単語と喪失感をセットにしているあたりには、想いが伝わらないことの暗喩なのだろうか。

 

 サビでは一切シャレードという単語が出てこない代わりに薔薇という単語が象徴的に登場する。

 

”君がただ愛しい泣いた薔薇

遠い夜を 遠い夜を超えて

陽はまだ登らない  濡らして薔薇

悲しくないなんて哀れだね

遠く 遠く Ah”

”君は歪む鏡 笑ったなら

暗い夢を 暗い夢を超えて

君はただ愛しく 泣いて薔薇

甘く甘く覆う愛の華

遠く 遠く Ah”

のサビの部分である。

 

 どちらにも強い喪失感が見られるのだが、これが単なる失恋を指しているとは思えないし、清春はそんなことを表現する年齢ではないだろうと僕は思う。

 アルバム自体がスパニッシュというテーマなので、この薔薇の色はおそらく赤であり、赤い薔薇の花言葉はどれも愛に関係している。

 愛と涙や暗い単語を組み合わせること、それは男女だけではなくファンと自分、更には親子の死別…など様々な意味合いの愛の喪失この「薔薇」の一言に含ませているのではないかと睨んでいる。

 

 何れにせよ、音をなるたけ最小限にしたのはおそらく歌詞を丁寧に聴かせたいという意識の現れだろう。

 そして、シャレードという単語と喪失感、さらに薔薇を組み合わせた歌詞は伝わらない事を強調する意味合いもあるのだろうが、聴き方によって幾通りもの解釈ができるのだ。

 

 この曲から夜って感じがなんとなくすることもあって、実は僕のお気に入りのナンバーです。

 

6.眠れる天使 

眠れる天使

眠れる天使

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 DURANのファンキーなギターがとても印象的なミディアムテンポのナンバー。

 まず、フラメンコ・ギターの調がそれだけでスパニッシュさを曲にもたらすことに驚く。これは幼少期からの刷り込みも大きいのだろうし、曲のテーマに自分が引きずられているということもあるだろう。

 しかしながら、フラメンコ・ギター特有の鋭く細い音がフラメンコの情熱と哀愁という部分の表現の核を担っていることは門外漢の僕ですら想像ができる。

 また、歯切れがいいファンキーなエレキギターのカッティングがいいアクセントになり、どこか乾いた響きながらも軽快さを曲にもたらしている。

 

 個人的にこの曲の主役はギターであり、このフラメンコ・ギターとエレキギターの絶妙なフレーズの組み合わせこそがグルーヴを生み出していると思う。

 

 パーカッションとドラムのフレーズはそこまで難しくはないし、骨子は真っ当なロックのビート感なのだがセビジャーナスも少しは意識して、入れているのだろうか…。

 ここでいうセビジャーナスというのはフラメンコの数あるフラメンコの曲調の一種で、セビリアに伝わる民謡や踊りの1つでもある。

セビジャーナスの例

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 眠れる天使、という言葉だけ聴くとなんだかヴィジュアル系的な美意識を感じるのだが実際はどうなのだろうか?

 

”わたしが泣いてる 夜にそっと

囁いて眠れる天使

あなたは儚い記憶だって

燃えるように届ける

さぁ羽ばたいて”

 

 サビにこのような感じの歌詞がいくつか垣間見えるのだが、ヴィジュアル系的な美意識というよりは普遍的な美を表し、またそのような言葉が似合う人物を指しているのだろう。

 もしくは、善の象徴としての天使か。

 どうにしろ、ヴィジュアル系的な美的感覚から発せられたものではないようだ。

 サビの部分の言葉のはめ方がリズムと合致しているように思えるのは気の所為ではないだろうし、どことなく歌謡曲的な歌メロを感じさせるのがフックになっているように思う。

 

 個人的にこの曲が大好きなのだが、特に…

”漂う悲壮

思えば辿れるよきっと

彼方高く”

 

この後から続くDURANのブルージーでファンキーな20秒弱のギターソロ。

 

めちゃめちゃかっこいいですね。

 

7.TWILIGHT

TWILIGHT

TWILIGHT

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 どことなく「SOLOIST」の雰囲気を彷彿とさせるフォーキーなミディアムナンバー。

 アコースティックギターが美しく響く中、ヴァイオリンやヴィオラ等の響きが音の隙間を縫うように使用されている。

 僕は最初に聴いた時にどことなくSOLOISTの中の1曲「瑠璃色」を思い出した。

 おそらく、テンポ感も近いことがあるのだろうが前述したとおり弦楽器が旋律に絡む形で使われていることが大きいのだろう。

 是永巧一はここでもギターを弾いているのだが、曲ごとにギターの表情を幾通りにも変化させていることには本当に驚かされる。本当に凄いギタリストである。

 このアルバムの殆どはKatsumaのドラムなのだが…その中に重苦しい高速ナンバーなんて当然1曲もない。そんな中でも、全く違和感なく叩くことが出来るというのはバックボーンの広さを感じさせるし、清春の重用もうなずける。

 おそらく、このアルバムの中では最も昭和歌謡的であり、かなりスタンダードなポップスっぽさを感じさせるだろう。

 

 TWILIGHTというのは日の出前や日没前のあの薄明かりが指す時間帯のことである。

 

”夜が来て 君はそっと

明るい声 描いて座っている”

 

 この最初の描写を見る限り、日没前の方を指すのだろう。あの暗くなりゆくほんの短い時間を。

そしてその意味に呼応するように…

 

”灯りが点けたら買えるでしょうか

余りを吸ったら会えるでしょうか”

 

 この部分は逆説的に会えない、という部分を強調しているように思う。

薄暮の黄昏は永遠に思えるが長い間ではない。

 

 清春という人間がいかにタイトルと歌詞をきっちりとリンクさせて描いているかをこの部分からうかがい知ることが出来る。

 

 この会えない、という部分には対象が存在するから成り立つのだろうが、それが誰なのかを直接問うのは野暮なのだろう。

 

 僕には、これが清春がファンに与えてくれた贅沢な疑問に思えるし、それは各々の解答でいいということを暗に表現しているように感じるのであった…。

 

8.三日月

三日月

三日月

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  個人的にこのアルバムの中で最も好きなナンバー。

 

 まず、大橋英之がこの曲でギターを弾いているのだが、歌ものに寄り添うような包み込まれる音使いやクリーントーンが気持ちいい。それはまるで宵闇に消えていく月明かりのような儚さがある。

 この曲自体がバラードなこともあり、ドラムもベースもガンガンに弾き倒すなんてことはまずない。というか歌ものの清春の音楽性ではあまり見られないのだが、逆に言えばソロミュージシャン清春の歌声を完全に引き出すための役割を担っているのだろう。

 10代の頃ならいざしらず、今の年齢だとこのくらいの音のほうが個人的には心地よくて、聴きやすい。

  

 歌詞はというと全体的に哀愁がこもっているがソレを痛切に歌い上げるというよりは優しく問いかける物が中心である。

 

"雨を聞いたら忘れるよ

風が少しだけ流れている 会えるとしたら泣いてるよ

頬を照らす優しい人、三日月"

"哀れだったらこれを言うよ

僕らは誓って屈しない

頬を触る優しい人、三日月

もっと泣いて優しい人、三日月"

 

がその例であると思う。

 特に後者の方からは単なる哀切というよりは、月明かりのように優しい抱擁と静かな決意も感じられる。

 

 このような歌詞を聴いていると、清春という人間が長年歌手をやっている意味というのをなんとなく考えるし、年月というのがいかに人の心を変えうるのかに思いを馳せる。

 今の彼が本当に歌を、そして歌詞を大事にしているのが伝わってくる。だからこそ僕はこの曲が一番好きなのだ。

 

 ちなみに、日本には実は三日月をモチーフにした作品は少ない。特に和歌なんて数える程度しかない。

 そして、実は三日月のモチーフを重んじているのはイスラムなのだ。現にメッカに隣接して建てられている超高層時計塔「メッカ・ロイヤル・クロック・タワー」のてっぺんにあるのは、巨大な三日月。

 なんでも、断食月であるラマダンはヒジュラ暦9月に三日月が現れたのを確認してから行うくらいなのだから、その信心と神聖さが伺い知れる。

 

 まあ、そこまで考えてるわけではないと思うのだが…着眼点含めて、清春のセンスが伺い知れる作品である。

 

9.美学 

美学

美学

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 弦楽器の美しさが光るミディアムナンバー。

 まず、イントロでDURANがキュイーンという鋭いギターの音を聴かせてくれるのだが、これはヘッド弦を思い切り鳴らす奏法に由来しているものだろう。特別な名前は特にない用だが、彼が多用しているものである。

この動画の一番最初の奏法紹介で確認できる。

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 エレキギターによるクリーントーンの美しさもさることながら、バッキングのアコースティックギターの音色や、途中から入ってくるヴァイオリンの響きも非常に美しい。

 ヴァイオリンの響きなどに防人の詩のアレンジの感じが重なるところがあるのだが、それが荘厳さや美学のタイトルの通り美しさをプラスしているように思える。

 全曲通して特に複雑なことをしているわけではないベースとドラムだが、歌ものでそういうのは特に必要ないし、こうやってしっかりとボトムを支えることに大きな意味があるのである。ここの部分がしっかりしていないと歌ものである中で歌を聴かせるのは難しい。

 間奏がギターではなくヴァイオリンというところに、今作で彼がいかにバンドサウンドからの脱却を試みているのかが垣間見える。

 

 今作の清春の歌詞、その全てに「美学」というのは現れている。

 

"ただ 失うものは無い

空を見てたら おおらかな瞳

嗚呼、この果てよ

まだ、滅びることのなき

あなたは尊い

高貴な道のり 嗚呼、此れこそよ"

 

 特にこの部分に僕は彼の道のりと決意を感じるのだ。

 あなた、が指すものは複数存在するのだろうが、このような歌詞が歌える清春ならまだまだ色々な作品を作ってくれるだろうし、客観的に見ても良いと言えるものを作れるミュージシャンシップがまだまだあるのだろうと…。

 

 フラメンコやスパニッシュな部分がそこまで濃いわけではないが、その部分はパーカッションが担っているのだろうし、スパニッシュは別に陽気さや情熱だけを指す概念ではないと考える。

そうするとこれも、彼の考えるスパニッシュの1つの形であると考えられる。

 

 むしろ、その情熱と哀愁の部分はサウンドよりも歌詞に込めているのだろう、そう僕は確信している。

 

10.貴方になって

貴方になって

貴方になって

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 アルバムの最後を飾るチェロの調べとアコースティックギターが美しいバラード。

 フォーキーなギターサウンドとゆったりとしたドラムの響きがまず耳に残るのだが、それを是永巧一とcoldrainのKatsumaが演奏していると考えるとそこがまず非常に面白い。

 今作では全体的にバンドサウンドの脱却、そしてギターサウンドエレキギターに任せすぎないようにしているように感じるのだが、それを最後の最後で体感する。

それでいて、どことなく全体的に乾いた哀愁が漂うこのアルバムを象徴しているサウンドのように思える。

 

 清春の声質は個人的にSOLOIST以降にハスキーなものに変化したように思う。少なくとも、以前のように高音が突き抜けるそれではない。

 もちろんそれが年齢、というものなのだろうがだからこそ表現できるようなものも感じている。

 

"夢、去って帰るだろうか 笑えるだろうか 何処へ

さよなら、だけど永遠

あなたを守っているよ 忘れないでいて"

 

 この部分なんて、高音が突き抜けて刺さる頃の声質だと刺々しさもあってなにか違うと思うだろうし、何より艱難辛苦や上がり下がりを経験した彼だからこその歌詞だと思う。

 

 今作はフラメンコの曲調だけではなく根底に流れる情熱を哀愁をテーマにしたのだろうと思ってはいるのだが、その中でも清春の表現は哀愁に傾いているように思える。

 それが彼の今伝えたいことなのだろうし、曲順やアルバムのシメを含めかなり練られているだろう。

 

 この曲を聴くと、少しの寂しさと声質の変化や表現の変化を含め、清春の今を感じてならないのだ…。

 

最後に

 このアルバムのレビューを書くにあたり、フラメンコの起源やその曲調の種類、代表的なアーティストなどいろいろ聴きました。清春さんが興味を持ったのも納得です。

 そして、それを踏まえてアルバムをもう一度何回も聴いてみて感じたのですが、フラメンコというテーマは別に曲調や単なる楽器の調べだけではないのだなあと…。

 

 むしろ、フラメンコの根底にある情熱と哀愁の二面性を表現することに、重きをおいているようでSOLOIST以上にある意味で「歌」や「歌詞」が目立つ作品になったと思います。

 

 さらに、今作で目立ったのはエレキギターが使われないナンバーがあるということ。

 アコースティックで音数を削っていき、ロックサウンドからの脱却を図っているのは「エレジー」あたりから顕著だと思いますし…

 

 何よりも、ヴィジュアル系というジャンルから現れた歌手がこの境地に至ったという事実。それがとてもおもしろいです。

 

 レビューを書いていて新たに感じたこともかなり多いので、良い発見になりました。

 

 とてもいい経験になりました。

ただ、このアルバムの長文のレビューを書いている人がほとんどいないので、一から十までフォーマットを自分で考えて書いていかなければいけないところや言葉選びを考えるのは少ししんどかったです(笑)

 

 この拙文が少しでも参考になり、また好きな気持が伝わっていただけたら幸いです。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズとドローンによる深淵の世界~minus(-)「R」(2017)

はじめに

  水樹奈々の長い記事を書いたあとにまた記事を書くのか…って思われそうな人です。

思いついたらとりあえず冷めないうちに実行するのがモットーなので…。

 色々なジャンルのアーティストにとりあえずバラけて書けてるかな、とかブログを始めた頃は思っていましたが、やっぱり僕が書くとどうしても推しの性質が似てしまうようです。

 コレばっかりは僕の業のようなものなので仕方ないですね。

 そして、これはブログを初めてわかりましたがヴィジュアル系を愛聴する方たちは結構アクセスしてくれるんですね…。ありがたや…。

 今回は別にヴィジュアル系、というわけではないのですがごゆるりとどうぞ。

 

minus(-)「R」(2017)

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バルーンアートが美しいジャケット写真

 

R

R

 


minus(-) / 「Spell ver1.0」 from New Mini Album「R」

  1. Below Zero
  2. Drop
  3. Spell-subtraction
  4. LIVE-advanced
  5. Spell-ver1.0

※全曲Spotifyでリスニング可

 

 元々、元SOFT BALLET森岡賢と藤井麻輝がタッグを組んで2014年にスタートしたminus(-)だが、2016年に森岡賢が急逝。その後は藤井麻輝のソロユニットとして活動をスタートさせている。

 ソロユニット化して初のオリジナルアルバムだが、色としては完全に藤井麻輝のもつインダストリアル的なビートやドローンを愛好する部分が全面に出た作品である。

 各曲ずつ見ていこう。

 

1.Below Zero  Vocal:玲里 Guitar:佐々木亮介(a flood of circle)

Below Zero

Below Zero

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  海の底からどこまでも拡がりゆくサウンドスケープが特徴的なオープニングナンバー。

僕はコレを神曲だと思っています。

 

 この曲に限らず今作の曲は4曲目を除くと全てがスロウ~ミディアムテンポのダウンビート・エレクトロニカで構成されている。

 これは藤井麻輝芍薬のユニット睡蓮時代からずっと引き継がれている彼の心の故郷のようなものなのだろう。まあこれはロック要素も入ってるが。


スパイン / spine

 minus(-)がまだ森岡賢とのユニットだった頃は、森岡賢の持つシンセポップ的メロディが楽曲にも反映されていたと思うが、のっけから完全にそこをRejectした形になる。

 そのかわりに、音像の突き詰め方を数段階上げているようで、その音像はノイズ混じりなのに突き刺さるようなものではなく深みを帯びている。

realsound.jp

  ただ、手癖というだけではない。今作では藤井麻輝がネオソウル的なメロディ、ビート感を取り入れているように思える。

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(ネオソウルの代表的なアーティスト、エリカ・バドゥ)

 

 だからこそインダストリアルのようにダークで硬質的でありながらもノれる、という独特のグルーヴ感が産まれているのだろう。

 

 もともと、藤井麻輝の楽曲は女性ボーカルに合うように思うのだが、今作でもソレは例外ではない。この曲ではシンガーソングライターの玲里にボーカルを依頼しており、彼女のコクのある少し低めのボーカルが楽曲の気だるさを引き立てている。

 ちなみに玲里の曲自体はこんな感じである。彼女自身もR&B的な要素を持つため楽曲と相性が良かったのだろう。

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 ギターはa flood of circleでギターボーカルを務める佐々木亮介。このアルバムで名前を知って聴いてみたが、彼らの指向する音楽はブルースやロックンロールのようなものなので、ずいぶん違うなあ…と思ったものだ。

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(マジでこのアルバムと違いますね…)

 彼らの個性がアルバムに影響を与えたと言うよりは藤井麻輝によって新たな魅力が引き出されているといったほうがいいのだろう。

 夜に聴きたくなる1曲である。

 

2.Drop Vocal:Yurari

Drop

Drop

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  1曲目に見られる音像やR&Bの要素はそのままに、エレクトロニカアンビエント、ドローンミュージックの色を更に強くした曲。

 ボーカルのYurariという人に一切心当たりがなかったが、藤井麻輝の実の娘らしい。なんという…。

 骨子となるウィスパーボイス気味のボーカルにコーラスを多重録音で重ねた上に、バックのトラックと溶け込ませることで非常に幻想的な世界を構築している。

  女性ボーカルとエレクトロニカ、というとまっさきに頭に浮かぶのはビョークなのだが、ボーカルの雰囲気としてはスティーナ・ノルデンスタムのほうに近いだろう。

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 こちらも、昼よりも夜に聴きたくなる楽曲である。

 

3.Spell-Subtraction Vocal:YOW-ROW(GARI、SCHAFT)

Spell-subtraction

Spell-subtraction

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 キーボードやスロウビート、ノイズが流れる中にロック的肉体感のある歌声が乗った作品。どことなくMUSEPlaceboっぽいと言えば良いのだろうか。

 

 藤井麻輝は作曲方法として「まずドローンを構築していき、そこから浮いてくるフレーズやメロディを乗っける」やり方を述べているが、ドローンというのは「単音で変化のない音」を指す用語であり、その傾向が顕著なジャンルである。このようなタイプの作品をリリースするのはノイズミュージシャンやエレクトロニカ、現代音楽と関係が深いアーティストが多い。

 ドローンが使われている例だが、バックでずーっと鳴っている低音がそのドローンに該当する。 

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 そんな作曲方法はなんとも効率が悪そうな…と苦笑せざるを得ないところがあるのだが、その方法論の方が作為的にならないらしく藤井麻輝の独特なセンスが伺い知れる。

 

 話がそれてしまったが、ドローンをモロに使っていても使っていなくても、藤井麻輝の曲にはその骨子がなんとなく流れていることが垣間見えるであろう。

 前の2曲ではスロウビートかつアンビエント的な音像が強かったが、この曲では少し歌ものっぽく仕上がっているのはYOW-ROWの歌声によるのだろう。

 そして、所々に挟まる鍵盤の音が非常に効果的で、曲をよりドラマチックに彩っている。

多分このアルバムの中でこれを歌ものって言えるのはYOW-ROWのボーカリゼーションが大きい。

 

 YOW-ROWというとエレクトロロックバンドGARI、そしてSCHAFTのボーカルとして知られているが、彼はもこのような無機質な音像と相性が良いように思うし、そういった曲の歌い方を知っているのだろう。

www.youtube.com

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 ちなみにSubtractionとは削減、の意があるのでもしやVer.1.0の方が先に出来上がったのかもしれない。

故・森岡賢の意味も少し考えたのだが、そういう人ではない気もする…

 

 そう言えばYOW-ROWと藤井麻輝が組んでるユニットでJugendgedenkenというのがあるのだが、もしやここらへんから着想を得たのかと思うと胸熱である…。

 

4.LIVE-advanced Vocals: Anis(MONORAL)

LIVE-advanced

LIVE-advanced

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 元々はアルバム「O」に入ってた曲から森岡賢のの要素を抜いて再構築した曲であり、このアルバムで唯一のアップテンポなダンスナンバー。

 そうは言っても所々に差し込まれるノイジーな音や硬質なビート感は明らかに森岡賢の指向するソレとは違うのがいかにも藤井麻輝らしい。

ちなみにこちらが原曲。

LIVE

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  原曲のほうがよりダンサブルに、そしてキーボードなど数々の音が装飾されドラマチックなように思う。

 このように、このアルバムは森岡賢の要素をRejection(拒絶)していく過程の作品でもあるし、Restart(再始動)する姿をファンに見せる作品でもある。

 その過程がこの曲に象徴されているように思うのだ。

 

 同じ曲でもアレンジャーが変わるとここまで違うものになるのか、という驚きと鋭さをもってブラッシュアップされたその音像は原曲とはまた違った魅力を教えてくれる。

 ここで歌を務めるのがMONORALのボーカルAnis。

 前の曲といいこの曲といい、藤井麻輝がボーカルに男性を使うというのはなんとなく珍しいように感じるのだが、本人的には良ければ使うらしい。

 MONORAL自体はポスト・グランジオルタナティブロック系のバンドなのでこのアルバムとは毛色がかなり異なるように思えるのだが、その異物感がむしろ良い化学反応を起こしているように思える。

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 そして、なんとなくこの曲の雰囲気と声質でDepeche Modeを思い出させるのはおそらく自分だけ…。

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5.Spell-ver.1.0 Vocal:YOW-ROW(GARI、SCHAFT) Guitar:菅波栄純(THE BACK HORN)

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Spell-ver.10

Spell-ver.10

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 (このバージョンの誤字がジワる…)

 

 3曲目に菅波栄純のギターをプラスしたバージョン。サビのような部分でノイジーなギターが聴けるほか、イントロのアレンジも微妙に違っていて聴き比べるのも面白い作品。

 そもそも藤井麻輝菅波栄純の縁は睡蓮「音ヲ孕ム」からだったと思うが、その後にTHE BACK HORNを聴いた時は普段やっているバンドの音楽性の違いに非常に驚いたのを覚えている。

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 しかし、この藤井麻輝の退廃的な世界には彼のギターは非常にあっているように思えるし、だからこその人選だったのだろう。 

 ともすれば、アンビエント的な色合いの強い歌ものであるこの曲にギターをプラスすることでポピュラリティとスケール感が出るように思えるのだ。

 アウトロのギターとバックトラックの溶け込むような音が非常に美しい曲である。

 

最後に 

 ソロユニットになって一発目、ということでどうなるのかとても注目していましたがここまで藤井麻輝色になるとは思わず…寂しくも圧倒される気持ちです。

 はからずしもマイナス、という字義がバンド名と一致してしまったように思いますし、ロゴを一新したりインタビューでソロであることを強調したりしていたので、これからは藤井麻輝を全面に出してやっていくんだなあ…と納得しました。

www.cinra.net

 とてつもなく内省的な作品ではありますが、その音像は本当に素晴らしいです。

 何よりも藤井麻輝が持つダンサブルさのようなものが全面に押し出されていて、2人でいた頃よりも高くなるそのクオリティには圧倒されるばかりです。

 

 きっと、長く人々に聴かれる作品になるでしょう…。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

多様性とハイカロリーとオタク~水樹奈々「ULTIMATE DIAMOND」(2009)

はじめに

 僕が水樹奈々と出会ったのは今からおよそ10年前、2009年にNHKで放送されたMUSIC JAPAN 新世紀アニソンスペシャル」である。

 小さい頃からそれなりにアニメを見てきて、中学くらいから本格的に音楽にも興味が湧いて色々漁っていた。そんな中たまたまテレビを付けた時にこの番組がやるらしいということを知った。

 そんなこんな、軽い気持ちで見てみたら衝撃を受けた。

 僕がその頃知ってたアニメソングというと林原めぐみマクロスF、そして90年代から00年代初頭の小さい頃によく見ていたアニメソングだったのだが、全く様変わりしていた。

 自分が今まで全く聴いたことのない雰囲気の曲の数々、見たことのないライブの作法やノリ方。本当にカルチャーショックだった。

 その番組で初めて知ったのが水樹奈々である。彼女が今の声優のあり方であり、何やらデカイ会場で公演もいっぱいしてる…というのを番組で見て、「コレが今の声優なのか…」とただただ呆然としていたのを今も覚えている。

 そして、その数日後くらいにULTIMATE DIAMONDを買って目茶目茶ハマって今に至るわけであり…。

 まあ、長々と書いたけど思い出の作品だから紹介したいってだけです。どうぞ!

 

水樹奈々ULTIMATE DIAMOND」(2009)

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こういう服を見るとTommy heavenly6とかKatieJane Garsideを少しだけ思い出す
  1. MARIA & JOKER
  2. 悦楽カメリア
  3. PERFECT SMILE
  4. Trickster
  5. Mr.Bunny!
  6. 沈黙の果実
  7. Brand New Tops
  8. 少年
  9. Gimmick Game
  10. Dancing in the velvet moon
  11. ray of change
  12. 深愛
  13. 蒼き光の果て-ULTIMATE MODE-
  14. Astrogation
  15. 夢の続き

※プロデュースは全曲三嶋章夫

ULTIMATE DIAMOND(初回限定盤)(DVD付)

ULTIMATE DIAMOND(初回限定盤)(DVD付)

 

 

 総収録時間65分19秒、15曲に及ぶかなりボリューミーかつバラエティ豊かなこのアルバムは、声優で初めてオリコン1位を獲得した作品である(林原めぐみ坂本真綾オリコンアルバムチャート3位タイでこれが最高記録だった)

声優による首位獲得はオリコンチャートが始まった1968年から数えて史上初の記録であり、キングレコード初のアルバムでは9年5ヶ月ぶりの大記録である。

 ちなみにキングレコードで彼女の前にアルバムで首位を獲得したのは、スカパンクメロコアバンド、SNAIL RAMP「FRESH BRASH OLD MAN」。こちらもいい音楽なので聴いてみてね。

 

B・M・W

B・M・W

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  話を戻すとソレだけの凄い記録なのだ。

 しかし、その記録の偉大さと比較して、音楽としてレビューを書くというのは今まであまり見てこなかったように思う。ヴィジュアル系と声優アーティスト業界はまあまあ似てるなと思うのだが、歴史の長さに反して「音楽的な言葉」をあまり持っていない印象がある。

 そういう訳で今回は発売10周年でもあるし、一曲づつ見ていこうと思う。

 

1.MARIA & JOKER 作詞:Hibiki 作曲、編曲:上松範康(Elements Garden)

MARIA&JOKER

MARIA&JOKER

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  ジャジーでかつテンポが早くハイテンションなオープニングナンバー。

イントロから、いきなりピストルの銃声が鳴り響き、ホーンセクションが全面に押し出されている。作曲はElements Garden上松範康

 

 Elements Garden「ALIVE & KICKING」から水樹奈々と一緒に仕事を初めて、HYBRID UNIVERSEから本格的にアルバム制作を共同で手がけることになった音楽クリエイターチームである。彼ら、特に上松範康の楽曲の特徴だが、大胆なストリングスやシンセ+ストリングスを全面に押し出したサウンドが挙げられる。ETERNAL BLAZEJustice to Believeが代表例としてあげられるだろう。

 

 今回はこれまでの楽曲にはなかったジャジーなテイストを押しだし、そこにホーンセクションとストリングスを大胆に絡ませているため、ビート感も含めかなり独特な曲になっている。そのためか、シンセサウンドは使われていない。

しかしながら、所々銃声を挟むなど、メジャーシーンのJPOPじゃまずやらないようなお遊びを入れてくるのが聴いていてとても面白い。

サックスがメロディを引っ張っている印象もあるため、今までの水樹奈々よりもかなり大人びて聴こえる。

 ルパン三世、というか大野雄二的なテイストを感じるという声もあるようだが、現代風のテイストをより取り入れ、スタイリッシュに仕上げているという点ではTHE SEATBELTSにテイストが近いように思う(菅野よう子の率いるバンドでCOWBOY BEBOPのOPで有名)。

Tank!

Tank!

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 そのジャジーかつアグレッシヴなナンバーの歌詞を書いたのはHibiki。

 水樹奈々に数多くの楽曲を提供している作詞家で、「残光のガイア」「Crystal Letter」「天空のカナリア」「NEXT ARCADIAなど「HYBRID UNIVERSE」以降の水樹奈々の楽曲に数多く歌詞を提供している。

 そんな彼の提供した歌詞は、専業作詞家ということもあるのか楽曲の雰囲気にきっちりと照準を合わせたものである。所々小悪魔的な女性を想起させるのがツボ。

 

”ワンコイン渦巻くChance...

赤か黒かOne more chance...

Kissの尊厳もレイズ...

もう後戻り出来ない?”

”恋を撃ち墜とせ どんな手でもいい

Oh god... 罪にお許しを...

そうJoker was knowing マリアの素顔

ピストルに愛を込めたなら

君の名の下嘘を放とう...

二人のワタシ

Which did you like?”

 

 このような大人の女性を感じさせる水樹奈々という歌詞は今までに見られなかったように思うので、ソレを踏まえて聴くと新鮮であると共に、作詞、作曲ともに彼女の年齢に合わせたテイストをしっかりと意識していることが伺える。

初期では背伸びしていた部分が年月を経て歯車が噛み合った形になった。

 

 そして、これらのテイストに演歌風味が混ざった水樹奈々の歌声を聴くと、個性のごった煮となり、1曲目から超絶ハイカロリーな楽曲へと変貌するのだ。

 というかこのアルバム大体情報量が多くて高カロリー。

ラーメン二郎かな?

 

2.悦楽カメリア 作詞:水樹奈々 作曲、編曲:大西省吾

悦楽カメリア

悦楽カメリア

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 1曲目のハイカロリーナンバーに続けて、更にカロリーの高い曲をぶち込んできた水樹奈々。凄い。

 作曲は大西省吾。元々Sleepin’ JohnnyFishというバンドのギターを務めていた。バンドの活動休止後は作曲家、編曲家としてのキャリアをスタートさせる。

特に編曲家の仕事は水樹奈々以外にも現在、Aimer、関ジャニ∞シシド・カフカなど多岐にわたる。

 今作では作曲と編曲の両方を担当しているが、オリジナルアルバム7作目にして水樹奈々史上初の本格的メタルナンバー。まだまだそこまで本格的なテイストではないが、モダンなテイストと和を取り入れたスピード感のあるメタル風味はどことなく陰陽座を想起させる。


「甲賀忍法帖」(MV)

 水樹奈々が本格的に重量感のあるロックに挑戦したのは前作GREAT ACTIVITYであると認識しているが、その路線を本格的に引き継いだ形だ。

 ちなみに、このメタル的な路線は今作以降も引き継がれた上により加速していくことになるが、「ミュステリオン」「アパッショナート」「WAKE UP THE SOULS」など厳密にはメタルとしてのテイストは異なるが数々のメタルナンバーを産み出すことになる。

今作はその始まりの曲だと思っている。

 

 作詞は水樹奈々水樹奈々の書く歌詞はいつも色々な意味で特徴的で高カロリーである。今作は水樹奈々漢字検定ができそうなあの特徴的な当て字は抑えめだが、例に漏れず濃い。

 

”狂おしく咲き乱れる華

紅い紅い月冴ゆる待宵さえ ひそやかに悦楽を重ねるの

無明の闇の中で貴方だけが

すべてを支配する-抱く-の

甘く導いて 綺羅星のよう(強く強く)照らしている

永久を願う”

 

 僕のようなヴィジュアル系リスナーや水樹奈々を長らく聴いている人間は化調まみれな歌詞を浴びまくって完全に感覚が麻痺しているが、一般的に見ればこの歌詞はかなり濃い目である。

 しかしながら、曲の持つ和の要素をしっかりと汲み取っている艶やかな歌詞である上、演歌を出自とするような言葉遣いも感じられる。

 速いナンバーではあるが言葉をそこまで詰め込んでいないためか、演歌の出自だからなせるこぶしの聴いた歌声を十二分に活かせているナンバーである。

 TBS系列『笑撃!ワンフレーズ』2009年5月・6月度エンディングテーマ…っていつも見ると思うのだが、プロモーションを考えてもお笑い番組のテーマがコレって面白いな。

 

3.PERFECT SMILE 作詞、作曲、編曲:伊藤寛之

PERFECT SMILE

PERFECT SMILE

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 鍵盤の音が軽やかさをプラスするポップなロックナンバー。

 今作は作詞、作曲、編曲の全てをSPORTSのボーカル・ギターである伊藤寛之が手がけている。

様々な方に楽曲提供や編曲で関わっており、HKT48ベイビーレイズJAPAN9nineYUKIなど女性のアーティストが多いように思える中、flumpoolが異質に映る。

 同一人間が楽曲の全てを手がけることのメリットとして、世界観や楽曲と語感の合致が挙げられると思うのだが、今作はそのメリットがきっちりと発揮されているように思える。

 楽曲はメジャーシーンのJPOPでも聴かれるような明るいテイストの楽曲であり、名前も相まって前向きさを感じさせる…のだが、ここでSPORTSというバンドの話をしよう。

 SPORTSは2001年に結成され、2004年にメジャーデビュー。2007年に活動休止したロックバンドである。

 SUMMER SONIC’04にも出場した実は隠れた良質バンドでもあるのだが、そんな彼らの音楽性はローファイなテイストの漂うオルタナティブロックバンド。

 どことなくCOALTAR OF THE DEEPERSっぽさがするのは内緒だぞ。

Super Sonic

Super Sonic

  • sports
  • J-Pop
  • ¥250
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C.O.T.D

C.O.T.D

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  そのバンドのメインコンポーザーである彼が水樹奈々に提供した楽曲をここで改めて聴いてみると、かなり真っ当なJPOP。

 オルタナなバンドサウンドのテイストは鳴りを潜めているがロック的なテイストはキッチリを組み込んでいるあたり、人に楽曲提供することの面白さを感じさせる。

てか、NARASAKIと同じパターンなんだよな(笑)

 坂本真綾への楽曲提供がコンポーザーの色が割と全面に出ることを考えると、水樹奈々への楽曲提供は少しばかり色が違うかもしれないとか、伊藤寛之は器用なんだなと改めて認識できる。

ここで、歌詞を見てみよう。

 

”失くしたままの遠い記憶 確かめる度また怖くなる

大切なもの儚いもの 壊れたままじゃ進めないから”

”誰にも見せない笑顔で そっと空を見上げて

探した答えが今ならきっとわかるはずだよ 輝いた未来に”

 

 水樹奈々に合わせた前向きさを感じさせるテイストの中に、淡い痛みもきっちり描いているのがこの曲の歌詞の良いところであり、その苦味が良いテイストになり曲の持つ魅力を引き出しているように思える。

 

 個人的に春に聴きたい曲です。

 

4.Trickster 作詞:水樹奈々 作曲、編曲:上松範康(Elements Garden)

Trickster

Trickster

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 アニメロミックス』CMソング日本テレビ系列『音楽戦士 MUSIC FIGHTER』2008年10月度POWER PLAYコナミデジタルエンタテインメントアーケードゲームPlayStation 2用ゲームソフト『Dance Dance Revolution X』収録曲…とかいう3つもタイアップがついているのがある意味で特徴的なナンバー。

  作詞は水樹奈々、作曲は上松範康という黄金コンビで制作された今作は水樹奈々と最小限のバンド編成(ギター、ベース、ドラム)で構成されている。

 ハードロックテイストが少し入っているが、全体的にはガレージロックを感じさせる無骨な楽曲であり、弾きまくるとかテクニカルに手数で圧倒する、というものではない

ちなみに大義のガレージロックに分類されるバンドはこんな感じである。


MC5 - Looking At You (Live 1970)


The Stooges - I wanna be your dog (1969)


The Flamin' Groovies - Shake Some Action (1976)

 

 これを聴いた上でTricksterを聴くと、ガレージロック的な音像と共にギターソロではハードロック的な物が感じられる。ソレでいながらパンク的な瞬発力も感じさせるなど、水樹奈々の楽曲としてはかなり異質である。

 これを上松範康が書いたのだから興味深いと共に、彼の書ける音楽性の広さを感じさせる。

 歌詞は水樹奈々節が全面に押し出されており、

 

”君が「大好きだよ」っていつも無邪気な声で笑うから

僕の我が儘な感情-時計-はほら、動き始める

壊れた玩具並べ 自分の理想の城作って

誰もが求める幸せに心奪われていた”

 

”「大丈夫」と鍵をかけて隠してた

たくさんの本音-言葉-たち さあ、解き放ってみよう”

 

”僕の紡ぐ物語 君に伝えたい

それは、終りなき神話-星-の愛-いのち-の始まり”

 

 めっちゃ、水樹奈々印だな…って感じさせるのがやっぱり独特の言葉遣い。

歌詞は全体的に心の開放を歌っており、彼女の前向きさや歌詞のテイストは楽曲が変わっても変わらないということを再確認できる。

 

漢字の使い方は水樹奈々漢字検定初級くらいの感じだな!

 

5.Mr.Bunny! 作詞:SAYURI 作曲:若林充 編曲:齋藤真也

Mr.Bunny!

Mr.Bunny!

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  前曲の流れを引き継ぎつつ、シンセの要素を全面に押し出したポップソング。

 しかし、歌詞はそのポップさに反して失恋を連想するものになっており、悲しみを明るさで覆い隠すような心理を感じさせる多層構造のナンバー。

 作曲は若林充有限会社メロネストの職業作曲、編曲家で今では鈴木このみや愛美の作曲を手がけている。

 かなり幅の広い作風だと認識しているが、今作では先程述べたようなシンセサウンドを全面に出し、アニメソング的な過剰なまでのポップさをそこにプラスしている。

 編曲家は齋藤真也。p.m.worksに所属している作曲、編曲家でトランス・ミュージックのテイストを取り入れたキャッチーな楽曲を得意としている。玉置成実中川翔子などにも楽曲提供している。

 2人の共通点はシンセサウンドのある音楽を得意としていることだが、曲を担う点ではコレ以上ない人選だろう。

 

 作詞はSAYURI。元々は歌手活動をしており2003年には歌手活動を行っていた。2005年から休業状態だったのだが、GREAT ACTIVITY」収録のNostalgiaから作詞家として活動を始める。

 ちなみに水樹奈々とは堀越高等学校の同級生である。

 ある意味、水樹奈々以前の彼女をよく理解している方の作詞ということで安心感がある。

  

 ポップなメロディで聴き流すとピンとこないのだが、よくよく聴いてると…

 

”あの頃とは違った景色でも

ほら

上手に笑って

青い空見上げ なんとか踏み出してみるよ”

”so manythings

manytime

「君以上に分かち合える誰かを見つけてやるさ」 なんて強がって言ってみたけれどね そうじゃない

君以上の誰かなんていないさ”

  

 終始こんな感じである。

 一人称が「僕」ということで男視点で描かれてるのだが、それを女性の水樹奈々が真っ直ぐで力強い歌うといい意味で男らしさと湿っぽさが前に出ないために生々しくならないのもすっと聴ける要因だろう。

 

 ちなみにここまで一切バラードなどがない上、割とハイテンポな曲が揃っているのだが、曲に多様性があるためにリスナーを飽きさせないあたり工夫を感じる。

 

6.沈黙の果実 作詞、作曲:しほり 編曲:天羽蓮花

沈黙の果実

沈黙の果実

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  ストリングスとアコースティックなギターがバンドサウンドとガッツリ絡むのが特徴なアップテンポナンバー、というかここまでアップテンポナンバーしかない。

 普通パンクバンドでもないんだからここでミディアムテンポとか挟むだろ…と考えるのは凡人の発想である。この人はそういうんじゃない。

 イントロからストリングスがドバー!と流れると一瞬でテンションが上がってしまうし、途中で入ってくるアコギのギターソロも情熱的でどことなくヨーロピアンなテイストを感じさせる。

 エレキギターやドラム、ベースがそこで引っ込むでもひたすら前に出てくるというどのパートもぶつかり合っている熱さが水樹奈々の持ち味でもあるが、1曲聴くだけでお腹いっぱいという意見もわからないではない(笑)

 所々でキメがあるのがヴィジュアル系ー!とか勝手に思っているのだが、作詞作曲を担当したのはシンガーソングライターのしほり

いつも水樹奈々に楽曲提供しているのであまり思い至らないことがあるが、彼女自体はそんなに激しい音楽をやっているわけではない。こういうところでも水樹奈々に合わせているというのを感じられる。


しほり New Album「青い蝶」CM

 主にゲーム音楽などに楽曲提供を行っているが、ゼクシイのパパパパーンの歌を歌っていたりします。実は作詞作曲家としての曲はコレが初。

(天羽蓮花については調べたのだが情報が出てこなかった…。)

 彼女の作詞面だが、これも水樹奈々に焦点を合わせており…

 

”七つの海渡る疾風よ

鳴り止まぬこの想いどこまでも

焦がれていた君へ続く天空へ

止まらない衝動 遥かな祈り 連れていって・・・

あぁ、色褪せぬ願い 歌声は何度でも 蘇る”

 

という超勇ましい歌詞。

 水樹奈々の真っ直ぐな歌声や楽曲を参考にして作ったのが垣間見えるような内容であるが、水樹奈々が裏声を多用して歌っていることで独特の神々しさが生まれるように思う。

 個人的にお気に入りです。

 

7.Brand New Tops 作詞:ゆうまお 作曲、編曲:雅智弥

Brand New Tops

Brand New Tops

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  シングアロングやライブ映えしそうなアップテンポナンバー。

 作曲と編曲は雅智弥。水樹奈々の楽曲「Inside of mind」を過去に提供している作曲家であり、曲を聴く限りにはポップでありながらもバンドを含めたギターサウンドやシンセをバンバン盛り込んでくる印象がある。雰囲気的には林原めぐみの楽曲に近いだろうか。

Inside of mind

Inside of mind

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  いい意味で古き良き90年代のアニソン感を持っている作曲家と言えるだろう。

 今作でも、シンセとギターは絶対と言わんばかバンバン前に出してくるあたり強烈なこだわりを感じさせる。特に途中のギターソロとかがいきなり展開されるあたりとっても古き良きアニソンっぽい。

あと、最後の怒涛のドラムとギターがとても好き。

 作詞はゆうまお。実はこの方もシンガーソングライターであり、小室哲哉に憧れたらしい。そのため、MAYUKO名義でキーボードによる弾き語りアーティストになったのだとか。

ちなみにランティスからはゆうまお名義でメジャーデビューしている。

 また、楽曲提供経験も豊富で、数多くのアニメに楽曲提供をしているほか、実はアニメソング以外の仕事もしている。代表的なのはフジテレビ系月9ドラマイノセント・ラヴの劇伴だろう。

 水樹奈々の歌詞は非常に前向きなものも多いのだが、この曲もその例に漏れず前向きである。ちなみに水樹奈々の声のトーンは少女性を前に出したものと男らしさを出したものと大別できるのだが、これは前者である。

個人的なお気に入りは

 

”がんばろうよ こんな時代だから

アタシだけが アシタを動かす

白か黒か決めるのMyself うまくいくわ

愛そう My Dream Top

胸に抱いた 輝き My Treasure Top”

 

こういう真っ直ぐな前向きな詩も時には良いものです…。

 

8.少年 作詞、作曲:矢吹俊郎 編曲:大平勉

少年

少年

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  イントロのピアノとドラム、そしてホーンセクションが印象的なナンバー。

 そして、作詞と作曲が矢吹俊郎で編曲が大平勉という水樹奈々もう1つの黄金タッグによる作品の1つである。

 作詞と作曲の矢吹俊郎について今更どのくらいの説明が必要かわからないが、プロデューサーでありミュージシャンという2つの肩書を持つ。

 元々は80年代後半に松本伊代Winkのバックでギターを務めており、その時にすでにキーボードを努めていた大平勉と出会っている。

ちなみに渡辺格と大平勉を介し知り合ったことがあり、ソレがキッカケで奥井雅美水樹奈々のバンドのギターを渡辺格に委ねることになるという、超重要人物。

 95年から01年までは奥井雅美の音楽プロデューサーを努めており、今現在も水樹奈々の音楽プロデューサーを努めている。

 そして、何より演歌畑だった水樹奈々に厳しい指導を施しロックとポップスの歌い方を伝授した師匠。

彼女のキャリアにおいてほんとに重要な人です

 

 …色々な経歴があって書ききれないのだが…木梨憲武の中学時代の同級生で今も仲がいいというのは明記しておきたい。

 個人的に気に入ってるのは彼がTOTOのギタリスト、スティーブ・ルカサーのファンであるということ。ここから僕は興味を持ったりしました。

 編曲は大平勉。先にも述べたがキーボーディストであり、水樹奈々とは「おんなになあれ」の編曲から長年携わるというこちらも縁が深い人である。矢吹俊郎と共同で関わることが多いようだ。

 

 そんな2人が手を組んで作るロックはどこかAOR(アルバム・オリエンテッド・ロックもしくはアダルト・オリエンテッド・ロック)的なテイストを取り入れている。

 この曲もソレに該当するのだが、ロックというジャンルとしては攻撃的で刺さるようなサウンドではなく、楽器の各パートの調和を重視しているように思う。

 要所要所で入ってくるキーボードの音色が楽曲に広がりをもたせており、かなり色々な音が楽しめる曲である。途中で入ってくるサックスがとっても良い。

 

 水樹奈々の曲の歌詞は常に前を向けるようなものが多いのだが、この曲は大人になってから響く曲である。具体的には…

 

”少年のような輝きで もう一度はじけよう

守る モノに隠れた お宝を探そう

誰でも華やかな色に 染まれるはずだよ

いつも忘れないように 時々笑顔で

教えて欲しい”

 

こんな箇所。

僕も大きくなるまではそこまでピンときませんでした…。

 これは僕だけなのだが、少年…って言うと…


黒夢 少年

こっちなんだよな…。

 

9.Gimmick Game 作詞:Hibiki 作曲、編曲:藤田淳平(Elements Garden)

Gimmick Game

Gimmick Game

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 このアルバムでおそらく一番聴いた曲です。

 

 TBS『カード学園』のオープニングテーマである。

    

 トランス・ミュージックを感じさせるバッキバキのシンセトラックに水樹奈々の歌声が乗るという、当時のキャリアとしてはかなり斬新なナンバー。

 藤田淳平Elements Gardenに所属するキーボーディストであり、数多くのアーティストに楽曲提供を行っている。水樹奈々に対しては作曲や編曲で深く関わっているのだが、作曲で代表的なのが「ファーストカレンダー」「COSMIC LOVE」「囚われのBabel」である。

 そんな彼が今作では何を思ったのか、バッキバキのシンセをメインにしたトラックを作ってきて、そこに演歌譲りの歌唱法を持つ水樹奈々の歌声を乗せるという狂った発想を考えついた。

 

 そして、ソレが噛み合った

 

 伸びやかな彼女の声にシンセが細かく入り込むことで今までの彼女にはなかった風合いになったし、何よりこの曲のフォーマットは水樹奈々のみならず様々なアニソン系アーティストの基本構造の1つになったように思える。

 勿論I'veのようなテクノ・トランスをアニメソングやゲームソングに乗せるタイプのグループはいたが、彼らと比べるとキーといい、曲調といいだいぶメジャー感が強くなっている。

 そのため、割と色々なアーティストと合わせやすいのではないかと推測している。

 歌詞は「MARIA & JOKER」同様響きが手がけているが、テイストをガラリと変えていて、語彙の選択においてかなり性急さを掻き立てるようにチョイスしていると感じている。それが曲の持つテンポ感と緊迫感を更に高める効果をもたらしていると個人的に思う。具体的にはサビのこの部分だが…

 

”ねぇ Give me, Give me your heart

愛じゃなくていいの

裸のココロ抱きしめて

心情に身を任せたら

わたしを壊すほどに

ねぇShaking, Shaking emotion

昂るレゾナンス

禁断のLabyrinth...

そう君は 指先のGimmick game”

 

アップテンポな曲に早口で英詞やスキャンダラスな言葉をかなり使っている。

 

 歌詞も曲も全部がサビに思えるほどなキャッチーさもあるので本当によく出来た曲だと思います。

 

10.Dancing in the velvet moon 作詞:水樹奈々 作曲:上松範康(Elements Garden) 編曲:中山真斗(Elements Garden)

Dancing in the velvet moon

Dancing in the velvet moon

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 テレビアニメ『ロザリオとバンパイア』エンディングテーマであり、水樹と上松という定番タッグの制作に中山真斗が編曲で加わったナンバー。

 現在はF.M.F.に所属している中山真斗は元々Elements Gardenのメンバーであり、ロックサウンドのアレンジを得意としているのだが、ブラスやストリングスのアレンジもしている…というのが検索等で探すことの出来る情報。

 

 まあ、それを踏まえて改めて聴いてみると…

マジでそのとおりだな!!!

 ギターとストリングスとキーボードが一体になったイントロから、打ち込みのキックと生のドラムをうまくかぶせた独特の処理。チェンバロに似た音色をシンセで入れることでそこにゴシック感をプラスし、所々キメを作っていく…

 

 これはヴィジュアル系なんだが?

 

 ともすればゴシック・ロックテイストのアニソンとして普通にリリースされそうだが、ここで活きてくるのが水樹奈々の出自。

 演歌という特性上こぶしが入るのだが、これが入ることでカテゴライズ不能水樹奈々印に仕上がるわけである。

このような音楽はおそらく世界中探しても彼女しか無い。普通は考え付きもしない。

ここで歌詞を見てみよう。

 

”白銀の炎 天を焦がして

例え心を引き裂いても

あなただけに捧げたいの

私の胸の本性-十字架-を”

とか…

”愛の鎖 誰にも壞せない

甘く清らな呪文かけて

あなただけに許されるの

禁じられた本能-メロディ-さえも

自由翔ける翼になる

捕まえて… 早く私を”

とか…

 

 聴いてるといつも思うんだけど、要所要所のキメといい、TVアニメ準拠としてもこのゴシック感満載の歌詞といい、ストリングスとギターのサウンドの組み合わせと言い、個性のごった煮感といい…

 

ヴィジュアル系なんだが?

 

 個人的にバックで延々となってるチェンバロの音色が凄い好きです。

 

11.ray of change 作詞、作曲:斉田和典 編曲:高橋浩一郎

ray of change

ray of change

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 ここに来てようやくやってきたミディアムテンポと呼べるナンバー 。このアルバム頭おかしい。

 エレキ・ベースとドラムのサウンド五十嵐充を彷彿とさせるシンセを挟みつつ、ギターはアコースティックギターというこれまたカオスな曲。

 今作の作詞、作曲を担当している斉田和典だがギタリスト、作曲家であり、数多くのアーティストのバックバンドを努めているほか、水樹奈々以外にも関ジャニ∞、Hey!Say!JUMP!などにも楽曲提供をしている。

 小室哲哉に憧れてキーボードでバンド活動を初めたことはこのような楽曲と無関係ではないだろう。

 パッと聴いてると少しアクセントに癖があるミディアムテンポナンバーなのだが、ほんとに聴けば聴くほど不思議な曲で、アコースティックギターをここで大々的に押し出す!?という驚きを感じさせる。

 編曲は高橋浩一郎でこの方は宮野真守やLiSA、田村ゆかりなど主にアニメソングを主戦場にして活動するアーティストの編曲や作曲を行っている。

 歌詞を見てみようと思うのだが、アルバムの中でも何かを掴みに行こうという強い意志を感じる内容になっている。

たとえば…

 

”you can change 教えて自由の意味を

いつか解り合う日が来るから

汚れない光を目指して 探しに行こう

keep me we can change 叶えて僕らの夢を

遥か遠くにも伝えられる

求めたモノはただ一つしかないから

Can't live without you”

 

この部分がそうだろうか。

 

 水樹奈々の歌詞はハングリー精神に満ち溢れたものが多いのだが、そのハングリー精神に満ちた歌詞はどことなく後期のLUNA SEAを彷彿とさせるし、その前向きさはGLAYを彷彿とさせるように思う。

 水樹奈々の伸びやかな声と合わさることで、彼女の楽曲は誰かの背中を押したり引っ張り上げるような絶対的なブレのなさが見受けられる。

 その姿勢は昔から今まで変わることは決してなかったのだが、個人的にはこの曲でその姿勢が確立されたように思います。

 

12.深愛 作詞:水樹奈々 作曲:上松範康(Elements Garden) 編曲:藤間仁(Elements Garden)

深愛

深愛

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深愛/水樹奈々

 

 水樹奈々のオタクにとっては言うまでもなく名曲であり、個人的にもものすごく深い思い出がある曲。

 

 テレビアニメ『WHITE ALBUM』オープニングテーマであり日本テレビ系列『音楽戦士 MUSIC FIGHTER』2009年1月度POWER PLAYであるこの曲。

 ファンから見たらほんとに言わずと知れた名曲だし、自伝のタイトルにもなってるくらいに水樹奈々本人の思い入れも強い曲だが、ここで編曲の紹介をしておこう。

 こちらの曲はElements Garden藤間仁が編曲しているのだが、この方はアルパ奏者でこの曲にも演奏、PVで参加している上松美香の旦那さんです。

 打ち込みなども得意とするが基本的に伴や楽曲提供ではピアノとギターを主役に据えたアコースティックな物が多い。今作も例に漏れずその構成になってはいるがストリングスの音色が全面に押し出されるのはやはり上松範康の手癖のようなものか。

 そしてこの曲について欠かせないのはその記録である。

 まず、2009年1月21日に声優としては3年4ヶ月ぶりのオリコンデイリーランキング1位を獲得する。通常の水曜日発売でかつソロは声優史上初の快挙。

 更には声優として史上初のNHK紅白歌合戦出場を果たす。その後7年連続で出場するするという例を見ない記録を打ち立てる。

 おそらく、このような記録を樹立する声優は今後現れないのではないかと思える。

 (ちなみに、いつも奈々さんが歌番組に出ると観客と奈々さんの熱量の差とかに心が冷え冷えして落ち着かなかったです…)

 

 僕は正直に言うとこの記録の部分はあくまでも数字上のデータでしか無いと思っていて、彼女や楽曲の魅力とは関係ないと思っているのだが…。

 

 この曲はストリングスとアルパの音色を全面に押し出したバラードであり、アニメに合わせて切ない恋物語を表した歌詞が特徴的であるのだが、実はこの歌詞を書いたのは水樹奈々のお父上が亡くなった1週間後であり、レコーディングはその2日後であると考えるとまた聴こえ方が変わってくるだろう。

 

”「行かないで、もう少しだけ」 何度も言いかけては

「また会えるよね? きっと」 何度も自分に問いかける”

 

”一つだけ 許される願いがあるなら

「ごめんね」と伝えたいよ”

 

この部分とか彼女の歌詞の背景を考えると、本当に聴くたびに色々なことを考えてしまう…。

 彼女の伸びのある声と感情表現豊かでありながら湿っぽくならない真っ直ぐな歌声と合わさることで、ストリングスとアルパの美しさも相まって極上のバラードに仕上がっている。

 

 個人的にこの曲には強い思い入れがある。

この曲は水樹奈々の紅白を固唾を飲んで見守ったというのもあるのだが、僕は死別の経験が人より多いはず、というのもある。

 母方の祖父母は既に他界しているし、父方の祖父も僕が小学3年生の頃に山の事故で亡くなってしまった。

 この曲を初めて聴いた時に、僕はこの曲に単なる恋物語だけではない過剰なまでの思い入れをしてしまったのだが、あとで歌詞を書き上げた背景を知ると自然と腑に落ちた。

 そして、もともと、出自が未熟児生まれであるのも大きく関係している。同じような週数で産まれた周囲の人間は早くに亡くなっている、もしくは障害を持っていることを僕は今でも時折思い出してしまうのだ。 

 そして、最近だと近所の方の孤独死が相次いだことや、20年連れ添った愛犬を亡くした事もあるし、一昨年に10年ほど行方不明だった従兄弟を亡くしている。

 水樹奈々の背景を知ってしまっているためか、そういった「こぼれていってしまった命」のことをどうしてもこの曲に投影してしまうのである。彼女は不本意だろうが…。

 

 本来は「夢の続き」に対して思うような内容なのだろうが、あれは彼女と彼女のお父上の話、という区切りが自分の中であるのでそれを侵してはいけないように思えてしまう。

 

 本当に単なる自分語りでしかないが、そういった経験が重なれば重なるほどこの曲を恋物語ではなく死別として聴いてしまう自分がいる。

そして、死の重さを感じてしまった自分は真っ直ぐな彼女の歌声に、そして真っ直ぐな中に別れを感じさせるこの曲にかなり救われてきている。

 

 だからこそ、この曲は僕にとって思い出深い曲なのである。

 

13.蒼き光の果て-ULTIMATE MODE- 作詞:辻純更 作曲:松井俊介 編曲:藤間仁(Elements Garden)

蒼き光の果て-ULTIMATE MODE-

蒼き光の果て-ULTIMATE MODE-

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  アルバムも終盤に差し掛かる中、シンセとバンドサウンドの兼ね合いが特徴的であるかなりハイカロリーなアップテンポナンバー。

 この曲はイントロのギターのアルペジオ、AメロBメロのバンドサウンドと打ち込みがとても好きなのだが、ただでさえ情報量が多い曲にストリングスがかぶさっていたりギターソロがかなり弾きまくっていたりとかなりハイカロリーな曲に思える。

 

 作曲は松井俊介専業作詞、作曲家であり、西沢幸奏野水伊織平野綾佐倉綾音など数々のアニメソング系アーティストや声優作詞、作曲、編曲で関わっている。

 この過剰なまでのポップさと情報量の多さがひたすらに耳をひきつけるサウンド、そして唐突に挟まってくるヘヴィメタル的ギターソロがアニソンの様式美と思える。

 おそらく世代的なものなのだろうがバンドサウンドの骨子はJPOPとヘヴィメタル由来の物を感じさせるのが耳に馴染みやすい要因なのかもしれない。

 作詞は辻純更アイカツ!シリーズやまりあ†ほりっくうぽって!!などのアニメソングの土壌からエビ中やAKBなどのアイドルシーン、さらにはCMソングやコーラスなどその活動は多岐に渡る。

 そしてアレンジは藤間仁深愛でも担当したが今回はバンドサウンドと打ち込みの比重が多めに仕上がっている。こんな曲でもストリングスをガッツリ挟んでくるのはElements Gardenの所属者の癖なのかもしれない。

 

 水樹奈々にガッツリ歌詞を寄せてくる外部提供者の中で、彼女の作詞はサビの部分がリズミカルで非常に頭に残りやすいように思える。

 

”この声この心 手と手に 望むものがあるとするなら

あと少し世界を見せて 光を見せて”

”例えば痛みを背負うとしても 自分で選んだコトだから

蒼く高く この身体に刻んでみせる”

 

ココらへんの歌詞とか超リズミカルでとても歌いやすそうだし。

そして…

 

”ねぇ

強く(強く)

想う(願う)

誰の(為に?)

in your eyes(in your eyes)

in your mind

yourself 重ねる”

 

 この辺などはカッコ内の部分とそうでない部分の掛け合いが同様にリズミカルで、辻さんは音と言葉のハメ方を最優先して曲を作っているのかもしれないと感じた。

もちろん、これが曲先か詞先かが判断できないので推測でしか無いのだが。

 

 アルバム終盤のハイカロリーな曲に聴きごたえも抜群なのだが、その流れはまだ終わらないのであった…水樹奈々恐ろしい子っ!!

 

14.Astrogation 作詞:Hibiki 作曲、編曲:陶山隼

Astrogation

Astrogation

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 はい来ました、アルバム終盤でこのアップテンポナンバー、「Gimmick Game」に通じるバッキバキのトランス。

 

何このアルバム馬鹿なの?

 

 作曲家は陶山隼。ジャズピアニストの父とジャズ歌手の母を持ち2003年から作曲家、編曲家としての活動を開始する。水樹奈々以外にも川嶋あい柴咲コウ田原俊彦東方神起に提供するなど精力的に活動、活躍している。

 

 そんな人がまさかバキバキにトランスに振り切れたナンバーを作ってくるのか…(戦慄)

 Hibikiの書く「空」と「ラブソング」というテーマの歌詞と相まってその拡がりはまさに名前に相応しいスペーシーな物を感じさせる。ちなみにAstrogationの意味は「宇宙旅行」「天体地質学」「宇宙航空学」という意味らしい。

 トランスのテンポ感とシンセの感覚にストリングスが絡み、壮大さをより感じさせる効果があるように思えるし、どちらが脇役というわけでもないのが個人的にとても好みである。

 ちなみに宇宙、と僕が聴いて最初に思い出すのがLUNA SEASUGIZOなのだが彼も彼でテクノやトランス系のサウンドと宇宙的ギターサウンドを融合させたソロ活動をしている。

もしや、水樹奈々SUGIZOだったのか?


SUGIZO / MESSIAH - from STAIRWAY to The FLOWER OF LIFE (Official)

 

 まあ、冗談はおいといて今作はSTARCAMP EPというコンセプチュアルなEPに収録されているだけあり歌詞も特徴的である。

たとえば…

"感情がハジける アダムとイヴの軌跡を追う

Ready, Go to star heaven 恋だと地図が示すよ

シンクロしたい でも届かない

君との距離ワープしたい"

"夢を語るには 宇宙じゃなんか狭すぎるから

Shining love & Galaxy 「大好き」が溢れてるんだ

上手く言えないけど僕についてきて

空を教えてあげるよ"

 

 など…ラブソングでありながら宇宙を想像させるようなスケール感の大きい歌詞のオンパレード。

 水樹奈々が器用だなと思うのは、こういった曲でもビブラートをきっちり聴かせつつポップさに寄せていけることであろう。

 他の曲にも言えるのだが、語尾の部分できっちりビブラートというかこぶしを効かせてくるあたりは演歌の出自を十二分に活かしているし、それを幅広いジャンルに対応させているあたりとてもおもしろい方である。

 

この曲めっちゃ好きです。

 

15.夢の続き 作詞、作曲:水樹奈々 編曲:藤田淳平(Elements Garden)

夢の続き

夢の続き

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 ハイカロリーなアルバムのラストを飾るバラードであり、水樹奈々の作詞作曲。

 水樹奈々が作曲をすると、歌手であるということも関係するのかかなり歌メロが素直な印象で、Elements Gardenや他の提供者に見られるようなトリッキーなものはあまり見られない。自分の声質や歌い方から得意なメロディラインや譜割りをよく理解しているのだろう。

 編曲は大体Elements Gardenのメンバーが手がけているらしいが今回は藤田淳平

 ロック色を滲ませつつもアルバムの中ではもっとも歌謡曲テイストが強いオーソドックスなバラードであり、超絶ハイカロリーなアルバムの終わりにはこのくらいでちょうどいいと思える。

 この曲は水樹奈々がこのアルバムリリース前年に亡くなった父への思いを綴った曲である。

 

"「ごめんね」いつも同じ謝ってばかり

本当はね もっと話したいことあるんだ "

 

"何度も道の途中ぶつかり合ったね

悔しくて一緒に涙したこともある

真っ直ぐ前を向いて信じて歩いた

忘れないよずっと がむしゃらだった日々"

 

 このような歌詞はまさにストレートな父への思いであり、不器用な親子関係ながらも充実した日々を思わせてくれるし、

 

"ありがとう 伝えたい

たくさんの音に乗せ

照れ臭くて言えなかった想いを込めて

ありがとう 届けたい

大好きなあなたに

どこにいても繋がってる

歌い続けるよ"

 

 このようなサビの部分は父への感謝をストレートに述べている。

 

 僕は両親との関係が決して良いわけではないが、こういった曲を聴くとやはりこみ上げるものがある。

 水樹奈々と父との関係は自伝の深愛を読んで色々と感じ取った。

深愛 (しんあい)

深愛 (しんあい)

 

  高校生の時に読んだのだが、大人になってから振り返ると彼女と父親の関係が決して正常なものだとは思えない部分がある。

 しかし、それでも彼女が抱いている感謝は紛れもなく本物だろうし、余人が立ち入ることの出来ない強い絆をこの曲から感じ取ることが出来る。

本人たちがソレで納得しているのならもう全てが良いのだ。

 このような曲は彼女の真っ直ぐな歌声と相性が良いように本当に思えるし、人柄も透けて見えるようで素朴ながら時折聴きたくなる1曲である。

 

まとめ

  今改めて聴くと、過去に水樹奈々が培ってきた音楽性や経験の集大成的なアルバムに思える。

 他にはバラエティ豊かで新たな挑戦が見られるものの、彼女の年齢に合わせて歌詞をブラッシュアップしている部分がちらほらと散見される点や、

昔のアルバムで培ってきた音楽性を今の水樹奈々にきっちりと落とし込んでいるあたりにプロの仕事を感じるのだ。

 そして、なんと言ってもそのカロリーの高さ。15曲ある中で純粋にバラードと呼べるものは2曲であり、ほかはほぼ全てがアップテンポナンバーという完全なぶっ壊れアルバムにも関わらず、一本真っ直ぐ芯が通っているのは水樹奈々の歌唱や表現のブレなさが大きい。

 おそらく、ここまで熱量のあるアルバムは近年のJPOPシーンではもはや絶滅危惧種であり、だからこそこのアルバムには大きな価値がある。 

 そして、水樹奈々が燦然と打ち立てた記録も含めて一聴の価値がある作品であると言えよう。

 このようなアルバムはなかなか見られるものではない上に、中だるみも一切なく、何よりも演歌出自の歌の個性と楽曲の絶妙な異物感が他にはないテイストを醸し出している名盤と言えるだろう。

一聴の価値ありだぞ!凄い疲れるけど…

 

最後に

 書きたいことをとりあえず全部書いちゃえとか思って何も考えずにひたすら書いてたら20000字に迫る勢いになってしまいました。

 水樹奈々の楽曲を聴くたびに、どことなくそのストイックさはLUNA SEAと重なり、気合で様々なことを乗り切ろう、押し切ろうとする姿勢はX JAPANと重ねてしまうところがあります。

 ポップでありながら坂本真綾と違う意味で超絶にアクの強い彼女の曲ですが、この記事を通して魅力が少しでも伝わったなら幸いです。

 寄稿を音楽サイトにしていた2年くらい前から水樹奈々の記事が書きたい!と思っていたのでそれがきっちりやり遂げられてよかったです。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

 

ポストペットシリーズ、完結!~COALTAR OF THE DEEPERS「RABBIT EP」(2018)

はじめに

 この記事はもともと寄稿として書きかけて居たものだ。まあ書いてる間に年を越してしまったのですが…。
色々な音楽を聴く中で僕はCOALTAR OF THE DEEPERSそしてNARASAKIという人間の創る楽曲に惹かれていった。

「Sadesper Record」も好きだし、彼が提供する楽曲も好きだし、大槻ケンヂとのバンド「特撮」もどれも大好きである。
 しかし、足りない…足りない…とか渇望してた時…衝撃ニュースが飛び込んできた。

natalie.mu

え、あのCOALTAR OF THE DEEPERSが新譜を出すんですか?

奈々年ぶりのEP!?

ライブで散々客にせっつかれまくった、あのうさぎEPがついに出るんですか!?

しかも新譜が先行配信される?夢なのでは…?

 

 半信半疑になり、数分くらい思考してしまって完全に頭がパニックになりました。

冗談抜きで発売される日まで半信半疑でしたよ。
 実はYOSHIKINARASAKIのどっちが先に本体バンドの新譜を出すのか賭けてたのにまさかこんな形で決着がつくとは思ってなかったので、マジで驚きました。

 いい加減レビューしますね。

COALTAR OF THE DEEPERS「RABBIT EP」(2018)

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RABBIT EP

RABBIT EP

 

 

 

 

 

  COALTAR OF THE DEEPERSが実は長年出す出す言っていた「RABBIT EP」。まあ実は完全新曲ではないわけだけど、過去の曲のRebuildという形であってもとても嬉しい。
 ディーパーズはシューゲイザースラッシュメタルネオアコボサノヴァグラインドコアなどあらゆる要素を混ぜ込んだ世界的にも稀有な音楽性のバンドであるが、今回は全体的にシューゲイザー一色な作風である。
 原曲との比較も兼ねてどんな感じになったのか一曲ずつ見ていこう。

 

1.HALLUCINATION '18

  原曲はTHE LIGHT SHINES INTO YOUR DREAMというVinyl Junkie Recordingsというインディーズレーベルが東日本大震災救援、復興支援としてiTunes上でリリースされたコンピレーションアルバムの収録曲。
 My Bloody ValentineRingo Deathstarrが参加しているのだが、僕がこの中でも一番好きなのがディーパーズのHALLUCINATION。
 浮遊感ある打ち込みにノイジーなギターが乗る耽美で美しい作風に仕上がっている。
 

 Rebuildされた今作ではシンセベースと4つ打ちのドラムが大きくフューチャーされた上に、ボーカルがより音に溶けていくようにアレンジし直されており、対比として打ち込みがはっきりと浮かび上がっている。

 A Place To Bury StrangersとかCurveとかなんかそこらへんのバンドと比較したくなるような曲だが、こっちのほうが耳に優しいと思う。

 

2.SUMMER GAZER'92

 

 

 

 ディーパーズの先行配信曲。ラテンハウスを全面的に取り入れ、彼らなりの夏感を表現した曲(まあ原曲は昔らしいんだけど…)。

配信された時は手が震えました。

 ギターストロークから始まるNARASAKIナンバーはもうおなじみだが、そこにスチールパンの音色が乗ると、あーコレ!コレだよコレ!って感じのディーパーズ流シューゲイザー

 途中でホーンセクションが入るとなんか初期のディーパーズを思い出すのだが、どことなくWater Birdの匂いもするという過去と未来の混在した曲。

 ジャジーでトロピカルでアーバン、あとラテン…。

ディーパーズはいいぞ!

 ちなみにPVがYouTube上にアップされているのだけど、真夏の海にジープで乗り付けちゃうところとかがすこし一般人とずれている気がする。そこが良い。


COALTAR OF THE DEEPERS - SUMMER GAZER '92 (Official MV)

 

3.DEAR FUTURE'18

  2011年に出されたシングルの再構築作品。

 原曲は6連のギターと4拍子と合わさってポリリズム感が出ているのだが、

それを大きく崩してはいない。 

 

DEAR FUTURE

DEAR FUTURE

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  しかし、その音像はエフェクティブな部分が抑えられており、EPの前2曲に比べるリバーブが控えめになっている。

 サビで開けていくなかに溶け込む甘いシューゲイザーサウンドが浮遊感とある種の安心感を与えてくれる。

 攻撃的でロックなディーパーズではないが、「NO THANK YOU」「newave」に通じるような溶け込むノイジーさ、ソレでいながらいい意味で耳に刺さらないサウンドは聴き疲れしない良さを感じますね。

 

4.LANGSAM BLUT'13

 

  原曲はParadise Kissのサントラから。

 EPの中でおそらくもっともバンドサウンドを全面に出した作品で、KANNOのドラムが他の楽曲に比べはっきりと聴こえている印象がある。

 これこそ、ザ・シューゲイザーマイブラフォロワー!と言わんばかりにガンガンに聴いたノイズとバンドサウンドを塊のように体感することができる。

 この手のジャンルってパワー感に欠ける印象があるのだけど、この曲はむしろパワーにみなぎっているので原曲の時点で意識していたのかどうなのか…ってのが個人的に気になる。

 個人的に、NO THANK YOUに入ってても違和感がないですね。

 

まとめ

 今作ではCOALTAR OF THE DEEPERSシューゲイザーを全面に押し出したわけなのだが、コレが今のNARASAKIがやりたいことなのかなーってなんとなく感じている。

 ちなみに、NARASAKIは今作についてTwitterにこうつぶやいている。

 

 

 

  これを見た時に、NARASAKIがやってくれるってことにとても嬉しい気持ちに鳴ったと共に、YOSHIKIと同じく外部からのストッパーがないと無限に作業できてしまうんだなあと考えてしまった。

 そして…

 

  コレを見た時にマジで仰天してしまってこんな顔になりました。

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ほんとに顎が外れかけてこうなりました

 

最後に

 7年ぶりの新譜が出たのが凄い嬉しくていい、本当にいい…としか言えない感じになりました。

 僕はよくタイムライン上でディーパーズについてつぶやいているのですが、色々なNARASAKIワークスを「実質ディーパーズの新譜じゃん!」とか言い続けて幾年月…。

 

 YOSHIKIより先に本体バンドの新譜が出てしまいました。

 

 僕はとっても嬉しいと共に、X JAPANの新譜の話を思い起こしてしまうのでいつ聴いても少しだけ不思議な気持ちになります。

 みなさんもCOALTAR OF THE DEEPERSを聴きましょう。そして、アルバムを待ちましょう。なぜならアルバムを作るとも昔のライブMCで言っているのだから…。

 

 あとディーパーズは音楽定額配信サービスとかでもいっぱい配信されているから、過去作も聴こうな。

 それか頑張って現物を入手しよう…!

 

ディーパーズはいいぞ。

 

一週間くらいブログをやってみた感想

はじめに

 どうも、アキオです。

とりあえず唐突に古代の遺産「BUROGU」なるものを開始して一週間くらい経ちました。每日投稿したんですけど、今日は音楽記事をお休みして、一週間のブログの中で感じたことを色々書いてみようと思います。

 

1.每日書くこと自体は余りしんどくない

 ブログを書いてる時、特に音楽に関する記事を書いている時は「長い…ぐるじい…」って気持ちでいっぱいなんですけど、まあ別に書く作業自体がしんどいわけじゃないんですよね。

 書く事よりもネタを決めるとか導入をどうやって書くかが大変なわけで、僕にとっては別に書くことは大変なことでも何でも無いんだな~って改めて感じました。

 寄稿していたころは自分の中でいろいろ制限を設けていたので、色々苦心してたんですけど、まあ自分のブログだから内容は自由だし、一回書き出したらほぼ止まらず書き続けられると気づけたのは良かったです。

 

2.人に読んでもらえるのはやっぱり嬉しい

 書いてる時は完全に自己満足だし、あんまり反応とか気にしないようにしてるんですけど、色々な記事をTwitterで流した時にやっぱり反応があると嬉しいんですよね。

 僕自身速筆ではないので、平均して書くのに90分位かかってるんですけど、音楽記事とかが僕の知らない方とかに受け入れられたりすると書いててよかったなーってお思います。

 そういう反応って励みになるんだなあと思うと同時に、まあ一応1つの作品なわけで、見てもらうために苦心する作家さんの気持ちとかがわかるようになりました。

  特に

 

disheatchaos.hatenadiary.com

disheatchaos.hatenadiary.com

disheatchaos.hatenadiary.com

disheatchaos.hatenadiary.com

disheatchaos.hatenadiary.com

 ここらへんは需要があるとわかって興味深い発見になりました。

 

3.始めるよりシメるのが難しい

 コレは、ブログというまとまった文章を書くようになって改めて気づいたんですけど、シメる方が始めるより難しいですね。

 僕の場合なんですけど、割と書く作業自体はいくらでも拡げられるんですよね。

頭の中に書きたいことは結構あって、あとはそれを出力するだけなので。

 ただ、まとめるとなると最後にかならずいい感じで終わらせないといけないですよね。

先人も「終わりが肝心」とか言ってるし…。

 まあ、コレ書いてるときも終わりなんて一切考えてないまま書き始めてるのでだいぶシッチャカメッチャカですけどね…。

 

4.意外と気を遣う

 コレはホント。別に凄い窮屈なわけではないんですよ。今も書きたいこと書いてるし。

 ただ、Twitterはやっぱり流れてくれるじゃないですか。いつの間にか忘れ去られるような意識も強いですし。

 それに比べてブログってなんとなく残るって意識が強いんですよね。アクセスで読まれるってのが可視化されるわけですし。

 そう考えると、それなりに題材には気を遣ったり真面目になったりしますね。

 でも、残ることを考えるとちょっと気合が入って悪くないです。

 

まとめ

 書くことよりも、それに付随する色々な物事が難しいなあって感じましたね。

書き始めたらひたすらノンストップな自分としてはそんなに書くことがなにも浮かんでこないみたいのはないんですよね。

 むしろ書きたいことがあまりにも多くて、途中でまとめるほうが難しい。

 ココらへんは色々数をこなして練習していこうかなーって思いました。

 

最後に

 とりあえず、水樹奈々さん、坂本真綾さん関連ももっと色々な人に読んでもらえるようにちょっとがんばります。

 それとX JAPANのアルバムが出たら、アルバムのレビューをするかもしれないですが、出て無くても出てる世界線という設定で架空のアルバムレビューをするかもしれません。

 みなさんもとりあえず、林YOSHIKIに対してアルバム発売を願ってください。