ミルクレープを崇めよ…

自分が個人的な思いの丈を延々と書き連ねていくサイトです。

眩き光の果てへ~坂本真綾「逆光」(2018)

はじめに

 僕がこのブログを始めるに当たり、書きたい人は色々いる。それはジャンルを問わず多数に及ぶのだけど、その中でも絶対に書きたいと思っていたアーティスト坂本真綾」。

 数ある声優とアーティストを兼ねる存在の中で、稀有な存在感と才能を持つ彼女について真面目に書きたい。そう、強く思っている。

 というのも、僕が彼女に惚れ込んだのは今から14年前、ちょうど小学校5年生の頃にNHKで見たツバサ・クロニクルがEDで聴いた「ループ」(2005)歌詞の美しさもさることながら、僕はその声質にいたく惚れ込んだ。

 その時はまだ彼女が声優だとー声優という職業そのもの―すら知らなかったのだが、そこからずっと好きで、たとえ自分の好きな音楽が拡張していっても気持ちはぶれることはなかった。

 彼女の言葉や考え方や生き方から多大な影響を受けており、彼女抜きで僕という人間の現在の人格は存在し得ないと言っても良い。

 そんな彼女が去年出したシングルは当然のように全部買ったのだが、その中でもまず最初に書きたいのが「逆光」。インストゥルメンタルは除くとして、このシングルを通し彼女の魅力をもう一度考えてみたいと思う。

 

坂本真綾「逆光」(2018) 

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逆光(MAAYA盤)

逆光(MAAYA盤)

 
  1. 逆光 
  2. 空白
  3. 色彩-unplugged session-
  4. 逆光-Instrumental
  5. 空白-Instrumental   

1.逆光 作詞:坂本真綾 作曲:伊澤一葉 編曲:伊澤一葉、井口亮

 表題曲であるこの曲はスマートフォン向けRPGゲームFate/Grand Orderの第二部Fate/Grand Order-Cosmos in the Lostbelt-」の主題歌。

 坂本真綾自身がFGOの制作陣と綿密な打ち合わせを重ねて歌詞を考えたらしいです。

 まず僕がこの曲で驚いたのは作曲が伊澤一葉であること。

 伊澤一葉と言えばthe HIATUS東京事変のキーボーディストとして有名だが彼らしいキーボードの旋律を活かしたピアノロックに仕上がっている。そこに伊澤一葉本人と、江口亮(Stereo Fabrication of Youth、la la larks。どちらも凄くいいバンド)、そして石塚徹のストリングスアレンジが華を添える。

 さらにスペーシーで疾走感のあるギターサウンドが楽曲を大きく彩っている。LUNA SEASUGIZOが好きそうだねこういう音。加えてドラムもベースもフレーズめっちゃカッコいい。インストゥルメンタルで聴いてくれ。

 …何だお前ら神か?

 単純にロックナンバーとして超絶にカッコいいのだが、そこに坂本真綾の歌詞と声がプラスされることで楽曲に彼女ならではの透明感と柔らかさを帯びる。

 それがマジで素晴らしい。歌詞も含めて個人的には近年の坂本真綾の歌手のキャリアの中でも最高クラスの出来。


坂本真綾「逆光」Music Video (Short ver.)

 

”憂鬱だった いつも目覚めると

同じ天井があって

現実だって 思い知らされる

ここには出口がない”

 ここでシンプルな鍵盤のフレーズとストリングスで彼女の声が乗って…

”どうやって終わらせるの

完成も崩壊も永遠におとずれない物語

もう運命が決まってるなら

選べなかった未来は想像しないと誓ったはずなのに”

 ここでスペーシーなギターが入ってきて…

”まどろみの淵で私は優しい夢を見る

幻と知りながら

あなたに駆け寄って

もうすぐ指がふれる

そして微笑みながら目覚めるの”

 ここで一気に開放感あるサビと共に駆け抜ける!

 

…良くない?

…良くない?最高なんだが?

 

 とにかく、かなり練られていると思われる楽曲構成と歌詞構成が最高に素晴らしい。

 あと、一聴すると自然に聴ける部分でも地味に歌詞の譜割りが変則的で頭がおかしい。

 

 坂本真綾をこのレベルに育て上げた菅野よう子女史は偉大。そしてコレに限らず実験的なポップソングをサラリと歌いこなす坂本真綾は地味に変態。

 

 平易な語彙でありながら詩的で哲学的な歌詞」というのが坂本真綾の大きな特徴だと思うが、今作ではFateシリーズに世界観と合致して爆発的な化学反応を起こしている。100点満点で言うと1億兆点みたいな出来。奈須きのこ先生ありがとう…。

 

 まあ肝心のゲーム性とかガチャとかいう新手のギャンブルとか月姫リメイクとかDDDの話とか魔法使いの夜の続編とかこの際全部目をつぶってやるとして、きのこたちがいないと産まれない歌詞だと思うと本当に良いよ…。

 

 ちなみにシングル発売に際して坂本真綾奈須きのこがガッツリ対談してるんだが、これが単純に読み物としてめちゃめちゃいい。奈須きのこほんと坂本真綾好きだね。

 ちなみに菌糸類、型月の作品でLUNA SEAとかBUCK-TICKとかPlastic Treeとかの歌詞を引用しまくってたり、言峰綺礼のモデルがSOFT BALLETの遠藤遼一だったり、なんか他人に思えない。型月のオタクは全部履修してくれ…。

natalie.mu

 

2.空白 作詞:坂本真綾 作曲、編曲:la la larks 

 こちらはFate/Grand Order Arcade」の主題歌。ストリングスに石塚徹江口亮が関わっている。

 la la larksを聴いた時ピンとくる人もいるかも知れないが、FGOもう1つの名曲「色彩」を提供したバンドである。

 ボーカルは元School Food Punishment内村友美。エレクトロニカとロックを融合させた特徴的なサウンドが持ち味のバンドだった。その内村とSFPのプロデューサーだったギターの江口亮

 そして、黒夢のボーカル清春が率いたもう1つのバンド、SADSの元ベースであるクボタケイスケ(ちなみにSADSは1期と2期に分けられ、クボタが所属してたのはラウドロック主体の2期)、ポップ・パンクバンド元GO!GO!7188のドラム、ターキーという結構凄いメンバーのバンドなのだ…。


la la larks 「Massive Passive 」Music Video

 そんな彼らが坂本真綾に提供した楽曲はストリングスとエレクトロニック・ロックがうまく合わさったポップ感の強いナンバーに仕上がっている。キーボードのサウンドも良い持ち味になっている。

 地味にドラムのパターンが変則的なのがとてもニクい。こういう聴きどころを作ってくるあたり本当に素晴らしい。

 坂本真綾が歌詞をつけ、歌を乗せると楽曲全体が柔らかくなり、透明感と存在感を同時に帯びるという地味にすごい変化を起こすのだが、その裏で楽曲提供者が割とやりたい放題にしてるのがいつ聴いても癖になる。こういうのがあるから坂本真綾のファンはやめられない。

”振り向くと もうあなたの姿は見えなかった

最後まで言わないのね 核心に触れることは

私の中の空白は なにものにも埋められない

この先目にする光も きっとあるけど”

 地味にこの最初の部分で坂本真綾が静かに歌っているバックで、様々なフレーズが鳴っているのが聴きどころです。ドラムカウントやギターのアルペジオやストリングスなど、いちいち情報量がめちゃめちゃ多い。インストゥルメンタルで聞くと面白いです。

 そして、ストリングス含め一気に転調するサビをバシッと持ってくるのがポップ感を更に高めて聴きやすくしてると思う。

 そういう展開は聴けないけど、まあFGOのこのPVで雰囲気をつかめるんじゃないかな…。


『Fate/Grand Order Arcade』 PV 第3弾

 

 「BUDDY」もそうなんだけど、この手のサウンド坂本真綾に新たな可能性と光をもたらしたと思う。

 菅野よう子以前、以降で語られることの多い彼女だが、どちらにも強烈な個性があって僕はどっちも好きです。他にもラスマス・フェイバーとか北川勝利とか鈴木祥子とか語りたい人がいっぱいいるので、また折に触れて書きます。

 

3.色彩-unplugged session- 作詞:坂本真綾 作曲:la la larks 編曲:扇谷研人

 Fate/Grand Orderの主題歌であった「色彩」扇谷研人が編曲し、スタジオでアンプラグドバージョンとしてライブ録音。そこに坂本真綾が歌声を乗せたバージョンになっている。

 アンプラグド、というのはエレクトリック・ギターやエレクトリック・ベースギターなどいわゆる電気を通す楽器を使わずに演奏される楽曲やパフォーマンス、表現形式そのものを指す単語である。

 なので、この曲でもピアノの音やアコースティックギター、ストリングスの音色が生々しく響いてくるわけだが、こういう曲を通してわかるのは坂本真綾は単純に歌が上手い。歌唱力と表現力の両面で秀でている。

”ひとりになると聞こえるの

苦しいならやめていいと

ブラックホールみたいに深く 怖くて魅力的な甘い声が ”

  ここからはじまる序盤から1番目のサビのテンポが遅いところでは無理に力を入れず、ブレスをコントロールを繊細に行う。そして…

”私をたしなめるように 何度も同じ夢を見る

皮肉なほど綺麗な夢

目覚めさせて 逃げたくないの”

 このあたりからテンポアップするのだが、その場面でも難なくついてくる。繊細なコントロールの元に発声されるためか、一言一言が非常にはっきりと聞こえてくる。

 レコーディング版だから編集してると思うなかれ、坂本真綾は舞台女優でもある。

生歌での発声コントロールもお手の物、ライブそのものがかなりうまい。

 そして、声優であるということもあり、やはり言葉一つ一つに込める表現は丁寧であり、アンプラグドバージョンを通してそれを堪能することが出来る。

 「MAAYA SAKAMOTO LIVE 2011 in the silence」を観に行ったことのだが、凄いうまかった記憶がある。どんなジャンルにも魅力が詰まっているとは言え、やっぱり生歌がうまい歌手はいいなと思います。

あと、全編歌詞がくっそいい。教科書に載せろ。

 これは色彩のアンプラグドではないけどスタジオライブの音源。声が透き通ってて凄い綺麗でずっと聴いてられる。あとやっぱり上手い。


坂本真綾×石成正人 STUDIO LIVE 2014 ダイジェスト

めっちゃうまくてワロタ

 

最後に

 またしても愛が重くなりました。BUCK-TICKといい、坂本真綾といい、好きなアーティストは大体こうなってしまいます。

 

disheatchaos.hatenadiary.com

 ※これは11000字を超えるので読むときは時間を取りましょう。

 

 坂本真綾は少女から大人になる過程をそのままパッケージングしたタイプの歌手だし、同年代の水樹奈々とはまた違った魅力を持つ方だなと改めて感じました。水樹奈々さんも好きなので、そのうち書きたいなと思います。

 ここまで読んでくださってありがとうございます。ありがとうというついでになんですけど坂本真綾さんはエッセイも出してるんですよ。

 特に「満腹論」がお気に入りでなにかあると読み返してます。サイン付きなのが自慢です。

 まあ、何が言いたいのかと言うと…坂本真綾を好きになりましょう。

そして色々買え!じゃあな!

 

 

満腹論 (角川書店単行本)

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アイディ。 (星海社文庫)

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from everywhere. (星海社文庫)

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地図と手紙と恋のうた

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最狂で最高の暗黒宇宙~BUCK-TICK「Six/Nine」(1995)

はじめに

 このブログを始めるに当たって必ず書こうと思っていた話題だ。実はかつてレビューサイトでBUCK-TICKについては書いているのでこちらの過去記事からリンクを探して飛んでほしい。

 

disheatchaos.hatenadiary.com

 

 今まではBUCK-TICKの示す未来について記述してきたが、今回はBUCK-TICKのキャリアの中において大きなターニングポイントとなる作品であり、かつ僕が人生の中で最も聞いたと言える1枚を紹介しようと思う。

 このアルバムを手に入れたのはちょうど自分が中学2年終わりか3年だったころで、そこから10年以上途切れることなく聴き続けて来た。とても思い入れのある作品なので若干緊張している。…がんばります。

BUCK-TICK「Six/Nine」(1995)

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  1. Loop
  2. love letter
  3. 君のヴァニラ
  4. 鼓動
  5. 限りなく鼠
  6. 楽園(祈り 希い)
  7. 細い線
  8. Somewhere Nowhere
  9. 相変わらず「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり
  10. デタラメ野郎
  11. 密室
  12. Kick(大地を蹴る男)
  13. 愛しのロック・スター
  14. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ
  15. Loop MARK Ⅱ

 ※特記曲以外の全編曲はBUCK-TICK

バッキングボーカルとアレンジメントはSUSANNE BRAMSON

弦楽器系のアレンジメントは飛鳥ストリングス

キーボードとプログラムとマニピュレートは横山和俊

6曲目のタブラはシートベルツの梯郁夫

Six/Nine

Six/Nine

 

 

 全71分09秒、16曲という圧倒的なボリュームからなる今作は、自身史上最長のオリジナルアルバムであり、オリコン1位を獲得したアルバムでもある。

 今までのdarker than darkness-style93-で培った横乗り主体のビート感を更に発展させつつ、今井寿が「SCHAFT」で得たインダストリアル的な音像も取り込んだその時点のキャリアの集大成のような作品。個人的な感想ともに1曲ずつ見ていこう。

 

1.Loop 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

Loop

Loop

  • provided courtesy of iTunes

 

 今井寿の作ったアンビエントなトラックに櫻井敦司のポエトリー・リーディングが載った今作。アルバムの1曲目にこんな作品を持ってくるあたり、今アルバムの実験性の高さが伺える。

 

”感謝したい 心から 太陽と 水と 空気と あなたに

死にものぐるいで 生きてる

今ここに 終わるものと 始まるものが CROSSしている”

 こんな感じの歌詞が延々と続き恐らく生死を一つの輪と見てあらゆる物に感謝をするという遺書的な儚さを持つものである。

もう1曲目から最高の始まりだ。ぼくの音楽に求めるものが全て詰まっている。

しかし、これはメジャー流通のアルバム…

このバンド正気か?

 

2.love letter 作詞、作曲:今井寿 

love letter

love letter

  • provided courtesy of iTunes

 

  はい来ました。このアルバムは神です。100点中2000兆点の曲。異論は認めない。

 イントロのディストーションが聴いたグランジ的ギターからドスの利きつつ、どこか地の底から嘲笑うような声がくっっっっっっっそカッコいい。こんなカッコいい曲ある?

 まあ、真面目なことを言うと恐らく今井寿がSCHAFTで本格的にものにした、インダストリアル的なギターアプローチもかなり活かされている。リフ自体はめちゃめちゃシンプルなのにミニマル性があって一発で覚えられる中毒性がある。

 おそらく、今までの彼らには作り出せない曲だとぼくは睨んでいて、単純にグランジ的と形容するのは間違っていると考えている。

 なんといってもコレまで得てきた様々な音楽的手法が封じ込められたアルバムだからね。

それでいてもポップさを一切失わないのがこのバンドのやばいところなんだけどな…。

I'm just a simple madness man

Is this what you wanted
Is this what you wanted
Is this what you wanted
Is this what you wanted
Is this what you wanted
Is this what you wanted
Is this what you wnated”

 

 イントロの規則的にかき鳴らされたギターフレーズとともに今井寿櫻井敦司のダブルボーカルで畳み掛けるこの部分。いつ聴いても絶頂です。

 

3.君のヴァニラ 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

君のヴァニラ

君のヴァニラ

  • provided courtesy of iTunes

 

 もともとはシングル「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」カップリングナンバーなのだが、こちらはドラムをあえてチープな録音にし、歌い方もどこかユーモアのある特徴的な歌い方である。シングルカットされてからドラムとボーカルが大幅に変化している。

 櫻井敦司の歌、というのは「狂った太陽」で確変を起こしたかのように素晴らしくなったわけだが(バンド全体がそうだけど)、とりわけ今作ではより実験的な方向性を指向するため櫻井自身も様々な歌唱法に挑戦している。そんな試みを象徴するのがこの一曲だとぼくは思っている。

  ギターも今井寿にしてはシンプルだし、もうひとりのギター星野英彦、樋口兄弟のリズム隊がしっかりとボトムを支えてるためシンプルにカッコいい曲として聴ける。

 

 歌詞もそうだが、櫻井の歌い方がエロティックなため、なんだか妖しい気持ちになってくる…。

 

”可愛い君の胸 その命愛おしい

 

激しく切なく求めてみたい 激しく激しく求めて

冷たく優しく愛して欲しい 優しく優しく愛して

 

愛おしい君の胸 その命憎らしい

 

激しく切なく愛してみたい 激しく激しく愛して

冷たく優しく愛して欲しい 優しく優しく愛して

 

赤く充血してるヴァニラ 左胸が痛い”

 

 櫻井のわざと少し上ずった声でエロティックに歌われるとこっちまで変な気分になってくる。

 

 てかヴァニラって完全に女の人の「アレ」の隠語でしょ。そうでしょ。ぼくはそういう言葉に慣れてるんだ!知ってるぞ!

 

4.鼓動 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

鼓動

鼓動

  • provided courtesy of iTunes

 

 9枚目のシングルだがミックスが異なる。そして、僕がこっそり感謝ソングとか呼んでる「鼓動」。いや実際マジで色々なことに感謝してるし…。

 綺麗なメロディラインと重厚でありながらも浮遊感のあるギターサウンドが凄く調和しているミディアムテンポのナンバーで、

実際に今井自身が

「色々なコードを使用していて、メロディアス」

 というコンセプトのもと作ったようだ。

 そして今井自身がアルバムの中で最も悩んでた曲で綺麗でポップでメロディアスの枠に収まってしまうことを危惧してようだが、櫻井を信頼して曲を渡した結果納得できる形に仕上がったという。

 

いやこのエピソードくっそカッコいいな?

 

 

バンドマジックも感じられるし、絆も感じられる。

カッコいいわ…(2回目)。

カッコいいわ…(3回目)

 

”生きていたいと思う 愛されているなら 

ごめんなさい ありがとう

この世に生きる あなたの鼓動 はかない だけど美しく

この世に生ける 全ての鼓動 はかない だけど 輝いて”

 

 ノイジーで浮遊感のあるサウンドにこのサビは卑怯ですよ、めちゃめちゃかっこいいもん…。


BUCK-TICK / 鼓動【Victor Years】

 

5.限りなく鼠 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

限りなく鼠

限りなく鼠

  • provided courtesy of iTunes

 

 櫻井敦司が鼠という漢字の難しさから作詞をしたというナンバーだが、はじめて聴いたときにはとても驚いた。

幻想耽美性が売りだったバンドとは思えないほど、弱さをさらけ出した歌詞…

吉井和哉に通じるものを感じる。  

 僕はコレを聴いていると三島由紀夫の「天人五衰」を思い出すのだが、この作品も文の美しさと虚しさが同居した名作だと思うので読んでみると良いと思います。

 

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

 

 

 ぶっちゃけ歌い方がかなり低音主体なのもあるけど、ギターもドラムもどれもこれもがノイジーで聴きやすいとは言えないと思う。

でも、カッコよさは絶対に保証する。リフはカッコいいしBUCK-TICKのポップ性は失われていないから…。

 

”360度見渡せば夢見がちの俺は 罠にはまった鼠みたいだ

「自由!自由!」と叫ぶ 泣いて逃げてもダメさ 追いつめられた時猫に噛み付く

もうさよならさ 

甘い顔をした少年よ 可愛い顔した少年よ 

生まれ変わり忘れよう 暗い顔に遣られる その前に”

 

 櫻井さんの猫好きがわかってると、このテーマも少しだけ明るく見えるのは内緒だぞ

 

6.楽園(祈り 希い) 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦

 カッコ内はの希いはこいねがいと読むらしい。櫻井敦司が今井宅から見つけた映画から知った読み方だという。

 鼓動のカップリングとして制作されたバージョンと違って、こちらはベースとドラムの音が削除されており、代わりにもっと民族音楽的なものを盛り込んでいる。

 トライバルなタブラのパーカッションと電子音がふんだんに盛り込まれているこの曲、ボーカルにもどこか紗幕が掛かったような処理がなされていてとても不思議な気持ちになる。

 歌詞も反戦をテーマのひとつに掲げているとは思うが、むしろ厭世的で風刺を存分に効かせた内容がひたすらに刺さる。

  この曲には少し小話があって、実はこの曲にはコーランの逆再生が間奏で使われていた。なぜ過去形か?

 このコーランの使用が問題になり、アルバム自体が回収騒ぎになったから…。

 ちなみに、回収前のバージョンも回収しきれなかったようで某古本屋で出回っているので、探そうと思えば探せる。もし興味がありましたら是非。

 僕はこの曲がアルバムの中でもめちゃめちゃ好きな部類に入ります。

 

”テレビでは悲痛な声でまくし立てる メロドラマ

この僕は 軽く涙流すふりで 目を伏せた

神の子が殺し合う 愛の園 

この僕は 知らん顔で 夢を見る”

 

この部分の歌詞がどこか儚く自暴自棄でありながら、めちゃめちゃ皮肉が効いてて大好きです。

 

7.細い線 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦

細い線

細い線

  • provided courtesy of iTunes

 

 続けても星野英彦ナンバー。印象的なギターリフから櫻井が紡ぐその歌詞は全編にわたり弱さを感じる。というかぶっ壊れている。

聴いていて心配になるくらいに…。いや冗談抜きで今生きててよかったよ…。

個人的にこの曲と楽園の歌詞は似ていると思っていて、それは櫻井敦司のぶっ壊れ方。

 

”神のお恵みを力なき弱き僕に

独り迷い目を開けたなら闇

俺の言葉に赤面する線の細い俺

独り歌う 食べていくためだけ

弱虫毛虫 生きる場所見つけたか

何ひとつ ああ選べない” 

 

 こんな歌詞をメジャー流通のアルバムでぶっこんでくるんだからな…。

徹底的に自嘲して自虐して、それを美学のレベルにまで高めた様は哀しくもどこか芸術的である。

 このアルバム、この曲に救われたリスナーは少なくはないんじゃないかな?

 当然耐えられなくて離れてしまったリスナーもいると思うけど、やっぱりこの人間味と弱さのある櫻井敦司が僕には魅力的に見える。

 やっぱり、こういう曲聞いてると吉井和哉を思い出すんだよなあ…。

 

8.Somewhere Nowhere 作詞:今井寿櫻井敦司 作曲:今井寿  編曲:今井寿、横山和俊

Somewhere Nowhere

Somewhere Nowhere

  • provided courtesy of iTunes

 

 この曲もLoopと同様ポエトリー・リーディングであり、作詞は今井と櫻井の共作であり、編曲には今作に限らずBUCK-TICKの数々のアルバムでキーボードやマニピュレーターをしてる横山和俊、そして今井寿

 おおよそ1分半の中に櫻井が道に迷ったあと光明を見つけ出すさまを若干オタク臭く朗読しているのがなんかツボ。

この時期の櫻井は自分がアイドル視されることをとても自嘲していたので、若干ユーモアを交えて雰囲気は狙っていると思う。

 きっとそのはず。朗読が慣れてないから下手くそとかそんなんじゃないから。

 このシンセとノイズの印象的な曲は今井寿がトラックダウン直前に即興で作り、作詞は櫻井の即興で完成を見たらしい。そういう経緯を知っているとやっぱり見えるものも変わると思う。

”何処だ…

何処なんだよ…

どっちだ!?

チェッ!?

完全に迷った、クソッ”

 アルバム聴いてていきなりこんなん流れてきたらびっくりしちゃうね。

僕はびっくりしました。

 

9.相変わらず「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり 作詞、作曲:今井寿

 

  今井寿がメインボーカルを務めるこの曲はアルバムの中で密かに裏の番長だと思っているのだが、まずタイトルが長い。

僕はちゃんと覚えるまで3年くらいかかった。今でもたまに間違える。

  ポエトリー・リーディングなのかラップなのか…と思える意味不明の歌詞が、経典のようにひたすらに繰り返される。

 この如何わしさだらけのナンバーをメジャーでぶち込んでくる今井寿は何なの?

 曲自体が超ダウナーでノイジーなのにやたらと耳に残るのも特徴的で、何故か何回も聴きたくなってしまう。今井寿の頭の中が知りたい。

 まさに麻薬のような曲なのだが、この曲が地味に面白いのは歌詞の中に「six side is heaven/nine side is go」とある通り、実はこれはアルバムの表題曲である。

 もう一度言う。これは表題曲である。

 いやいやいやいやwwwって思うでしょ?

今のBUCK-TICKのファンクラブ名はFISH TANKERだぞ?ぼくはこの曲から名前を決めたんじゃないかと睨んでいる。

 そういうのを考慮するとやっぱりコレが当時のBUCK-TICK、そしてこのアルバムのの象徴だったんだろうとぼくは思ってやまないのだ…。

 

”游ぐサカナ 游がないサカナ

游げるサカナ 游げないサカナ

有象無象の魑魅魍魎が跋扈する海の中のあの世界

俺は一人金魚ばかりうるさい魚群(カタマリ)から抜け出す雑魚

欲望だけか 欲望だけさ

よくあることだ よくある芸だ

垂れ流された快感(オルガズム)が たどり着いたマンホールから覗く

それが鉄のブーツをはいて悦ぶお前の心蹴り上げる”

 

 やっぱり今井寿は天才だ。怪物だ。

 

10.デタラメ野郎 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿櫻井敦司

デタラメ野郎

デタラメ野郎

  • provided courtesy of iTunes

 

 今井寿が曲先で簡単なコード進行だけ作り、後から櫻井敦司が歌メロをつけたというこのナンバー。

 今作ではどれもこれもネガティブを一種の自己表現として用い芸術の域にまで高めた櫻井敦司の歌詞が堪能できるのだが、これもそれに漏れないどころか極致に至っている印象を受ける。

 PHYSICAL NEUROSEの如き櫻井が書く歌詞も歌い方もどれもこれも闇と狂気しか感じない。犯罪者心理的なものへの接近も見られるし。

 恐らく、今同じように歌うことは本人にも不可能だろう。そう思えるまでの絶望や弱さの吐露。

 弱々しい歌詞なのに力強さを感じるという二律背反的な要素を含むこの曲は数々のファンを心配させ圧倒するとともに、ネガティブであることを肯定するその姿がまた多くのファンを救ってきたのではないかなと思う。

 あらゆるタブーを取り払い突き抜けた歌詞表現を突き詰めた櫻井敦司の美しさを堪能できる一曲だ。

 

”存在理由 お前が死ねば 何の意味もない軽い言葉だ

軽薄な俺さ酷い顔して 存在理由 存在理由と

生きる・自由・死ぬ・自由

ウォォォォーッ ウォォォォーッ ウワァァァーッ ガァァァァーッ

みんな真実を濁らせていた 闇はどこにある濁りのない闇
それこそが俺だ場所を間違えた 雨が大好きで夜が大好きさ”

 

 この曲は全編カッコいいんだけど、ここの部分が個人的には特に好きです。

 

11.密室 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦

密室

密室

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 櫻井敦司の歪んだ愛情が爆発してるナンバー。星野英彦の作った物悲しいメロディと共に刻まれていく歌詞はかつて美しいなとしか思えなかったのだけど…

今聞くと完全にストーカー心理的な歌なんだな…。

 ほんとにこの時期の櫻井敦司やばいんじゃないか?そうとしか思えない歌詞なんだけど、確かストーカー的な言葉が日本で使われ始めたのは90年代半ばだと記憶している。

 そのような事情を考慮すると、社会病理を切り取り描写するという芸術家的な視点も垣間見えるあたり、やっぱりBUCK-TICKは時代にも敏感なバンドなんだなあと…。

 こういう社会風刺は今井寿の曲に多そうな印象を受けたのだが、星野曲でもこういうのがあるってあたりが個人的に今聞いても新鮮に思える。

 一応純愛っちゃ純愛なんだけど、その純粋さがすでに歪んでいるからなあ…とか色々な思いが巡る表現であり、そこに「痛み」が滲んでいる。

DIR EN GREYの京とかってBUCK-TICKのビジュアルだけならず、このへんの歌詞表現からもすごい影響を受けてるんじゃないかな?

 

”たとえ嫌われ口もきかない ああそれでも君が要れば

君の痛み知り僕の喜びは君に そうしてそばにいて微笑んで

君の傷口に僕の溢れ出す愛を だから此処にいて 泣かないで

あなたは僕だけのものでいて”

 

 やべえよ…。やべえよ…。

 

12.Kick(大地を蹴る男) 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

Kick(大地を蹴る男)

Kick(大地を蹴る男)

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 この曲は比較的アルバムの中でも聴きやすい部類に入る、と僕は思っている。

ちゃんとAメロBメロサビみたいな構成してるし。

 あと個人的に思うのは、この曲にBUCK-TICKの未来像を感じるということ。

「SEXY STREAM LINER」に通じるようなデジタルサウンドと生音の融合はこの曲に顕著だし、歌詞にも光が見られる。あと、明らかにギターじゃない音は何の楽器なんだろう?超ノイジーなのとかシンセみたいな音色とか。ギターなのかな?それともSynthAxeみたいなMIDIコントローラー?後者はアラン・ホールズワースが使ってる映像とかしか見たこと無いけど…。

どうにせよ、今井寿ならそういうの使ってても違和感皆無だし、個人的にこれは後のデジタルサウンド路線への序章になる曲だと思う。

歌詞だってほら、地獄で泣いてるけど一応開放的だから…(震え声)

 櫻井の歌も最初こそ深くリバーブがかかっているが、そのエフェクトが途中で外れるのがとてもカッコいい。

 これは褒め言葉なのだが、BUCK-TICKは日本のロックバンドである。

 日本のロックバンドだからこそのメロディセンスや文化的バックボーンの薄さがこういう音楽を産んでくれるのだ。世界のどこにもないオリジナルを。

 「Six/Nine」は挫折しそう!って方もまずはこれだけ聴いてほしいです。

”怖い夢見て泣いていたの だいじょうぶ全て夢

ここは呼吸 鼓動 響く 終わりなき愛のチューリップ

存在消え霧の中 大河を越え会いに行く

星と繋がり呼びかけてる 解き放て全てから

そこは呼吸 鼓動 響く 血まみれの愛の中

さあ道化師 躍れ躍れそれが運命 光る地獄で泣きながら
道化師 歌え歌えこれが運命 闇の真実に帰るんだ”

「血まみれの愛の中」「光る地獄で泣きながら」って部分が櫻井敦司らしくて凄いカッコいいなと思います(小並感)。

 

13.愛しのロック・スター 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦

 櫻井敦司が超絶に自分を卑下しまくってる曲。徹底した自己否定の美学は此処でも健在である。歌い方もどこか自分自身だけじゃなくロック・スターそのものをおちょくるような感じしてるし。

 バックでひたすら鳴ってるワーミーを噛ませたギターサウンドが癖になる。

 星野英彦も安定していい曲を作ると思っているのだが、今作でもアルバムの雰囲気にぴったりで、かつ今井曲との差別化が図れるようないいアクセントになる曲が多いように思う。

 このバランス感覚がやはりBUCK-TICKの強みだし、このアルバムに限らず櫻井敦司の徹底した美学と、樋口豊のベースとヤガミ・トールのドラムがあってこそのBUCK-TICKらしい雰囲気が貫かれているのだろう。

  実は、もともと櫻井は星野にツインボーカルで歌うことを提案したのだが断られたらしい。恥ずかしかったのだとしたらなんかかわいい

 そのかわりに、櫻井がオファーをかけたのはかねてから櫻井が大ファンであると公言してるバンドDER ZIBETのボーカル、ISSAYだった。

 以前に星野がISSAYのソロアルバム「FLOWERS」に参加していたこともあって、交渉はスムーズに進んだらしい。

 

FLOWERS

FLOWERS

 

 (こちらも名盤なので是非…)

 櫻井はこの曲を通して得たものが大きいらしく、色々とISSAYに感謝をしているとという旨を雑誌のインタビューで語っているようだ。

 また、ヤガミ・トールもリンゴ・スターのようなドラムが叩けた」とこの曲には納得がいっているよう。

 こういう暗黒のようなアルバムでも得るものがあるのがやっぱりいい雰囲気のバンドなんだなって…

 

”道化の化粧 派手な衣装で 芝居がかってるワンマンショー

訳もなく騒ぎまくり 独りマスターベーション

人気者はごめんだ 道化者は楽じゃない

私は生きている

もし僕がブタになっても 君は微笑う

もし僕が虫になっても 君は微笑う”

 

 メジャーを突っ走ってるロックバンドでなかなかここまで自己を卑下するボーカリストも珍しい。

 

14.唄 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

唄

  • provided courtesy of iTunes

 

 8枚目のシングルだがアルバムとはミックスが異なる。この曲でめちゃめちゃ印象的なのはギター。

イントロからいきなりディストーションが効いたギターのリフが炸裂し、ドラムのフレーズと共にジャーン!ジャーン!って鳴らされるギターの音。

 これほんとにシングル曲なの?今井寿は頭がオカシイのか?

 まともに考えたら弾かないであろうフレーズの連発なのだが、これは今井寿が得てきた新たな音楽ジャンルのノウハウを、自分の感性だけで消化して出力すると訳わからんフレーズの連発になるんじゃないかなと解釈している。

 実際コレに関しては今も健在どころかますます凄いことになってるから…。

 こんなもんをシングルに出すBUCK-TICKにはもう敬服するしか無い。これで勝負をかけていくロックスピリッツが最高にかっこいいし、そこに惚れてついてきてるのだし。

 櫻井敦司もこの歌詞の内容でタイトルを「唄」と形容するあたり、相当に狂っている。

自己否定の連発が当時の彼の唄なのだろうと思うと、その心情は察するに余りある。

 しかし、単純に曲だけ見たら最高にカッコいいし、「Six/Nine」という宇宙の広大さと暗さに浸りきり、疲れたとも形容できる身にはここでガツンと魂を注入される感覚だ。

 こういうアルバムの曲順の良さはBUCK-TICKが一貫して持ち続けているものだし、だからこそ虜になるのだと思う。上手いんだよなあこの辺…。

 ちなみに、PVも面白くて、メンバーそれぞれが思い思いの格好に扮している。

内訳は

 こういうところでも少しメンバーの好みやルーツが垣間見えるのも面白い。

 

”どうして生きているのか この俺は
そうだ狂いだしたい
生きてる証が欲しい
神経は落ちてくばかりで
鼓動はずっとあばれ出しそうだ
深い森に迷い お前の名を呼ぶ

逃げ出す事もできない
立ち止まる事も知らない
聞いてくれこの声 お前を愛しているのに”

 

 サビ前のこれが凄いカッコいいんですよね、しかも櫻井と今井のツインボーカル

BUCK-TICKは良いぞ。


BUCK-TICK / 唄【Victor Years】

 

15.見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

 

 10枚目のシングル。こちらはアルバム後にシングルカットされたのだが、シングル版とアルバム版で歌詞が大きく異なるのでどちらも必聴である。ちなみにミックスはほぼ同じ。

 ギターのフレーズはどれもこれもめちゃめちゃかっこいいんだけど…

 シングルにするにはダウナー過ぎない?売れる気ある?

 これは聴くたびに思っている。歌詞もめちゃめちゃ暗いし、ギターのフレーズもそうだし、リズムもノれるようなやつじゃないし…。

 人は真実を追い求め、その行為そのものが誤解だと知り、何が真実か嘘かなど知り得ないまま生き、そのサイクルを繰り返す…。という輪廻を描いているように読み取れるのだが、この歌詞の構造自体が冒頭と最後のLoopにかかっているとしたら、マジでこのバンドは凄いなと思う。多分狙っているんじゃないかな。

 とにかく、世間のメインストリーム、そして一般大衆が追い求めるような「真実」「希望」という光に対して真っ向から背を向けると共に、

ひたすらに自己探求の哲学を突きつけていくそのさまはまごうことなきカウンター・カルチャーとしてのロックバンドだ。

 そしてその中にはロックをビジネスとして扱い行動することそのものへの深い苦悩も混ざっており、如何にこのアルバムが難産だったのかを垣間見ることが出来る。

 「Six/Nine」というアルバムは何だったのか?何を言いたいのか?

 そう問いかけたい気持ちが湧き起こるがしかし、その目に見えぬものを見ようとする問い自体が誤解なのかもしれない…。

”夢を売れば 絶望の中

踊らされた 俺は傷ついている

俺は仲間と 歌い狂って 踊りまくるのさ

楽しい夜さ 気が狂れそうに

誰かが生きれば 泣いてやるのさ いつでも

誰かが死ぬなら 笑いかけてやるのさ

真実を知るには 此処にいても見えない

真実を知るなら 此処にいてはいけない

真実を 真実を 真実を 嘘を 嘘を 嘘を”

 この部分に恐らくこの曲のすべてが集約されるのだろう。

 ちなみにシングル版だと歌詞が大きく異なるほか、櫻井敦司の語りも入ってきて、こちらはこちらで凄まじくカッコいい。


BUCK-TICK / 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ【Victor Years】

 

16.Loop MARK Ⅱ  作曲:今井寿

Loop MARK II

Loop MARK II

  • provided courtesy of iTunes

 

 1曲目とは違い、インストゥルメンタル。この曲で浄化されると共に今井寿のうち込みの美しさを知るのだ…。

 普通にアンビエント・ミュージックとしてとても好きな作品です。

 

最後に

 まず一言いいですか?凄い疲れた…。

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 10000字を超える文字の中に自分のBUCK-TICKリスナーとしての12年と愛をぶつけました。

 僕は負けず嫌いなのです、知識ではまだまだですが、愛では誰にも負けたくないのです…。

 BUCK-TICKは書きたい作品がいっぱいあるのですが、一番最初にこの「人生で一番聞いたアルバム」を書きたかったのです。

 購入して以来、思春期をこのアルバムと共に歩み、救われた回数は数知れず。ソレが今の僕を作っています。かけがえのない作品です。

 そんなこんなでこのくっっっっそ長過ぎる記事を読んでくれた人がいたらすっごい嬉しいです。

BUCK-TICKはいいゾ、聴きましょうね…。

 書いてて面白かったのも事実なのでまた何か見つけたら書きまくろうかなと思います。じゃあね!

エヴァ/ヱヴァとアスカ~YOU CAN (NOT) ADVANCE.

はじめに

 これはエヴァの紹介文じゃないです。

ぼくがなんでアスカが好きなのかを延々と書く、ソレだけの文章です。

音楽に関する文章だけだと面白くないかなって思ったのもありますが、今書きたいと思ったので…。

 
 惣流/式波・アスカ・ラングレーとは

 惣流/式波・アスカ・ラングレー新世紀エヴァンゲリオンシリーズ/ヱヴァンゲリオン新劇場版シリーズに出てくる登場人物。

それぞれ、新世紀エヴァンゲリオン惣流・アスカ・ラングレーで、

ヱヴァンゲリオン新劇場版が式波・アスカ・ラングレー

一応画像だとこんな感じ。

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惣流・アスカ・ラングレー

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式波・アスカ・ラングレー

  名義に合わせた若干の設定の変更はあれども基本的に性格にそこまで変化はなく、活発で非常に勝ち気なキャラ(まあ実はそこの設定変更が大きく与える影響もあるけど…)。

 シリーズ共通して、年齢は14歳。エヴァンゲリオン2号機のパイロットで容姿端麗なのも活発でプライドが高いのも変わっていない。ついでに言ってしまえば精神的に脆いのも変わってない。

 このキャラともうひとりのヒロイン綾波レイそして新劇場版から加わった第3の女性パイロット真希波・マリ・イラストリアスと並んでエヴァンゲリオンを代表するキャラクターなんだけど、大体オタクの好きなキャラは綾波アスカに分かれる。

真希波はまだ新参だからなのもあるけど、赤木リツコさんや葛城ミサトさんと比べてもまあ女性キャラクター人気はこの2人に偏る。

これがメインキャラクターの力ッッッ!!!

アスカの魅力

 極めて個人的な見解だが、アスカの魅力は「人間臭さ」に集約されると思う。

 

 確かにアスカの性格はお世辞にもいいとは言えない。

人付き合いこそ器用ではあるが、人使いは荒いし。加えて勝ち気なキャラなのにコンプレックスの塊でもあるから超めんどくさい。

 しかしエヴァで戦っていても学生生活の描写でも綾波に比べると喜怒哀楽をはっきりと表す彼女は圧倒的に人間味があるのだ。綾波には綾波の事情があるから百も承知なんだけど…。あと綾波には母性があるし…。

 加えて、新世紀エヴァンゲリオン後半で一気に表出する彼女の弱さが彼女の元来持つキャラクター性に深みを与える。その脆さが人間らしさ、10代の少女らしさの不安定さの象徴に思えるのである。

僕がアスカを好きな理由

 まあアスカの魅力の部分と重なるんですけど、ひとえにほっとけないから。

彼女の弱さを見るとそこに昔の自分を見てしまうし、それを知ってから彼女の今までの言動や行動を見るととても痛々しく思えてしまうのだ。

なんというか…好きになるという以上に嫌いになれないキャラなのだ。

 だからこそ、ヱヴァンゲリオン新劇場版シリーズではアスカにマジで幸せになってほしい。なんというか旧劇場版のようなあの淀んだ感じはもうアスカにはやめてあげてほしいな…って気持ちになってるのだ。

 僕自身はエヴァンゲリオンは旧作派だし、なんならシリーズの中で最も好きな映像作品は新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君になので、シリーズで言うと新劇場版よりはあの暗い旧作エヴァ派なのである。

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新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に

 この病んだ雰囲気、そしてアスカがあんなに暗い感じになったのは恐らく監督の庵野秀明さん自身が病んでたことや世紀末という雰囲気と無関係ではない。

そういう物に惹かれてこの作品を好きになった1人である。

しかし…アスカにはもう良いんじゃないかな…なんか幸せにしてあげてほしいんですよね。漫画版の新世紀エヴァンゲリオンみたいな感じにしてあげてほしいんだ…。

(シンジ君がなにかしてくれたら言うことはないんだけど…)

 

シン・エヴァンゲリオンでは期待してるからなァ!!!庵野ォ!!!

最後に

 インターネット生活を通してキャラ愛は初めて書いたんじゃね?キャラ愛をめったに書くことはないんだけど、どうしても彼女だけは書きたかったーなと思って、つらつらと書きました。

 僕はアスカの性格もさることながら、あの赤を基調にした特徴的なカラーリングも含めて好きなので恐らく凄い面食いなんだと思いますね。

 これからも色々書いていきたいなーと思います。コレにて閉廷!

 

旧作エヴァを見て病め!そしてお前ら寝ろ!

おいでよ!バカテクの沼!~RUINS alone「RUINS alone」(2011)

はじめに

音楽の紹介をしようと今日も思いつきました。ヴィジュアル系ではないです。優柔不断で迷っちゃうので…。

ちなみに少し前までとあるサイトに寄稿してました。そちらはヴィジュアル系なのでまずそっちでも読んでください。もしよかったらどれかを是非読んでください。

delivery-sushi-records.amebaownd.com

delivery-sushi-records.hatenablog.com

delivery-sushi-records.hatenablog.com

delivery-sushi-records.hatenablog.com

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 そんなわけで色々書いてきました。ヴィジュアル系多めで。

それは、他のライターさんと自分の差異化を図るためでもありましたが、個人ブログなのでそこはもう考えなくて良いわけなんですよね。

 悲しいことに、活動が停止してしまったのですが僕自身もその規範に縛られていたところがあるので、もっと自由にやればよかったかなーって思います。

 

 

まあそんなことは置いておいて、とりあえずこれを見よ!

 

RUINS alone「RUINS alone」

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  1. JEMVLESQAPP 
  2. LAIPTHCIG
  3. IXZELGRIVER
  4. STONEHENGE
  5. BAXCEMGILASZ
  6. HYDROMASTGRONINGEM
  7. EQUESSPALDHO
  8. SANCTUARY
  9. GLASCHZENCK
  10. PALLASCHTOM
  11. AHFTSIVESPHA
  12. DAGDAD
  13. VILLANZYATS
  14. GRUBANDGO
  15. LOCKSSOMBLEZ
  16. SCHVOSTESS
  17. NEFESTORXISS
  18. CAMBODIA
  19. OBTHECKLOMTZ
  20. DHASKRIVE
  21. NOTTURUNO

 

magaibutsu.com

(ここから買えます)

音源の試聴はこちらで…。

skingraftrecords.bandcamp.com

 

 

 日本が誇る変態ドラマー吉田達也さんのソロプロジェクトアルバム。

ざっくり、ほんとにざっくりだけど吉田達也さんの説明をしようと思う。

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吉田達也氏の近影。写真がPHAIDIAのやつなのは許せ…。

 日本ポジディブパンクの世界では伝説的バンドとして語られるPHAIDIAのドラマーとしてキャリアをスタートさせ、1985年にベースとドラムのユニットであるRUINSを結成。

 これまた日本の伝説的インディーズレーベルであるトランスレコードでLPをリリースすると、そこから高円寺百景是巨人、大山脈Xなどさまざまなコンセプトの違うバンドを立ち上げており今に至る(書ききれないです…)。

 セッションドラマーとしてのキャリアも豊富で、日本だと灰野敬二大友良英ナスノミツル山本精一

海外のアーティストだとジョン・ゾーンアート・リンゼイデレク・ベイリービル・ラズウェル

など、ノイズやフリージャズを始めとする前衛的なアーティストと数多く共演している。

 さらには、トランスレコードつながりなのかYBO2Z.O.A.、他にもあぶらだこZENI GEVAVampillia戸川純バンドなどにも参加していた過去を持つなどめちゃめちゃ活動的なお方。

 

 そんなドラマーのソロアルバムである今作は、彼のキャリアの中核であるRUINSの楽曲を1人で再現するプロジェクト「RUINS alone」としてのアルバムだ。

 RUINSは吉田達也さんのみが固定で相方のベーシストが何回変わっている。

 そして、それに影響されているのかハードコア・パンク的な要素の強かった初期からテクニカル志向に変化しており、現在ではプログレ、現代音楽、即興演奏、ハードコア・パンクなどを統合した複雑怪奇な音楽性になっている。

  ソロプロジェクトなのでベースはサンプラーを用いてるのだが、ドラミングの超絶さと複雑さは健在で、拍子も手数もわからなくなるようなものばかり。聴いてると頭がおかしくなってくる。

 さらにRUINS自体がフランスのプログレッシブ・ロックバンド「MAGMA」の影響を大きく受けているため、前述した変則的なドラミングに加え、

コバイア語に似た架空言語も飛び出すとかいう一歩間違ったらギャグみたいになりそうな音楽である。

 

 ちなみに、RUINSでもそうだが歌は吉田達也さん自身がこなす。

吉田達也さん自身が歌う。

 

完全に頭のおかしい音楽である。

 

 さらに今作ではソレに加えてガムランや各種民族音楽的な要素も加わるため、全編カオス。まともな人間は恐らく一生聞こうとは思わない。

 

じゃあ聴いてみると実際どうなのか?コレが意外と聞きやすい。

 

 複雑で手数の多いドラミングながらキレが抜群にいいし、ドラムの音のヌケもいい。架空言語の歌詞やオペラ調の歌い方もいいアクセントになっている。いやはや恐れ入る。

そのギャップでリスナーは悟るのだ、これは頭を空っぽにして聞く音楽なのだと…。

 

 プログレとか聞くからだいたい身構えるのだが、実際頭で考えて聞くものではない。 というか全部無駄なのだから考えないほうがすっと聞ける。複雑な音楽なのに不思議だね。でもそういうものだから諦めろ。

 

 多分、吉田達也さんが凄いんだと思う。しかしそれをうまく言語化するのは難しい。今改めて聞いてても頭にハテナしか浮かんでいない。マジである。

 ひたすらにアヴァンギャルドでバカテクの連発、歌詞に意味など無い。歌メロ?サビ?そんなもんはない。そんな固定概念はこのアルバムの前には意味をなさない。今すぐドブに捨てろ。

とにかく無心になれ、聞くのだ…。そしたらきっとお前は沼にハマっているから…。

 ちなみに、試聴してくれた方はわかるけど、このアルバムには往年のプログレとハードロックのボーナストラックがある。ソレは聞いてのお楽しみ。

最後に、吉田達也さんのドラミングを見てくれ、やっぱり頭がおかしい。


吉田達也店長時報Live 15:00

(ディスクユニオン一日店長をしたときのやつらしい…謎だ…)

最後に

 レビューとしては何の意味も成さない文章を書いてしまいました。聞いてるぼくもいまだによくわかってないからね…。曲の読み方すらいまだに知らない。

シラフなのに何も考えないで書くとこんな風になるのだ。

伝えたいことはとにかく吉田達也さんは凄い。それだけ。

ポップの裏に潜むぶっ飛んだアヴァンギャルドさ~JUDY AND MARY「THE POWER SOURCE」(1997)

はじめに

 僕はヴィジュアル系が好きである。というか基本軸はそっちにある。

今年26歳になるにも関わらず歌謡曲と80年代から90年代のヴィジュアル系で育って、そこからルーツの音楽や洋楽など色々と手を広げていった人間である。

じゃあ、なんでこれ?ぶっちゃけ今日思いついたから…

まあ実は「初めて買ったロックバンドのアルバム」という永遠に忘れることの出来ない思い出も封じ込められてることは確かだけど、それはそれ。

 ほら、思考って鮮度が大事じゃん?思い立ったら即行動ってきっと昔の偉い人も言ってた。言ってたと思う!

 お見苦しい点はひたすらに目をつぶってください。

 

JUDY AND MARY「THE POWER SOURCE」(1997)

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  1. BIRTHDAY SONG
  2. ラブリーベイベー
  3. そばかす
  4. KISSの温度
  5. Happy?
  6. Pinky loves him
  7. くじら12号
  8. クラシック
  9. 風に吹かれて
  10. The Great Escape

全曲作詞:YUKI(1,7,8は作詞Tack and yukky)

1,2,5,6,7,8は作曲:TAKUYA

3,4,9,10は作曲:恩田快人

 プロデュース:佐久間正英(8のみ藤井丈司)

全曲編曲:JUDY AND MARY

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JUDY AND MARY(手前からボーカルYUKI、ギターTAKUYA、ドラム五十嵐公太、ベース恩田快人)



 

 

THE POWER SOURCE

THE POWER SOURCE

 

 

 バンド史上初のオリコン1位を獲得し、ミリオンセラーも達成、最大売上も記録した本作…。

 

めちゃめちゃ好き!!!!!!

 思い入れが強いってのもあるんだけど実は全曲合計でも39分41秒とかいうコンパクトサイズなので、オリジナルアルバムって存在が聴き慣れない人でも聴けちゃうのがいい。

 まず1,2曲目から繰り出されるTAKUYAさんが作曲のナンバー、BIRTHDAY SONGラブリーベイベーのようなフリーキーでサイケデリックなポップソングが最高。

 

BIRTHDAY SONG

BIRTHDAY SONG

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ラブリーベイベー

ラブリーベイベー

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特に恩田さんの作った3曲目のそばかすとか大正義なんですよ。

 ベースの恩田さんとドラムの五十嵐公太さんがオーソドックスなプレイで屋台骨を支えて、YUKIさんのロリポップな歌声が乗っかり、ギターのTAKUYAさんが地味に変態プレイで暴れまわる…。楽曲としては非の打ち所がない。ロックとしての聞き所だけでもなく、ポップソングとして単純に超聴きやすいと思う。

歌詞がるろうに剣心のOPナンバーとしては全く合ってなかったけどな!!!

(歌詞はキャンディキャンディを参考に書いたから仕方ないけど…)

 

そばかす

そばかす

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 そこから、聴きやすいポップさがありつつ変則的なテンポ変化のある恩田さん作曲のKISSの温度

作中で最もTAKUYAさんのギターがノイジーでテンションの高さが感じられるTAKUYA作曲のHappy?に流れ込む。

 ここまでがアルバムの折り返し地点でありながらまだ20分弱なのがやばい。情報量が多い。テンションも高すぎる。

 

 

KISSの温度

KISSの温度

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Happy?

Happy?

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 そのテンションの高さを維持したまま、ここからTAKUYAさん作曲ナンバーが連続する。

 

 まずはスロウテンポでジャジーさをバンドの音楽に取り込んだ、アルバムならではの実験的ナンバーPinky loves him

ロディアスなポップさの陰でTAKUYAさんのカッティングと目の細かいギターフレーズが冴え渡る大ヒットシングルくじら12号

そして、前曲と対照的にポップ感を少し抑えつつオシャレ感のあるコード進行とギターソロで爆発する伸び伸びとした音使いが耳に馴染むクラシック

 1曲あたりが3分半前後から長くても4分半、合計でも15分にすら満たないのだから本当にコンパクトに纏まってると思う。

 

Pinky loves him

Pinky loves him

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くじら12号

くじら12号

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クラシック

クラシック

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最後の2曲は恩田さん作曲のナンバーが控えている。

 郷愁感のある歌詞とメロディアスでオーソドックスなメロディラインが歌謡曲的な懐かしさを感じさせる風にふかれて

全パートがパンキッシュな疾走感でひたすら駆け抜けるのがひたすらに気持ちがいいThe Great Escape

アルバムのシメにするのに一切しみったれた空気を出さないあたりとっても好み。

 

風に吹かれて

風に吹かれて

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The Great Escape

The Great Escape

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 割とバラエティ豊かでぶっ飛んでるアルバムなのに統一感があるのはやっぱりYUKIさんの歌声と五十嵐公太さんのドラムに寄るところが大きいんだろう。奇跡のバンド。

 コレ全部で39分41秒なのやばいくらいにコンパクト。メロコアとかハードコアパンクでもやってるの?って今なら言いたい。ちなみに僕はどっちも好きなジャンルです。

 個人的にはその次のアルバムPOP LIFE、ラストアルバムのWARPも書きたいなーとは思ってるけど、JUDY AND MARYのアルバムとして一番バランスが良いとするなら間違いなく本作だと思う。

 実はこのアルバムからTAKUYAさんの作曲割合が増え、反対にバンドリーダーで創設者の恩田快人さんの割合が下がっていく。というか今作以降の2枚のアルバム合わせて恩田さん作曲は1曲しか無い。

 TAKUYAさんと恩田快人さんの年齢差は実に6歳、しかも前のバンドも含めキャリア自体も6年近く差があったのだが…。

 まさに下剋上…。バンドのパワーバランスがここまで逆転した例って近年じゃ珍しいんじゃないかな?

 そういうのを鑑みるとJUDY AND MARYのメインコンポーザーがTAKUYAさんのワンマンになる直前の一番いいバランスの作品はやっぱり本作だな~って思います。皆も聞こうね。最高だから…。

 

最後に

 JUDY AND MARY「THE POWER SOURCE」を買ったのはもう13年くらい前…中1の頃テレビでアニソン番組がやってて聴いたそばかすがきっかけです。音楽のことがよくわからなかったので、とりあえず某BOOKなんとかでそばかすが入ってるアルバムを手にとるわけなのでした。

 オリジナルアルバムとベストアルバムの区別もつかないまま買ったので聴いた当時は聴きやすくて声が可愛いなーとしか思えておらず、凄さがわかるまでに数年を要してな…。

今なら言える。このアルバムは超名盤だぞ!!日本音楽史に残る名盤だからな!!!買え!!!! 

 あと…やっぱり文章は勢いで書くものだなと思いました。寝かせるのはよろしくない。

はじめてのアルバムレビューがヴィジュアル系じゃないけど、そのうちそういうのも書きます。あと音楽以外もいっぱい書く予定があります。皆さん今後ともヨロシクお願いします。じゃあな!