ミルクレープを崇めよ…

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同世代比較!水樹奈々と坂本真綾は何が違うのか?

はじめに

 タイトルを見た瞬間に浮かぶ感想といえば、なにこれ?って感想がほとんどだろう。

大丈夫、僕も今の所わかってない。

 水樹奈々のファンになって今年で丸10年、坂本真綾のファンになって丸15年。この2人を聴いている中で僕は彼女たちの年齢を非常に意識していた。

 そして、常々「同じ年齢でお互い声優兼歌手をやってるのに何が違うんだろう…?」と思いながら過ごしていた。

 音楽的にはもちろんの事、共通項もありつつそのスタンスはまったくもって異なるように思える。

 何が異なるのか?それを僕は今うまく説明することが出来ない。

 加えて彼女たちはキャリアの割に音楽的なレビューや、まとまった1つの文章としてとしてきっちりと書かれているレビューが少ないように思う。

 

 彼女たちに関する感想は、得た感動の整理がうまくいかないがゆえの言語化の少なさがあると思っている。それがなによりももどかしかった。

 

 その状況を自身で打破するためにも、一度形式的に出力し、自らの観点を整理しようと思う。

 あくまでも超主観的なので、何処まで参考になるかわからないが最後まで読んでいただけたら幸いである。

 

坂本真綾水樹奈々についての共通項

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 まず相違点を挙げる前に少ないとは言え、共通項からある程度洗ったほうが良いだろう。

 パーソナルや功績に関する共通項はこのくらいだろう。

 彼女たちの記録などや肩書の部分はこの際全て置いておくとして…

 ここで僕が取り上げたいのは年齢、音楽プロデューサー、Oasisの3つである。

 

1.年齢

 まず先に言いたいのだが、これは別にあげつらおうとかそういうものではないことを理解してほしい。

 なぜこれに触れたいかというと、年齢や産まれた時の時代背景は個人、集団に存在する価値観を醸成するにあたり、分けて語ることの出来ない部分だからだ。

 

 時は1980年、住む場所は全く異なれどこの世に生を受けた彼女たち。

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 僕自身が1993年生まれなので、なんとも当事者的視点で見ることが出来ないのだが、学んでいく中で感じたこと、彼女たちが育った社会背景をざっくりと紹介しようと思う。

 まず世界に目を向けると、70年代に米国とソ連デタントによる東西対立の融和があったのだが、80年代はソ連のアフガン侵攻による対立の激化から始まった。今にまで残るテロリズムの火種が巻かれたのもこの年代である。

 しかし、社会主義の限界の表面化やゴルバチョフ書記長の一連の政策による東西接近、東欧での革命、そして最終的にはソ連という国家の解体により冷戦は終わりを告げる。そこに繋がる重要な年代である。

 

 一方、西側諸国はというとイギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権、日本では中曽根政権など、新保守主義の台頭により現在まで続く自由主義経済やグローバリズムの大きな起点となった時期である。

 また、レーガン政権のレーガノミックスの失敗により財政赤字や貿易収支赤字が生まれた。これらの解消のため、ドル安に協調介入することを目的とした1985年「プラザ合意」が結ばれたことも付け加えておきたい。こちらには日本も協議に参加している。

 これが日本にもたらした影響は大きく、突然の円高により輸出に苦しむこととなったのだが、これがコストカットによる輸出力の強化、そして、ひいてはバブル経済の遠因となってしまったのだ。

 

 アジアを見ると、民主化運動が起きると共に、同年代にアジア諸国が急成長を遂げるなどアジア諸国の存在感が高まっていった。また、プラザ合意が1997年のアジア通貨危機の原因の大元になったり、やはりアジアにとっても1つの起点になった時代である。

 他にも、アジアでは大韓航空機爆破事件や天安門事件など冷戦構造を内包した事件が起き、中東ではレバノン内戦が長期化するなど、国際政治や国際経済的には必ずしも安定した時期ではなかった。

 

 日本はというと政治的には日米関係の強化や、国鉄の民営化などが起きたほか、

経済的には1985年のプラザ合意により、アメリカ貿易で利益を得ていた企業に対する大打撃による倒産が問題になった。

これを解消するために政府が金融緩和を行った結果が、円高不況から一点、景気拡大からバブル経済へと繋がるのだ。

 まあ経済的には円高不況があったものの、イケイケだったんだよ!ということだけ頭に入れておいてほしい。 

 そして、カルチャーはひとりひとりが感性に生きるという重要視され始めた。量より質の転換、またレコードはCDに置き換わり、ファミコンが現れ、バブルの狂乱と昭和の終わりがやってくる。

 

 水樹と坂本の両人はこんな時代の空気に囲まれて生きたのである。

 

 個人主義の台頭によるひとりひとりの自立の重要性、というものを感じ始めた世代が彼女たちのソレに当たる。それでいて、80年代以前の60年代あたりの古来の日本的価値観を両親からの教育で受けていく…。

 

 そういうわけで、個人主義と日本古来の伝統的価値観のミックスされたものが彼女たちの世代の多くにあると僕は考えている。

それが、年齢とそれが醸成する価値観の重要性であり、取り立てて強調したかった理由だ。

 

 そして音楽的にはテクノ、ニュー・ウェーブが日本に登場したのもこの時期なのだが、水樹奈々のルーツが演歌と歌謡曲にあると考えると少し世代とはズレているという点も強調しておきたい。

 実はニュー・ウェーブという言葉が指す音楽はかなり幅広く曖昧なのだが、あまりに長くなってしまうのでここでは説明を割愛させていただきたいと思う。

  • テクノの例

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  • ニュー・ウェーブ

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 ほかにもニューミュージック、そしてそれらがJPOPにシフトしていったという事も含めると音楽的にもかなり大きな変容のあった時期が1980年代に当たるのだ。

 

 彼女たちはそのような空気感、国際情勢、国内の環境下の中で育ち、環境下における違いはあるのだが、多かれ少なかれ、それに伴う価値観が心に内在されていることをまず頭に入れていただけると幸いである。

 

2.初期の音楽プロデューサーの存在

 水樹奈々坂本真綾はそれぞれ1996年、2000年にCDデビューを果たし、水樹は2002年のアルバム「MAGIC ATTRACTION」、坂本は1996年のデビューシングル「約束はいらない」から一定期間音楽プロデューサーによる本格的プロデュースを受けてきたことが共通している。

 そこで彼女たちは音楽的なノウハウを身につけることになる。

 

 まず水樹奈々に対しては矢吹俊郎氏が付くことになった。

 

 ざっくりと紹介すると、矢吹氏は松本伊代Winkのバックバンドから始まり、奥井雅美のプロデュース、そして水樹奈々のプロデュースと推移したわけだが、彼の好むものはTOTOなどのAOR含むロックサウンドである。

※こんなバンドです

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 しかし、水樹奈々は父親の強い影響で演歌と歌謡曲を主に聴いて育ってきた。

そのため、ロック的なノリや歌い方は一切と言っていいほど流れていなかった。

 それを踏まえ矢吹氏は水樹に対してロック的なノリを身に着けさせる血の滲むような厳しい修練を課したらしい。それが水樹流ロックサウンドの礎になったのだから本当に偉大な方である。

 

 一方、坂本真綾に対しては菅野よう子が付くことになった。

 

 菅野よう子光栄(現コーエーテクモゲームス)の「三国志」で作曲家デビューし、それ以来様々なCMソングやアーティストのプロデュース、作曲、編曲を手がけてきた。

 アニメ業界では94年の「マクロスプラス」、98年「カウボーイビバップ」、2003年「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を始め様々なアニメの音楽を手がけているのだが、坂本真綾とは96年の「天空のエスカフローネ」での出会いからプロデュースを担当していた。

 

 デビュー当時、歌うということに対して特別な意識があったわけではない坂本真綾に対して、菅野はプロデュースを通して、クラシック、ジャズ、民族音楽、テクノなど様々なものを教育というか、見せていった。

 おそらく今の坂本の多種多様なコラボレーションに繋がっていると思うと、彼女もまた非常に重要な人間である。

 

 ちなみに、菅野よう子が尊敬している音楽家として、現代音楽からポップスまで幅広く作曲していた日本を代表する音楽家武満徹を挙げている。それが菅野の活動スタイルに大きく影響を及ぼしているであろうことは想像に難くない。

武満徹の代表曲

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 このように、水樹と坂本は全く方向性は異なるが、歌手としてかなりしっかりとした音楽的指導や曝露をしっかりと受けたことが共通している。

 

 今ではふたりとも独り立ちして羽撃いているが、それが彼女たちの現在に繋がる下地を作ったと僕は確信している。

また、それらの教育により生まれたある種の音楽的教養が、今の確かな評価に繋がっているように思えるのだ。

 

3.ロックバンドOasisの存在

 実は坂本真綾水樹奈々はある同じアーティストを愛聴している。

 

 イギリスが誇る世界的ロックバンドOasis(1991~2009)だ。

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ノエル・ギャラガー(左端)とリアム・ギャラガー(右端)の眉毛兄弟がバンドの顔です

※写真の時期がある程度適当なのは許せ。

 

 彼らの基本的な音楽性はブリット・ポップと呼ばれるものであるのだが、その音楽性は多様に渡るためここでは説明を省かせていただく。

 そんなムーブメントの中から現れた彼らは、1stオリジナルアルバム「Definitely Maybe」(1994)、2ndオリジナルアルバム「(What's the Story) Morning Glory?」(1995)それぞれ約1000万枚、約2500万枚という世界的な大ヒットを果たす

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彼らの大ヒットアルバム2枚

 

 全世界でのトータルCDリリースはなんと5000万枚以上を誇るという超大成功ぶり。

 

 ブリット・ポップというジャンルの中で最も成功したどころか、ジャンルを超えた世界的な名声を手にし、ロック史の枠組みで見てもかなり重要な位置を占めるバンドなのだ。

 

 彼らの話は一旦脇に寄せておくとして、ここで水樹奈々坂本真綾がどのくらい彼らを好むのかを書いておきたい。

 

 

 水樹奈々はソロデビューする際にスタッフから色々な洋楽を教えてもらい、その中でOasisを知ったらしいのだが…

 水樹奈々の1stアルバムである「supersonic girl」。このタイトルは実はOasisの「Supersonic」が由来である。

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(音楽的には水樹奈々と共通項はそこまで…)

 

 また、自身のラジオ番組水樹奈々のMの世界(TOKYOFM)」の2012年5月26日配信分では、ノエル・ギャラガーのソロプロジェクト内の曲である「Dream On」、ほかはOasis時代の「Little By Little」「Don't Look Back In Anger(水樹が絆を感じる曲と挙げてる)」「Whatever」を流した。

 しかも、ノエル・ギャラガーの武道館公演にきっちり足を運びその様子を報告するという徹底ぶり(インタビューを試みたが失敗した)。

以下番組で流した曲である。

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 その後もOasisのボーカル、リアム・ギャラガーが新たにソロを始めるとデビュー曲である「Wall of Glass」を紹介するなどマジで好きなんだなと言う感じが伝わってくる。

というか半分番組を私物化しているように思う…(笑)

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※ちなみにライブドアニュースにもなった。

news.livedoor.com

 

 など、この方のOasis好きは割とマジで色々あるのだが、本当に好きなんだなと思うと共に、彼女の音楽性からすると少し以外なように思えるのだ。

 ヘヴィメタル的な要素の強い音楽を志向する彼女が、ブリット・ポップというある意味まるで音楽を好むこと、そしてこれがこうやって繋がるのが知識の面白さであると僕は思う。

 ちなみに水樹奈々がお気に入りのミュージックビデオとして挙げているのが、「D'You Know What I Mean?」である(もう1つはAerosmithの「Jaded」)。

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 他にも彼女は好きな海外のアーティストとして

  • Green Day(世界的なパンクロックバンド)
  • Earth, Wind & Fire(こちらも世界的なファンクミュージックバンド)

を挙げているらしく、そちらも時間があったらいつかガッツリ喋って欲しいと思う。

 

 水樹奈々が超絶なOasis関連のオタクだということがわかったので、今度は坂本真綾の場合を例に上げたいと思う。

 

 実は坂本真綾は結構早くからOasisに触れている。

 

インターネットで調べてみた所、2002年10月8日放送坂本真綾のビタミンM(bayFM)」内でOasisを大好きなバンドと表現し「Wonderwall」を紹介している。

 そして、その後代々木第1体育館でOasisのライブに行ったことにも言及しており、その感想を熱く語っていたようだ。

 

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 また、2005年の5月24日のFM曲合同企画「FMスペシャOasis祭り」内でジョージ・ウィリアムズと共に自身もMCを努め、企画だから当然なのだが、1時間に渡りずーっとOasisの話をしている。

そしてゲストには日本での2代目のディレクターでオリジナル3rdアルバム「Be Here Now」(1997)、B面集「The Masterplan」(1998)を担当していた伊藤kazyさん、音楽ライターの妹沢奈美さんをゲストに呼び、Oasisの色々な破天荒エピソードやらなにやらを話してもらっていた。

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左がBe Here Nowで右がThe Masterplan

 この番組は6枚目のオリジナルアルバム「Don't Believe the Truth」(2005)の発売記念の企画であり、そこに坂本真綾は呼ばれたわけである。

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  ちなみに、聴くキッカケは坂本真綾が高校生時代に好きだった男の子がOasisを聴いていたからという結構ベタなもの。そのうち男の子がどうでも良くなりドハマリしたらしい。リアムのやる気の無さが逆にかっこよかったとか。

 また、坂本が「Don't Believe the Truth」への感想を番組内で求められる場面があり、それに対してこうコメントしている。

 

※聴き取りながら文字起こしをしてみました。不備があったらごめんなさい

 

坂本「そうー、なんかねー、最初に1枚、ずーっと聴きながら、やっぱりさっきも言ってたけど、ちょっとライブっぽい、生っぽい、セッションの感じがね、して。

だからこそ、なんかね、ボーカルの声がすごく前に来た感じがしたの。

で、まあ私すごく歌う人だから、声がすごい音楽で、私の中で重要なの。

それでリアムの声素敵だな~って思ったけど、ノエルが歌ってる声がまた更に、前以上にとっても好きになって。

で、良いな良いな良いなと思って聴いてたらね、最後の方でアレって思ったのが、2人で同じ曲を歌ってたんですよ。

えっと、Let There Be Loveって曲なんですけど、この曲を聴いてた時におっ!!って思ったのね。リアムのときもノエルのときもあったけど、これってあったっけな前にって思ったけど、やっぱりー初めてのことなんだってね。

それが、なんかねよくわかんないけど嬉しかったの勝手に(笑)

兄弟が一緒に1曲持ち曲歌ってるのを聴きながら、なんかこうLOVEってテーマで歌ってるその感じが凄いあったかくて、聴いててなんかね胸があったかくなった。」

そしてDJの6枚目にして初めて・・・もっと早くても良いんじゃない?(笑)というコメントに対して、

坂本「でも、なんか、その、すごい、その時間があったからこそ改めて嬉しいのかなー(笑)」

 

 

…こんな感じのことを1分半に渡り喋りまくっていた。

 

 水樹奈々と負けず劣らずの熱量を感じさせ、ウッキウキで興奮しながら語ってるのを聴いてるとほんとに好きなんだなーと感じました。

 

 こうやって見ると、坂本真綾には昔からロックの血が流れていたのかもしれない。

 

 ちなみに、その時に流した曲は「Rock 'N' Roll Star」「Roll With It」「Stand By Me」「Live Forever」「Lyla」「The Meaning of Soul 」である。

 

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 坂本真綾Oasisを熱く語る機会は多くないが、かなり語っていたこの番組を見るに相当のものを感じさせた。

 坂本真綾が他に好む洋楽はかなりマニアックだった記憶があるが、そちらは僕も探し当てられなかった…。そちらについても、ぜひ機会があったらガッツリと喋って欲しいものである。

 

  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々はどちらも大のOasisオタクである。

しかし、特に理由はないがお互いの好きなOasis像は異なる気がしている。これは本当に偏見でしか無いが…。

 そして、触れたキッカケがかなり異なるということや、触れた時期も異なるため違う見解を抱いている可能性もある。また、好きな音楽が異なるという点も大きいんだろう。

 そういうわけで、Oasisについて坂本真綾水樹奈々がガッツリ対談するっていう企画どうっすか?

 オタク同士の愛の深さが故、喧嘩になるかもしれないけどソレはソレで面白そうなので是非。

 

両者の相違点

 さて!ここまで両者の生まれた時代背景、経てきた道、好きなものから共通点を漁ったわけだが、ここからは相違点を色々と見ていこうと思う。

 

まず、両者の相違点はこのようになると僕は睨んでいる。

  • 活動スタイル
  • 音楽性
  • 歌詞
  • 楽曲の雰囲気
  • ライブや本人のノリ
  • 人生観

順におって紹介しよう。

 

1.活動スタイル

 まあ、お互い違う人間なので違うのが当然なのだが、同世代のこの2人はアニメ作品に数多く出演するものの、その活動スタイルが大きく異なる。

 

 まず、出演作の傾向が異なる。

まず、超主観で水樹奈々の代表キャラを集めてみた。

次に坂本真綾

 この両者の出演作、まあ充分とは言えないのだが、見比べて気づくことはないだろうか?

 

 そう、坂本真綾水樹奈々に比べると基本的にシリアスめの作品に出ることが多く、水樹奈々は歌がメインのアニメに出ることもある、ということだ。

 

 これは、活動スタンスもそうだが、両者が今まで培ってきたイメージや歌のイメージにも大きく由来しているのだろう。

 

 そして、坂本真綾はあまりキャラソンを歌わない。これは水樹奈々がキャラソンをよく歌ってるのと対象的なのだが、必然性もなくキャラソンを歌うというのが余り得意ではないらしい。

 

 さらに、水樹奈々坂本真綾を比較すると坂本は吹き替えの仕事も多いようで、ナタリー・ポートマンを吹き替えている回数は非常に多い。

 一方、水樹奈々ジェニファー・ローレンスミランダ・コスグローヴなどの吹き替えを担当したことがあるが、坂本真綾と比べると多くはない。

 

 また、水樹奈々がアニメ音楽フェスAnimelo Summer Liveに何度も出演経験があるのに対し、坂本真綾は歌手歴やアニメソング担当歴の多さに反して出演した経験がなんとゼロ。

 そのかわりに、FlyingDogのフェスである「犬フェス」矢野顕子主宰の「矢野フェス」、さらには「ROCK IN JAPAN FES」大型フェスへの出演経験を持つ。

 この2つから見るに、水樹奈々の意識はアニメソング歌手であり、坂本真綾の意識はミュージシャンである、という違いが見えてくるように思う。

 水樹奈々スガシカオ主宰のフェス「スガフェス」など、音楽フェスへの出演経験があるものの、大部分はアニメソングのリスナーを対象にしたフェスがほとんどである。

 一方、坂本真綾はアニメソングリスナーではなく、もっと広い音楽シーンのリスナーに対してアプローチをしているように思う。

 

 このように、両者のスタンス、特に坂本真綾のスタンスはともすればアニメオタクたちからは敬遠されそうなものも感じるが、この違いは非常に興味深いと感じる。

 

 おそらく、音楽性の違いにも大きく依存しているのだろうし、かつての師匠が矢吹俊郎菅野よう子か、というのも関係しているように僕は考えている。

 

2.音楽性

 水樹奈々坂本真綾でおそらく最も大きく異なり、わかりやすいのはその音楽性の差だろう。

 

disheatchaos.hatenadiary.com

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 過去に両者について記事を書いたことがあるが、その音楽性はまったくもって異なる。 

 

 まず、水樹奈々は歌謡曲的なバックボーンの強さもあるが、基本的に志向しているのはライブ映えするアニソン、もしくはアイドルミュージックのポップさであり、ヘヴィメタル的な要素のあるロックである。

それは、三嶋章夫プロデューサーの影響も大きいのだろう

。更にかつては矢吹俊郎プロデュースだったことも関係しているだろうし、上松範康(Elements Garden)がその後を大きく担っていたことからも想像に難くない。

 また、水樹奈々もポップソングを数多く歌っているが、その音楽もかなりストリングスを使い、そのポップさも90年代アニメソングの延長線上にあるように思う。

 

 そして、その傾向はElements Garden一辺倒でなくなってからも、変わっていないように感じられるのだ。

これとか、

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これとか、

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これとか、

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これとか。

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バラードだと、深愛、ソレ以外だとAngel Blossomも当てはまるだろう。

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 楽曲提供者の説明、傾向などはこちらにもある程度示したので割愛させてもらう。

 

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 僕が思うに、彼女がこのようなものを志向するのは単純に好きなのもあるのだろうが、ライブを意識しているのも大きく関係しているのだろうと考えている。

 実は、矢吹俊郎矢沢永吉の大ファンである。それが水樹奈々にも影響したのか様々な楽曲でタオル回しのパフォーマンスが取り入れられている。

 さらに、水樹奈々は歌手としての活動も活発で、コンスタントに音源をリリースし、長期のライブツアーも行う。

 そういった活動になると、やはりライブというものを常に意識するのだろうし、そのような時に盛り上がれるような楽曲というのを念頭に考えるのではないかと僕は考えている。

 そして、そういう時に盛り上がれる曲、というとベタなバラードであったり、ヘヴィメタル的な高速ナンバー、はたまたアイドルやアニソン的なポップソングミュージックになるのだろう。

 彼女自身に幼少から演歌や歌謡曲の血が流れていることも、今の音楽性の一助になっているのだと思う。

 譜割りも割と楽曲に対して素直な印象も強く、シングアロングになりそうなパートも用意されているのである。やはり水樹奈々パフォーマーであり、歌手なのだ。

  ちなみにコラボ相手がT.M.Revolutionだったのも考えるとやっぱり、そうなんだなと…。

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 そんな、水樹奈々に対して、坂本真綾が志向しているのは基本的にはポップスである。

それは現在の数多くの楽曲提供者の傾向から見ても明らかだろう。

 少しだが、菅野よう子以降の彼女への楽曲提供者を書き出してみた。

他にもバンド単位だとSchool Food Punishmentthe band apartが挙げられる。

 彼ら、彼女らは基本的にアニメソングを主戦場にしていない人ばかりである。

 また、トリビュートアルバムでは上記の面々に関係する者以外にもLUNA SEASUGIZONegiccoなど普通の声優アーティストの世界で名前を聴くことはないような人が集まっている。 

 

 これだけ、アニメソングを主戦場としない人が集まり彼女に楽曲提供を行うのなら、それはもうアニメソング的なポップさがありつつも、全体的にはちょっと変化球のあるJPOP、またはバンドサウンドになるのである。

 彼女は菅野よう子によって音楽的感性を開花させてもらった1人であるし、ソレ以前はOasisなどがありつつも音楽的バックボーンがほぼまっさらだったのだから、そうなるんだろう。

これとか、

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これとか、

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これもだし、

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これもそう。

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あと、これとか

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これとか、

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これなんかもそう。

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※ちなみにこれが菅野よう子曲である。

  

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 聴いてみると、そのどれもが単純にアニメソングと言うにはちょっとカテゴライズの難しいものばかりである。

 

 そして、水樹奈々に比べるとどれもこれも音圧が低いように感じるのは、基本的に水樹奈々ヘヴィメタル的な志向を持つのに対し、坂本真綾がポップスを志向していることに由来しているのだろう。

 

 さらに、ライブを頻繁に行うタイプではないためか、坂本真綾の曲にはライブでの盛り上がりやシングアロングなどは余り想定されておらず、音源の完成を持ってもうそこで1つの作品としているように感じられるのだ。

 特にバンアパの提供曲「Be Mine!」やsfpの「Buddy」小山田圭吾菅野よう子提供曲に顕著だが、坂本真綾の曲は譜割りがかなり独特なナンバーが多い。

 そのため、シングアロング出来ないこともないが基本的に歌いにくいものが多く、そういうものには向いていない。

 

 また、水樹奈々の音楽のノリはライブであり、坂本真綾のノリはコンサートといったほうが良いくらいに客層が完全に異なる。

 

 これらの理由から、坂本真綾の楽曲はライブで盛り上がって聴く、というよりは落ち着いて座って聴くという方が似合うものが数多く存在している。

 またライブを想定せず音源で1つの作品として完結させるため、かなり実験的な作風にチャレンジしていることが水樹奈々と比較すると多いように感じられた。

 冨田ラボの作品にゲスト参加してるしね。

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 実は、坂本真綾の自作ナンバーもいくつか存在するが、それはどちらとも非常に素直なメロディラインとシンプルな旋律で構成されているため、この辺の傾向は水樹奈々と重なる部分があると最後に追記しておく。

 水樹奈々のほうが歌謡曲的なメロディラインの懐かしさが垣間見えるのだが。 

 

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  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々の音楽性の違いは根本的な志向の違いやバックボーンの有無、プロデューサーの教育の違いもあるが、楽曲提供者の性質の違いやライブの想定の有無や歌謡曲的エッセンスの度合いに依存している。

 また、水樹奈々の場合は水樹奈々に楽曲提供者が合わせる」傾向があると思うのだが、坂本真綾の場合は「楽曲提供者が自由にやっている部分に坂本真綾が乗っかる」という違いも存在するように思えた。

 

3.歌詞

 歌詞の面から両者の違いを明確にしていきたいのだが、人生観などが明確になるように、ここは自作歌詞に絞って比較したいと思う。

 はじめに、水樹奈々の場合を取り上げたいのだが、水樹奈々の歌詞は非常に独特な当て字が多い。

 

”銀河を舞うDiamond dust-天使の囁き-

確かな記憶を辿って

これからきっと生まれてく 真実へのトビラ

どんな冷たい暗闇に 縛られていても

僕は知りたいから 決して止まらない”(SECRET AMBITION)

 

"今すぐ君に届けたい

曇天-嘆きの空-を貫いて

夜が見せる星の鏡 真実を照らしていくよ

緋色の鍵 こだまする

僕の鼓動はもう止められないから"(SCARLET KNIGHT)

 

”あとどれくらい 未来(あした)数えて

あとどれくらい 涙枯らせば

僕は僕でいられるの…? 教えてHow to fly

言葉より確かな歌ーあいーで 不協和音ー迷いーを打ち砕いていく

束ねた気持ちに嘘はつきたくないから”(Vitalization)

 

 …とまあ、こんな感じで独特の当て字が多い。また、曲の傾向や使用されるアニメの傾向もあるのか、「僕」という主語を多用しており、勇壮な歌詞で周囲や自分を鼓舞するような歌詞がかなり多く見受けられる。割と漢字が多く使われてるのも傾向の1つだろう。

 では、そういう方面じゃない歌詞を見てみよう。

 

”あなたの腕に抱かれて眠る

何もかも捨てたっていい

良いコのままの幻影-まぼろし-なんて作るのはやめて

本当の私を見つけて

ずっと待ってる…”(夢幻)

 

”輝け 夜空に虹を架けるほど

誰も知らない君を知りたい

どんな理論も通じない

この想い信じて

新しい時間(とき)を紡ぎたいよ 一緒に”(Angel Blossom)

 

”果てしない宇宙(そら)へ何を願えば

すべて許しあって笑えるだろう

そう、目をそらさず心の奥に夢を灯せば

どんな明日が来ても歩けるはず

どんな明日が来ても君と共に”(愛の星)

 

  ここから見るに「君」に語りかける内容の物が多いように思われる。

そして、そこには自分という主体が内包されており、自分から君へというかなり指向性の強い意志を感じさせる。そしてそれは強い励ましのメッセージ性を帯び、それらが人の背中をドンッと押したり、腕をぐいっと引っ張り上げ、そして強くストレートに誰かを求めるのだろう。

 

 これらから見るに、水樹奈々は自分を鼓舞すると共に他者を引っ張り上げるということ、ある意味「ヒーローである自分」を非常に意識している。

それと共に、愛情についてもそのメッセージ性は非常にストレートである。

 彼女は周囲が見ている水樹奈々像をかなり客観的に捉えた上で形にしているのだな、と僕は思っている。

 

 一方、坂本真綾の場合だが、彼女の書く歌詞は非常に平易な言葉により構成されている。

 

”人類の欠点は 見えもしないくせに 愛とか絆とか信じられること

僕の罪はうたがったこと 差し伸べられた君の右手 初めて見たヒカリ”(レプリカ)

 

”Be mine!

あらがえない欲望にkiss and cry

てっぺんで見下ろしたい

完全掌握の結末を

It's mine!

欲しいものがあるなら目を離すな

絶対に勝ち取りたい

単純明快なひとりごと”(Be mine!)

 

”恋より気持ちよくて 絹より美しいの

この世にふたつとなくて 永久には続かないの

もし見つけたら半分きみにあげるわ”(FOLLOW ME)

 

 このように、平易な言葉でありながら語順や言い回しを巧みに変えることで抽象的な含みをもたせている物が多い。

 また、水樹奈々に比べると自分自身の欲望が前に出ている。

 そして、自分の望むものが余裕があったら君にも見せたい、というくらいの緩さもあり、根本的に他者はあまり介在していないように思う。

 

 また、他者に語りかける傾向が強い歌詞はというと以下のものが挙げられる。

 

”たしか あなたが置いてった

かすかな手触りや声や飲みかけのグラスとか

探すけど何もない

さっきまで包まれながら

ひとつになれたはずなのに

すくいあげる水のように跡形もなく消えてゆく”(夜)

 

”空と地上のあらゆる境界線を 越えてゆくよ

今夜あなたを連れて

そらさないで

この景色を

ちゃんと見てありのまま

青いひかり 水の匂い

愛を歌う人の声 これが僕らの住む世界”(30minutes night flight)

 

”君に出逢って優しくなった

自分でもわかるほど変わった

弱くもなって強くもなった

君だって すてきになった

笑い方や へんな癖が

似てきたと気づくきょうこのごろ

それも悪くはない 変わりたい 君と一緒に”(プラリネ)

 

”あなたが何か尋ねるときは 答えがすでにそこにあるの

自分のために選び続ける その苦しみと誇らしさを

知っているから そばにいるから あなたが思う未来のこと聞かせて”(Ask.)

 

 他者に向けた歌詞だが、あまり他人をどうこうしようとか救おうという気負いは少なくともこれらからは感じられない。

 どちらかというと、静かに答えを待ったり、より日常の幸せを噛みしめるような物が多く、背中を押す、引っ張り上げるというよりは寄り添う、待つという物が多いように見受けられた。

 

 これらから見るに、坂本真綾は非常に自然体で自分の見た感性や思ったことをかなり素直に歌詞にしており、そこに他者からどう見られているかということを余り意識していないように思う。

 そして、愛情表現はストレートと言うよりは数々の言葉の言い回しで滲ませる程度にしており、相手に想像の余白を残しているように思う。

 また、自分という主体性よりは他者と寄り添うという意識のほうがおそらく強いのだろうか。自分で状況を思い切り変えるというよりは、受容と一種の達観が非常に強く見られる。

 坂本真綾水樹奈々と対照的に「自分がどう見られソレに応じて振る舞うか」というよりも「自分の今思っていること、自然体であること」を優先しているように僕は思うのだ。

 

 水樹奈々坂本真綾も対照は違えど、死をテーマにした歌詞を書いている。

 

”ありがとう 伝えたい

たくさんの音に乗せ

照れ臭くて言えなかった想いを込めて

ありがとう 届けたい

大好きなあなたに

どこにいても繋がってる

歌い続けるよ”(水樹奈々:夢の続き)

 

”そして冬が終わる

憂いを振りほどいて

君が好きだった季節が

すべてをさらい 過ぎて行く

ああ このまま このまま

僕は向かう

誇りを胸に抱いて

君が好きだった世界で

君と見つめた その先へ

僕はこのまま このまま”(坂本真綾:誓い)

 

  震災前と震災後、という違いはあるが両者はどちらも作詞作曲を自分で行い、命の喪失と自己について述べている。

 しかし、どうだろう?勿論水樹奈々のものに関しては父に宛てたもの、というのも考慮するがその捉え方は坂本真綾と異なるのではないだろうか。

 水樹奈々の場合は悲しさよりも、喪失よりも希望や決意のほうが強く滲んでおり、やはり前に強く背中を押してくれるようなものになっている。

 一方、坂本真綾の場合は、思い出を噛み締めるようにあまり多くを語らず、決意はあるがそれはある種の無常感を孕んでいるように思う。

 

 以上から、誰かを喪うということに対して、

 水樹奈々遺された者が強く振る舞うという役割をしっかりとこなし、既に未来に軸を置き、決意を宣言する、というストレートな強さを感じ、

坂本真綾遺された者の哀しみを滲ませ、どちらかというと軸足は思い出にまだありつつも静かに決意するという静かな強さを感じさせる。

 

 このように、2人は強さの表現の仕方や死生観もかなり異なることがこちらから見受けられるだろう。

 

  • まとめ

 坂本真綾水樹奈々の歌詞傾向の違いを文字にして明らかにすると、彼女たちの感性そのものがかなり異なっているように思える。

 水樹奈々は常に何かしらの希望を表現して皆のヒーローとして生きているし、坂本真綾孤独を見せたり感謝を見せたりといつも自然体で生きている、という生き方の違いを歌詞から垣間見ることが出来た。

 

4.ライブや本人のノリ

 続いてライブや本人のノリ、そして互いに近い(完全な主観)アーティストを色々と見てみたいと思う。

お互い、明白に違うことなんてわかりきってるのだが、改めてきっちり言語化するとどうなるのか?そこに注目したいと思う。

 なお、会場によってノリに差異が出るとよろしくないので、水樹奈々坂本真綾のどちらもさいたまスーパーアリーナの映像を使用している。

 

 まずこのライブ映像を見てほしい。

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 大所帯であり、演者も動き回るが観客もかなり動く。まるでスポーツだ。

そして、楽曲面でも触れたようにしっかりとコールアンドレスポンスが確立されているし、煽りも含め、ライブと言ったほうが適切なノリである。

 本人もソレに応じてかなりエネルギッシュに歌い、動く。そして聴かせるところは聴かせる。

 生き急いでいる感、ドラマチックな演出、熱狂的な完成、溢れ出る気合と根性、ある種のクサさ含めてどことなく体育会系アーティストっぽいのだが、僕はこういうのに近いアーティストを知っている…

 

紅だーッッッ!!

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 冗談抜きで、最初に水樹奈々のライブ映像を見た時はエクスタシーレコード界隈とかなり被った。

 どっちも気合と根性だし、なんかやたらドラマチックに華々しく生きて、突っ走っていく感じとか本当に似ている。あと、前例をやたら拒みまくるところとかまんまソレ。

 

 あと、ストイックさで言えばLUNA SEAとも重なるだろうか。

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 水樹奈々の普段を見る限り、こういう無茶でも実行しそうだもの。

 

 そして、LIVEの一体感と言えばGLAYだろうか。

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さらに、SIAM SHADE的な男気みたいなものを感じる。

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 まあ、水樹奈々はこの辺の方々とノリが近いのだ。

 勿論聴かせるところは近いのだが、非常に一体感があり、観客を巻き込んでいく熱狂。そして、ソレに見合うライブパフォーマンスとしての能力の高さと突っ走っていく楽曲の多さ。

 エクスタシーレコードの界隈の中でも激しいのはだいたい水樹奈々っぽいよ。

 

 こちらの映像を見てほしい。

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 もちろんライブと言えるような盛り上がりもあるが基本的には盛り上がる、シングアロングもある。

しかし、やっぱり共に歌うよりはというよりは歌に聞き入るような楽曲が多い。

そのためか、ノリが全く違う。

 

 そして、生き急いでるという感覚は薄くどことなくマイペースである。そしてやってる楽曲はよく聴くと変態じみている…。さらに、盛り上がりよりも世界観を重要視しているように思う…。

 

BUCK-TICKなんじゃね?

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 よく聴くと変なんだけど一聴するとわからないし、世界観を重視してるところが似てるじゃん。似てるんだよ。

 

 あと、気合とかそういうのが坂本真綾には見えてこないし、かなり独特なノリって点ではPlastic Treeも近いかもしれない。歌詞の傾向も少し似てるし。

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 音楽性はまるで異なれど、観客というよりは自分が歌うこと、伝えることを重視している姿はDIR EN GREYが重なる。まあ、バリバリ煽ってたりするけど。

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 僕は坂本真綾に徹底した自信の美学の貫徹を見てるのだが、ある意味水樹奈々とは別方面でストイックと言える。そしてそれはMALICE MIZERの幻影を魅せるのである。

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 正直、此処にかこつけて好きなのぶち込みたいだけだったんだけど、

まあ8割くらいはわりとガチで重なると思っていますよ。美意識が徹底されてるところが似てるし。そういうことなんだよ!

 

  • まとめ

 水樹奈々坂本真綾のライブのノリは全く違っていて、それは他者との対話か自己との対話か、観客を巻き込むか自分に深く入っていくかでどこまでも違うということがなんとなくわかりました。

 あと、好きなバンドをこれにかこつけてあれこれ紹介できたのはよかったです。

あ、マジで共通項があると思って貼ってますよ。別にただのおフザケじゃないんです。

 

5.人生観

 最後の項目だ。ここまで長かったね。僕も長かった。

 これは、今までの総評に近いものになる。

 まず、水樹奈々坂本真綾はこれまで、あらゆる部分が異なっていた。

それは、歌詞もそうだし音楽性もそうだし、ライブでのノリ方や活動スタンス…

すべてが全く違う。

 

 水樹奈々はこの発言に全てが象徴されているように思う。

 

”前例がないのなら、それを作ってしまえばいい。

新しい手法を見つけて、新たな道を切り拓けばいい。

ただそれだけのことだと思った。

今まではこうだったとか、誰かがこうしていたとか、

そんなことに縛られるのはつまらない。

私は、我が道を突き進もうと思う。

前例がないことを、どんどん形にしていきたいと思う”(著書、深愛より)

 

 彼女はとてもストイックな人なのだ。常に自分の限界を追い求めて、自己を律し続けている。常に走り続けるのが水樹奈々という1つの象徴である。

 

 一方、坂本真綾の人生観は此処に集約されていると思う。

 

”自分の居場所というのは、どこかにあるのではなく、

すべての場所がそうなり得るはずだと思えてきたんです。

だから、すべての場所が帰れる場所、私の向かっていける場所という意味で、『everywhere』なんです。”(2010年yorimo)

 

 

 どこまでも、自然体であらゆる物事を受け入れる。切り開くのではなく、視点を変え、自分の変化の過程を繊細に見続け、それに正直に生きる。それが坂本真綾なのだ。

 

 このように見ると2人のスタンスはまるで違う。それは生き方の違いであり、価値観の違いである。

 生まれた場所が違えど、同じ年齢、同じような社会背景のもと幼少期、思春期を生きたはずであろうこの両者が、歩んだ道筋によりここまで違う視点に至るのだ。

 これほど興味深いものはないだろう。

 

総合的なまとめ

 水樹奈々坂本真綾は共通項こそあれど、差異は本当に大きかった。

それは単なる楽曲の違いや水樹奈々の喋りは全体的にAMラジオっぽいとか、役回りの違いを超えた生き方や人生観の違いに繋がるレベルのものである。

 

 同年齢、同世代という大きなくくりがあるにもかかわらず、歩んだ道や関わった人たちの違いにより、物の見方もそうだし、自分に対する捉え方も異なるという当然のことを再確認するに至った。

 

 このスタンスの違いは両者のファンの違いに繋がっているだろうし、だからこそ、この2人はファン層が全く違うのだろう。

 

 しかしながら、Oasisを好むという点は完全に一致している。

 おそらく、好きな年代や好きな曲、好きな点など細かい部分は異なるのだろうが、そういう部分を超えて全く生き方の違う人間が「Oasisが好き」という一点で重なり合うということ。

 この出来事は1つの奇跡であると思うし、音楽を好きでいることや沢山のことを知っていることの喜びを噛みしめることが出来た。

 僕に音楽への興味がなかったら、どちらかを知らなかったら、Oasisを知らなかったら、どれが欠けても一生知り得なかった事実である。

 

音楽的なバックボーンがまるで異なる事も考えるととても面白いことだと思う。

 

 元々単なる同世代比較や興味で書き始めたこの記事は僕にとって、関わる人の重要性や人生の妙味のようなものを改めて実感させるとともに、自分自身について改めて見つめ直す良いものになった。

 

 好きな人や、物、アーティスト…なんでもいいが好きを掘り下げて突き詰めていくと、結局は自分というものをイチから見つめ直すことになるのだから。 

 

最後に

 はじめは書くのに難航した気がします。

 思いつきで考えてみたけど、どうやって書けば良いのかもわからないし、どこに着地するのかもよくわからないまま書き始めました。

 内容はいままでぼんやりと思ってたことですが、それを言葉として出力するというのはこうも異なるのかということを改めて実感したと共に、この記事を通して、社会風俗や歴史、経済など様々なことを復習できたので非常に有意義でした。

 

 あと、おそらく日本ではじめてのタイプの記事なんじゃないかなーって思います。

それはちょっと嬉しいです。

これからも色々思いつけるように柔軟な心を保ちたいなと思いました。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!